「ウイキノミクス」で、「力帆」と言う中国の二輪車の製造会社が、70万台以上の二輪車を作り112カ国に輸出しているが、その製品はモジュール型製造だと言う。
従来の二輪車は、自動車と同じで擦り合わせ型の華とも言うべき製品で、リーダー企業から指令を受け、厳密な画一的管理が行われた製造ネットワークが最終製品を吐き出す構造であるが、これに対し、中国の二輪車産業は、数百社が設計から製造までをコラボレーションでやる方式になっている。
上からの指示は僅かしかない状態で、従来のサプライチェーンをはるかに上回るスピードで二輪車を設計し、製造する。
殆ど混乱なく、重慶市や浙江省などの現地企業集合体は、この方式で二輪車を製造販売し、日本のホンダ、スズキ、ヤマハなどを凌駕したと言うのである。
当時の中国の二輪車メーカーは、日本業者の下請けとして、何年もかけて日本の技術を吸収・習得して、ジャスト・イン・タイム方式も身につけていて、高性能な製造設備を運用できるスキルを持った人材が多くいた。
この状況を利用して、瞬く間に小さな修理工場から立派な二輪車工場に成長した。
高性能の二輪車は、各部品が他の部品と協調して、最高に性能を発揮するように最適化する擦り合わせ型の製品アーキテクチュアによって作られるのだが、中国やアジアでは、要するに基本的には交通手段に過ぎず、走れば良い。
高性能である必要はなく安ければ良いので、各サプライヤーが作る部品を組み合わせるだけのモジュール性を重視し、標準的なインターフェースにサブシステムを簡単に取り付ければ良いようになっている。
多少合わなくても、茶店で会って調整すれば済むと言うのである。
このリバースエンジニアリングを、自律的コラボレーション的に行うと言う革新が生まれて、中国では安い製品が大量に生産されている。
これは、クリステンセンの言うローエンド型の破壊的イノベーションの一環であろうが、大切な点は、インテグラル型アーキテクチュアが、モジュール型に転換し、パソコンと同様なデジタル機器の組み合わせのような製品に変わってしまっているということである。
パソコンやデジタルTVと同じ様なもので、高校生でもパーツを集めれば組み立てられると言うことである。
最近の日経ビジネスの「成熟国型インフレがやってくる」特集で、ヤマハ発動機がヴェトナムで成功していると言う記事が載っていたが、日本の二輪車は、確かに性能その他は世界屈指の品質を誇っていると思うのだが、ブランドとしては、やはり、ハーレーダビッドソンやBMVの後塵を拝している様なので、正に、挟み撃ちである。
中国で「力帆」のような現地会社に競争に負けたように、ヴェトナムや他の発展途上国でも同じような運命に遭遇するのではないかと言う感じがしてヤマハの記事を読んでいた。ローエンドから攻められ、モジュール化生産が主流になれば、日本企業の勝ち目などないのである。
現に、「ウイキノミクス」には、90%を誇っていたヴェトナムでのホンダのシェアは、30%まで低下しており、中国の二輪車産業は、インド、パキスタン、インドネシア、ヴェトナムなどアジア市場のほぼ全域を支配するまでになっていると記述されている。
藤本東大教授が、日本製造業の強みである擦り合わせ型の製品である複合型複写機を中国で生産する日本の会社があると疑問視していたが、中国への生産移転は、相当注意を払わないと、技術を一挙に持って行かれる心配がある。
中国への製造業移転は、「要素価格均等化定理」の作用するようなモジュール型組み合わせ型製品に限るべきで、擦り合わせ型製品は、極力、合理化を図るなどして日本に残して、技術を守るべきであろう。
欧米への留学人数は勿論、理工学部学位取得者の数においても、既に、中国にははるかに追い抜かれているので、負けるのは時間の問題ではあろうが、注意するにこしたことはない。
従来の二輪車は、自動車と同じで擦り合わせ型の華とも言うべき製品で、リーダー企業から指令を受け、厳密な画一的管理が行われた製造ネットワークが最終製品を吐き出す構造であるが、これに対し、中国の二輪車産業は、数百社が設計から製造までをコラボレーションでやる方式になっている。
上からの指示は僅かしかない状態で、従来のサプライチェーンをはるかに上回るスピードで二輪車を設計し、製造する。
殆ど混乱なく、重慶市や浙江省などの現地企業集合体は、この方式で二輪車を製造販売し、日本のホンダ、スズキ、ヤマハなどを凌駕したと言うのである。
当時の中国の二輪車メーカーは、日本業者の下請けとして、何年もかけて日本の技術を吸収・習得して、ジャスト・イン・タイム方式も身につけていて、高性能な製造設備を運用できるスキルを持った人材が多くいた。
この状況を利用して、瞬く間に小さな修理工場から立派な二輪車工場に成長した。
高性能の二輪車は、各部品が他の部品と協調して、最高に性能を発揮するように最適化する擦り合わせ型の製品アーキテクチュアによって作られるのだが、中国やアジアでは、要するに基本的には交通手段に過ぎず、走れば良い。
高性能である必要はなく安ければ良いので、各サプライヤーが作る部品を組み合わせるだけのモジュール性を重視し、標準的なインターフェースにサブシステムを簡単に取り付ければ良いようになっている。
多少合わなくても、茶店で会って調整すれば済むと言うのである。
このリバースエンジニアリングを、自律的コラボレーション的に行うと言う革新が生まれて、中国では安い製品が大量に生産されている。
これは、クリステンセンの言うローエンド型の破壊的イノベーションの一環であろうが、大切な点は、インテグラル型アーキテクチュアが、モジュール型に転換し、パソコンと同様なデジタル機器の組み合わせのような製品に変わってしまっているということである。
パソコンやデジタルTVと同じ様なもので、高校生でもパーツを集めれば組み立てられると言うことである。
最近の日経ビジネスの「成熟国型インフレがやってくる」特集で、ヤマハ発動機がヴェトナムで成功していると言う記事が載っていたが、日本の二輪車は、確かに性能その他は世界屈指の品質を誇っていると思うのだが、ブランドとしては、やはり、ハーレーダビッドソンやBMVの後塵を拝している様なので、正に、挟み撃ちである。
中国で「力帆」のような現地会社に競争に負けたように、ヴェトナムや他の発展途上国でも同じような運命に遭遇するのではないかと言う感じがしてヤマハの記事を読んでいた。ローエンドから攻められ、モジュール化生産が主流になれば、日本企業の勝ち目などないのである。
現に、「ウイキノミクス」には、90%を誇っていたヴェトナムでのホンダのシェアは、30%まで低下しており、中国の二輪車産業は、インド、パキスタン、インドネシア、ヴェトナムなどアジア市場のほぼ全域を支配するまでになっていると記述されている。
藤本東大教授が、日本製造業の強みである擦り合わせ型の製品である複合型複写機を中国で生産する日本の会社があると疑問視していたが、中国への生産移転は、相当注意を払わないと、技術を一挙に持って行かれる心配がある。
中国への製造業移転は、「要素価格均等化定理」の作用するようなモジュール型組み合わせ型製品に限るべきで、擦り合わせ型製品は、極力、合理化を図るなどして日本に残して、技術を守るべきであろう。
欧米への留学人数は勿論、理工学部学位取得者の数においても、既に、中国にははるかに追い抜かれているので、負けるのは時間の問題ではあろうが、注意するにこしたことはない。