BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

五等分の花嫁 完結総評6: 伏線未回収も困ったものだがそれ以上に終盤にあって当然の重大イベントが尽く省かれているのはおかしいでしょ

2020-03-18 20:09:21 | 五等分の花嫁
五月のキャラクターブックで明らかになったとおり、作者はあの四葉エンドがベストだと思っているようなので、これは夢オチだから『ぼく勉』みたいに、ある時点から新ルートが開始される、というのは基本的には考えても意味がなくなった。

・・・という前提で『五等分の花嫁』を完結したラブコメ漫画として見たとき、やっぱり、これはお世辞にも成功した作品とは言えない。

いや、伏線回収ができていないから、とか言う話を抜きにしても、単純にラブコメとして、ぜんぜんダメだと思うんだよね。

なぜなら、告白後の肝心な描写をすっ飛ばしていているのだから。

なにがおかしいってさ、秋の学祭に行った「告白」後の展開として、その二人で過ごすクリスマスの描写もなければ、ヴァレンタインデーの描写もない。

これはさすがにおかしい。

何をそんなに急いで、3年生の冬の一番ラブコメとして盛り上がるはずの描写を抜かしているのだろう。

受験があるといっても、どうせ風太郎はA判定なんだから、クリスマスもヴァレンタインデーもイチャラブしたって全然平気なはずなのに。

四葉に至ってはスポーツ推薦で入試はいらないわけでしょ? 

(いや、そんな部活に所属していない助っ人に推薦の声がかかるわけないじゃない?という常識的な反応はとりあえずおいておくとして。)

だったら、ヴァレンタインデー上等!って感じで過ごせばいいじゃない。

基本、スラップスティックコメディの『ぼく勉』にだってヴァレンタインデーのチョコの話は(全員、受験生であるにもかかわらず)あったじゃない。

なんでやらないかなぁ。

クリスマスとかヴァレンタインでちゃんと四葉と風太郎を二人で描けば、とりあえず、四葉をビッチ呼ばわりする空気も払拭できたんじゃない?

加えて、その冬の高校生活描写があれば、振られた四葉以外の五つ子との和解なりの場面も描けたと思うのだけど。

五つ子と一緒という意味では、大晦日とお正月の描写があってもよかったわけでしょ?

だいたい、普通、受験生だったら、正月には合格祈願に行くでしょ?

少なくとも、風太郎と五月は。

あるいは、大晦日だったら、もうマルオと勇也も同級生だったことはバレているんだから、マルオのマンションで、中野家と上杉家で忘年会なり年越しそばを食べるなりすればいいじゃない。

多分、そういう「普通の」描写があれば、四葉と風太郎に対しても、生暖かい目で祝福される、という雰囲気になったと思うのだけどね。

それをどうして、あんなに急いで駆け足で終わらせたのだろう?

だって、学園祭は秋だよ。

そこから卒業までまだ、半年近くあったはずで。

それを115話以降で描けばよかったのに。

まぁ、だから逆に、あの終わり方は夢オチでしかなくて、再起動がある、と思ってしまったわけで。

せめて、卒業式はちゃんと描くべきだった。

結局、一花の卒業の有耶無耶にされたままだし。

あれだけ、家庭教師の設定から、五つ子の進むべき進路は何か?というのが、物語の鍵になっていたはずなのに、それもあっさり捨て去ってしまって。


ともあれ、あのエンドは夢オチではない、リブートはないというのなら、単純に、ラブコメの終盤の展開としては、あまりに雑で、お世辞にも褒められたものではない。

物語の構成としては単純に破綻している。

キャラのコントロールのしやすさとか脇においても、物語の流れはきちんとコントロールしてほしかった。

結果としてはラブコメとしては恐ろしく中途半端な凡作になってしまった。

なんていうか、最低限のジャンルの約束は、やはり果たすべきだと思う。

これなら『ぼく勉』のほうが、よっぽど誠実だと思う

しかし、まさか、そんなふうに思う日が来るとは思っていなかった。

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