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マンガ感想-『Q.E.D. 証明終了 4』加藤元浩

2009年10月04日 | マンガ感想
「1st,April,1999」★★★☆ 7
~あらすじ~
日本企業の悪辣な開発援助で窮地に陥ったクラビウス王国のバウム外務次官は、秘策を胸に来日する。
一方、燈馬は前年に優勝してしまったエイプリルフール・クラブの企画に頭を悩ませていた……。

~感想~
たがいに関わりのないと思われた事柄がいくつも連関し、最後に見事な結実を見せる。
エイプリルフールという題材にふさわしい、意外性のある結末が切れる。のだが……
↓以下独り言↓
グリアの行動のツメが甘く、燈馬の独断による助けがなければ、この計画は成立しないのではなかろうか?


「ヤコブの階段」★★☆ 5
~あらすじ~
MITでエバが研究を進めていた人工生命が、不可解な行動を始めた。
同じころ、日本の都心では原因不明のシステムダウン事故が発生し……。

~感想~
本格ミステリにはたとえば歴史背景、神話伝承、そんなに大げさなものでなければ童謡や都市伝説などの意匠を用い、それと絡めることで雰囲気作りをする技がよく使われる。
この作品の場合は旧約聖書の「ヤコブの階段」がそれで、人工生命という科学の最先端に位置するモチーフとうまく組み合わせ、小粒な話を佳作にまで押し上げることに成功している。
「本格ミステリは雰囲気」説を後押しする、いい見本かもしれないと思ったり。
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