熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ダイアナ妃の思い出

2007年08月31日 | 海外生活と旅
   「イングランドのバラ」ダイアナ妃がパリで不慮の死を遂げてから、早いもので、今日が10周年にあたると言う。
   何となくTVのチャネルを回していると、WOWWOWで、ウエンブリー競技場で開催された追悼公演会Concert for Dianaを放映していた。
   ダイアナ妃の二人の遺児ウイリアム王子とヘンリー王子が観客の中にいて若者と一緒に手拍子などを取って楽しんでいた。二人は何回か壇上に上がって妃殿下のことなどについて語っていたが、ダイアナ妃も生きておられれば46歳、全く惜しい話である。
   エルトン・ジョンが、仲間と締め括りに、Tiny DancerやAre You Ready for Love?を歌っていたが、この巨大なサッカー競技場も、素晴らしいコンサート・ホールになるものだと思って感心して見ていた。

   私は、身近にダイアナ妃を3回拝見している。
   一度は、ロンドンの繁華街にあるホームレス用の簡易宿泊施設のオープニングセレモニーで、入り口でダイアナ妃をホストの一人として並んでお迎えした時で、この時は、当然、ダイアナ妃にお話して握手もさせて頂いた。
   背は私より高くて実に優雅でスマート、この時の写真がどこかに残っていると思うが、とにかく、美しい人で、ジッと顔を拝見しながら一生懸命に仕事のことなどを話した記憶がある。
   セレモニーの時には、側に伺候していたので、妃殿下のスピーチの様子などつぶさに見ていた筈だが、覚えているのは、イスに座って綺麗なご自分の写真にサインされていた時に、すぐ隣に立っていたのだが、何故、こんなにも美しい人がこの世の中におられるのかと感激して見おろしていた強烈な印象だけである。

   もう一度は、ロイヤル・オペラ・ハウスで、バレーのガラ・コンサートの時に、観客の一人として側で拝見した。
   この時のバレーが、白鳥の湖かくるみ割り人形か失念してしまったが、ナタリア・マカロワの殆ど最後のチャイコフスキーのバレー公演で、終演後に出口でジャガーに乗り込まれる寸前であった。
   ロイヤル・オペラ・ハウスには、2階の右手一番舞台に近い所にエリザベス女王陛下用のボックス席があるのだが、この時は、2階のグランドティアのやや左手の一般席に座っておられた。
   この時の豪華で綺麗なやや濃いめのブルーのイブニングドレスが実に優雅で美しかったのを覚えている。

   最後の一回は、バービカンセンターでの、確かロンドン交響楽団のコンサートの時で、地階のホールで人が集まっているので近付いて行ったら、ダイアナ妃が、車から降りてこられたところで、私の隣にいた若い紳士が、「マム」と声をかけるとそれに気付いて近付いて小さな花束を受け取られた。よく知っている身近な友人のようで二言三言喋って御付の人のところに帰って行かれた。

   ダイアナ妃は、チャリティ・コンサートやガラ・コンサートにはよく出られていたようだが、1990以降のことなので、勿論、チャールズ皇太子とは何時も別行動であった。
   チャールズ皇太子は、ロイヤルアルバート・ホールでの、アシュケナージ指揮ベルリン放送管弦楽団のベートーヴェン第九合唱のガラ・コンサートの時に見かけたが、この時もダイアナ妃は側に居なかった。

   ところで、ダイアナ妃と臆せずにお話できたのは、その前にチャールズ皇太子と別な機会に、一度は、同じ様なお出迎えスタイルで、もう一度は、レセプションで日本の経営について少しお話をしていたので、多少高貴な方との出会いに慣れていた所為もある。
   日本なら敬語や丁寧語など沢山あって難しいが、英語の場合には、最初に、Your Royal Highness と言えば、後は丁寧にまともな英語を喋れば良いのだ、と言われていたので、その点では助かったと思っている。
   今なら、恐らく遠慮すると思うが、若かったから出来たのかも知れない。

   ダイアナ妃については、パリの死についての暗殺説など何冊か本も読んだが、スキャンダルについては興味がなかった。
   しかし、対人地雷撲滅運動やエイズ対策に対する活動などについては彼女の努力と貢献を高く評価している。
   ウエンブリーのコンサートの最後に、ダイアナ妃へのオマージュを奉げるネルソン・マンデラのスピーチがあったが、イギリスに徹底的に痛めつけられ不幸な青壮年時代をイギリスの獄中で過ごさなければならなかった人の言葉であるから、値千金の重みがある。
   ご冥福を祈るのみである。
   

   
   
コメント
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