~あらすじ~
“30歳”という岐路の年齢に立つ幼なじみの二人の女性。都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。あの“殺人事件”が起こるまでは……。
~感想~
痛い人間を描かせたら若手随一の作者だが、今回の主要人物は痛いを通り越してマンガかなにかでしか見たことがないような、現実性を放棄したレベルに達している。
だが、一人の失踪した女の足取りと半生を追っていく構成は、宮部みゆきの傑作『火車』を思わせ、最後まで興味を引くだろう。
しかしこの作品を「ミステリ」と形容するのはおそらく間違いで、(以下ネタバレ)失踪したチエミを追うみずほが探偵役として動くものの、彼女がたどり着いた真相はラストで否定され、しかも真実はチエミ自らによって明かされ、探偵役のみずほはというと、いくら盲点に隠れていたとはいえ、ほとんどポッと出の人物(それも一切登場せず助言だけ与えている)によって真相を示されるというていたらくで、純文学として評価するほうが正しいのではなかろうか。たぶん女性ならもっと楽しめる本なんだろなあ。
……ところで終章に小鳥遊練無が友情出演しているのはなぜなんだろう。
09.10.15
評価:★★★ 6
“30歳”という岐路の年齢に立つ幼なじみの二人の女性。都会でフリーライターとして活躍しながら幸せな結婚生活をも手に入れたみずほと、地元企業で契約社員として勤め、両親と暮らす未婚のOLチエミ。少しずつ隔たってきた互いの人生が、重なることはもうないと思っていた。あの“殺人事件”が起こるまでは……。
~感想~
痛い人間を描かせたら若手随一の作者だが、今回の主要人物は痛いを通り越してマンガかなにかでしか見たことがないような、現実性を放棄したレベルに達している。
だが、一人の失踪した女の足取りと半生を追っていく構成は、宮部みゆきの傑作『火車』を思わせ、最後まで興味を引くだろう。
しかしこの作品を「ミステリ」と形容するのはおそらく間違いで、(以下ネタバレ)失踪したチエミを追うみずほが探偵役として動くものの、彼女がたどり着いた真相はラストで否定され、しかも真実はチエミ自らによって明かされ、探偵役のみずほはというと、いくら盲点に隠れていたとはいえ、ほとんどポッと出の人物(それも一切登場せず助言だけ与えている)によって真相を示されるというていたらくで、純文学として評価するほうが正しいのではなかろうか。たぶん女性ならもっと楽しめる本なんだろなあ。
……ところで終章に小鳥遊練無が友情出演しているのはなぜなんだろう。
09.10.15
評価:★★★ 6