イノベーターとしてもこの3人は突出していて、クリステンセンの説くローエンドからの破壊的イノベーションと言うよりは、無消費のブルーオーシャンの追求であって、それを、途轍もない時代を画する最先端を驀進する超巨大企業にまで育てあげたのであるから、まさに、小さな産業革命の牽引者とも言うべき偉業である。
さて、イノベーターのジレンマに興味のある私の関心は、やはり、イノベーターのイノベーターたる由縁の3人のパーソナル・アンカー(個人的な強み)が何でありどのように働いて巨大な業績を上げたのか、そして、その引退後に、植え付けた企業文化が生き続けて成長を持続できるのかと言うことである。
ゲイツはマイクロソフトに、ソフトウェアをテクノロジーとビジネスの両面から深く理解する文化を植え付けた。グローブはインテルに、マネジメントと業務運営を「エンジニアリングのように」厳密に実行するための規律を確立した。ジョブズはアップルに、テクノロジーに詳しくない人手も複雑な技術を直感的に操作できる、ユニークな生産デザインをもたらした。
これらのパーソナル・アンカーは、彼らの会社への貢献の基盤となり、組織の真価の道筋を示すものとして機能した。この強みが、CEOの仕事の優先度に影響を与え、パターン化した戦略的思考を導き、人材の採用基準から権限の委譲範囲に至るまで様々な意思決定やルーチンの基礎になった。と言う。
ゲイツのソフトウェアへの情熱、グローブの規律への情熱、ジョブズのデザインへの情熱に代表される特徴的な関心や強みは、経済やビジネスが不確実な時代には、企業文化やコンピテンシー戦略的指針を与え、会社が注力すべきものを明確にし、軌道から逸れるのを防ぐ役割を果たす。
しかし、このアンカーは、船を固定する碇であるから、攻撃に対しては脆弱であり、それまでは成功していたとしても、テクノロジーや市場など企業環境が変化し、新たなライバルが台頭すると、コアコンピタンシーはすぐに盲点化、硬直化してしまう。
さて、後継者の問題についてである。
ゲイツ、グローブ、ジョブズは、CEOである自らの弱点を補完し、企業経営で右腕となってくれ、様々な個性やスキルを持つパートナーを採用し、そして、その中から重要な人物を後継者に選んだ。
しかし、ゲイツ、グローブ、ジョブズの成功に不可欠だったバルマー、バレット、クックだが、後継者CEOとしては苦戦しており、おそらく、3人の代わりを務められるリーダーはどこにもいなかった。3人は、忠実な右腕を後継者に指名したのは間違いで、次世代の技術や顧客、競合に詳しい新しい感覚を持つリーダーを探せたはずだった。と著者たちは言う。
3人が去った後のマイクロソフト、インテル、アップルの事業の推移や苦境については、省略するが、著者は、最後に、競合イノベーターであるラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス、馬化騰について語っていて興味深い。
補完は代替にはならないと言う教訓でもあるが、日本にも、一代で築き上げたダントツの成功企業がいくらか存在するのだが、その成功企業の創業経営者が、去ってしまえば同じような軌跡を辿るのであろうか。
全く事情も違うし条件も違うのだが、別な意味でイノベーターが直面せざるを得ないジレンマと言うべきであろうか。
結局、この3人のイノベーターの戦略論も、GAFAの創業者のような傑出したイノベーターあっての有効な戦略戦術であって、そのようなパーソナル・アンカーを備えたイノベーターが登場しない限り意味をなさないと言うことであろう。
さて、イノベーターのジレンマに興味のある私の関心は、やはり、イノベーターのイノベーターたる由縁の3人のパーソナル・アンカー(個人的な強み)が何でありどのように働いて巨大な業績を上げたのか、そして、その引退後に、植え付けた企業文化が生き続けて成長を持続できるのかと言うことである。
ゲイツはマイクロソフトに、ソフトウェアをテクノロジーとビジネスの両面から深く理解する文化を植え付けた。グローブはインテルに、マネジメントと業務運営を「エンジニアリングのように」厳密に実行するための規律を確立した。ジョブズはアップルに、テクノロジーに詳しくない人手も複雑な技術を直感的に操作できる、ユニークな生産デザインをもたらした。
これらのパーソナル・アンカーは、彼らの会社への貢献の基盤となり、組織の真価の道筋を示すものとして機能した。この強みが、CEOの仕事の優先度に影響を与え、パターン化した戦略的思考を導き、人材の採用基準から権限の委譲範囲に至るまで様々な意思決定やルーチンの基礎になった。と言う。
ゲイツのソフトウェアへの情熱、グローブの規律への情熱、ジョブズのデザインへの情熱に代表される特徴的な関心や強みは、経済やビジネスが不確実な時代には、企業文化やコンピテンシー戦略的指針を与え、会社が注力すべきものを明確にし、軌道から逸れるのを防ぐ役割を果たす。
しかし、このアンカーは、船を固定する碇であるから、攻撃に対しては脆弱であり、それまでは成功していたとしても、テクノロジーや市場など企業環境が変化し、新たなライバルが台頭すると、コアコンピタンシーはすぐに盲点化、硬直化してしまう。
さて、後継者の問題についてである。
ゲイツ、グローブ、ジョブズは、CEOである自らの弱点を補完し、企業経営で右腕となってくれ、様々な個性やスキルを持つパートナーを採用し、そして、その中から重要な人物を後継者に選んだ。
しかし、ゲイツ、グローブ、ジョブズの成功に不可欠だったバルマー、バレット、クックだが、後継者CEOとしては苦戦しており、おそらく、3人の代わりを務められるリーダーはどこにもいなかった。3人は、忠実な右腕を後継者に指名したのは間違いで、次世代の技術や顧客、競合に詳しい新しい感覚を持つリーダーを探せたはずだった。と著者たちは言う。
3人が去った後のマイクロソフト、インテル、アップルの事業の推移や苦境については、省略するが、著者は、最後に、競合イノベーターであるラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス、馬化騰について語っていて興味深い。
補完は代替にはならないと言う教訓でもあるが、日本にも、一代で築き上げたダントツの成功企業がいくらか存在するのだが、その成功企業の創業経営者が、去ってしまえば同じような軌跡を辿るのであろうか。
全く事情も違うし条件も違うのだが、別な意味でイノベーターが直面せざるを得ないジレンマと言うべきであろうか。
結局、この3人のイノベーターの戦略論も、GAFAの創業者のような傑出したイノベーターあっての有効な戦略戦術であって、そのようなパーソナル・アンカーを備えたイノベーターが登場しない限り意味をなさないと言うことであろう。