「立川流落語会」の初日を聞きに行った。
この日は、ソールドアウトであったのだが、前には、談春と志の輔の登壇した日に行ったのだが、今回は出ておらず、志らくと談笑、談四楼を聞きたいと思って、 先に予約を入れていたのである。
プログラムは、次の通り。
25日(金)
落語「真田小蔵」 只四楼
落語「松竹梅」 立川三四楼
落語「たらちね」 立川志ら玉
落語「幇間腹」 立川こしら
落語「短命」 立川志らく
― 仲入り ―
落語「粗忽長屋」 立川談笑
落語「大安売り」 立川左平次
江戸の唄 さこみちよ
落語「一文笛」 立川談四楼
日大のアメフトがホットニュースであったので、マクラに日大。
志らくは、開口一番、日大出身ですと言うと、「頑張れ!」と掛け声。
辛辣な日大風刺の後、談志の声音で、談志の逸話をひとくさり、
談志の公演の5千円のチケットが、ヤオフクで、8万円となったと聞いて、チケットを買って(当然来ている筈の)聞きに来たお客さんに、後悔するような噺をするからと言って、ひどい話だったとか。
談笑は、高座を降りた後、布団返しに登場した只四楼の後から駆け込んできてタックル、舞台を横滑り。
これとは、違うが、さこみちよが、江戸の唄で、しっぽりとした艶唄の合間に、子供に、
「嘘ばっかりついてると、首相になっちゃうよ」
粋な唄いにかまけて、もっと、これまでに、人生いろいろ、忖度しておくべきだったとも。
談四楼は、日大の学長の会見について語り、
理事長は出てこないが、保釈金を払って鴨池は出てきて、首相は逃げた・・・
マクラを、早々に切り上げて、「一文笛」を人情噺風に情感豊かに語っった。
さて、志らくの「短命」
色っぽくて器量よしの伊勢屋の娘のところへやってきた婿養子が、入れ替わり立ち代わり、3人も死んだと言う話を隠居のところへ持ち込んだ八五郎が、何故だと聞く。隠居は「伊勢屋の婿たちは房事過多で死んだのだろう」と言いたいのだが露骨には言えないので、それとなく匂わせて語るのだが、解せぬ八五郎が頓珍漢の受け答え。身をくねらせて色っぽい仕草で説く志らくの説明が秀逸。”ご飯なんかを旦那に渡そうとして、手と手が触れる。白魚を5本並べたような、透き通るようなおかみさんの手だ。そっと前を見る。……ふるいつきたくなるような、いい女だ。……短命だよ”
茶碗を渡すときの指と指の触れあうシーンを再現したくて、家に帰った八五郎が、嫌がるがらっぱちの女房に命令して、飯を持った茶碗を受け渡しさせるが、女房の顔を見て、「ああ、俺は長命だ」。
ウィキペディには、隠居が、以下のような川柳で説明を試みると書いてあるのが面白い。
その当座 昼も箪笥の環(かん)が鳴り
新婚は夜することを昼間する
何よりも傍(そば)が毒だと医者が言い
この「短命」は、これまでに、何度か聞いているのだが、夫々の噺家によって、バリエーションがあって面白い。
「一文笛」は、はじめて聞く落語だが、米朝の新作落語だと言う。
それも、スリを主人公とした「情けが仇になる」と言う噺だが、しみじみとした人間の弱さ優しさが滲み出ていて、可笑しさの中に温かみを感じて面白い。
スリの親分が、商家の旦那の腰に下げた煙草入れをネタに財布を掏った鮮やかな手口を、手下に開陳して指導しているところへ、足を洗った兄貴分がやって来る。
兄貴は、このスリの軽はずみが子供の命を危うくしてしまったと語り始める。
このスリが、駄菓子屋の前で、一文の笛が買えないみすぼらしい子供が、店の老婆に追い払われているのを見て、自分の子供時代を思い出して可哀相になって、駄菓子屋から笛を失敬して子供の懐へ入れた。子供が懐の笛をピーピー吹いたので、老婆は、笛を盗んだなと思って、浪人になっている病気の親のところへ連れてきて怒った。元武士なので、盗人をするような子供に育てた覚えはない出て行けと叱ったので、子供は泣く泣く井戸に身を投げた。
命は取り留めたが、医者には大金が掛かるが、病気の親にはそんな金はなく、長屋中探しても無理で、子供が可哀相だと思うなら何で一文の金で笛を買って子供に与えなかったのか、それを盗人根性と云うんだ。子供が死んだらどうするんだ?と叱りつける。兄貴。堪忍してくれと、匕首を出して右手の人差し指と中指を落とし、もうこれで盗人やめると言う。子供はまだ生きていて入院に金が要ると聞き、その後、酒屋の前でいい酒を飲んでいる医者の所へ行って、ぶち当たって懐から金を奪う。
兄貴。何にも云わずにこの金使ってくれ。どうせ医者に戻る金だ。
指を二本落としたのにまだこう云う仕事が出来るのか? わしはギッチョ。
知らなかったが、流石に、米朝の作であり、胸にジーンと響く人情噺が、素晴らしい。
好々爺然とした丁寧で味のある談四楼の語り口が、素晴らしかった。
この日は、ソールドアウトであったのだが、前には、談春と志の輔の登壇した日に行ったのだが、今回は出ておらず、志らくと談笑、談四楼を聞きたいと思って、 先に予約を入れていたのである。
プログラムは、次の通り。
25日(金)
落語「真田小蔵」 只四楼
落語「松竹梅」 立川三四楼
落語「たらちね」 立川志ら玉
落語「幇間腹」 立川こしら
落語「短命」 立川志らく
― 仲入り ―
落語「粗忽長屋」 立川談笑
落語「大安売り」 立川左平次
江戸の唄 さこみちよ
落語「一文笛」 立川談四楼
日大のアメフトがホットニュースであったので、マクラに日大。
志らくは、開口一番、日大出身ですと言うと、「頑張れ!」と掛け声。
辛辣な日大風刺の後、談志の声音で、談志の逸話をひとくさり、
談志の公演の5千円のチケットが、ヤオフクで、8万円となったと聞いて、チケットを買って(当然来ている筈の)聞きに来たお客さんに、後悔するような噺をするからと言って、ひどい話だったとか。
談笑は、高座を降りた後、布団返しに登場した只四楼の後から駆け込んできてタックル、舞台を横滑り。
これとは、違うが、さこみちよが、江戸の唄で、しっぽりとした艶唄の合間に、子供に、
「嘘ばっかりついてると、首相になっちゃうよ」
粋な唄いにかまけて、もっと、これまでに、人生いろいろ、忖度しておくべきだったとも。
談四楼は、日大の学長の会見について語り、
理事長は出てこないが、保釈金を払って鴨池は出てきて、首相は逃げた・・・
マクラを、早々に切り上げて、「一文笛」を人情噺風に情感豊かに語っった。
さて、志らくの「短命」
色っぽくて器量よしの伊勢屋の娘のところへやってきた婿養子が、入れ替わり立ち代わり、3人も死んだと言う話を隠居のところへ持ち込んだ八五郎が、何故だと聞く。隠居は「伊勢屋の婿たちは房事過多で死んだのだろう」と言いたいのだが露骨には言えないので、それとなく匂わせて語るのだが、解せぬ八五郎が頓珍漢の受け答え。身をくねらせて色っぽい仕草で説く志らくの説明が秀逸。”ご飯なんかを旦那に渡そうとして、手と手が触れる。白魚を5本並べたような、透き通るようなおかみさんの手だ。そっと前を見る。……ふるいつきたくなるような、いい女だ。……短命だよ”
茶碗を渡すときの指と指の触れあうシーンを再現したくて、家に帰った八五郎が、嫌がるがらっぱちの女房に命令して、飯を持った茶碗を受け渡しさせるが、女房の顔を見て、「ああ、俺は長命だ」。
ウィキペディには、隠居が、以下のような川柳で説明を試みると書いてあるのが面白い。
その当座 昼も箪笥の環(かん)が鳴り
新婚は夜することを昼間する
何よりも傍(そば)が毒だと医者が言い
この「短命」は、これまでに、何度か聞いているのだが、夫々の噺家によって、バリエーションがあって面白い。
「一文笛」は、はじめて聞く落語だが、米朝の新作落語だと言う。
それも、スリを主人公とした「情けが仇になる」と言う噺だが、しみじみとした人間の弱さ優しさが滲み出ていて、可笑しさの中に温かみを感じて面白い。
スリの親分が、商家の旦那の腰に下げた煙草入れをネタに財布を掏った鮮やかな手口を、手下に開陳して指導しているところへ、足を洗った兄貴分がやって来る。
兄貴は、このスリの軽はずみが子供の命を危うくしてしまったと語り始める。
このスリが、駄菓子屋の前で、一文の笛が買えないみすぼらしい子供が、店の老婆に追い払われているのを見て、自分の子供時代を思い出して可哀相になって、駄菓子屋から笛を失敬して子供の懐へ入れた。子供が懐の笛をピーピー吹いたので、老婆は、笛を盗んだなと思って、浪人になっている病気の親のところへ連れてきて怒った。元武士なので、盗人をするような子供に育てた覚えはない出て行けと叱ったので、子供は泣く泣く井戸に身を投げた。
命は取り留めたが、医者には大金が掛かるが、病気の親にはそんな金はなく、長屋中探しても無理で、子供が可哀相だと思うなら何で一文の金で笛を買って子供に与えなかったのか、それを盗人根性と云うんだ。子供が死んだらどうするんだ?と叱りつける。兄貴。堪忍してくれと、匕首を出して右手の人差し指と中指を落とし、もうこれで盗人やめると言う。子供はまだ生きていて入院に金が要ると聞き、その後、酒屋の前でいい酒を飲んでいる医者の所へ行って、ぶち当たって懐から金を奪う。
兄貴。何にも云わずにこの金使ってくれ。どうせ医者に戻る金だ。
指を二本落としたのにまだこう云う仕事が出来るのか? わしはギッチョ。
知らなかったが、流石に、米朝の作であり、胸にジーンと響く人情噺が、素晴らしい。
好々爺然とした丁寧で味のある談四楼の語り口が、素晴らしかった。