~あらすじ~
ある日、車を運転していた日本人の男が突然視力を失う事態に見舞われる。しかし、彼を診た医者によれば、眼球に異常はなく原因は不明だった。その後、同様の患者が各地で続出、混乱が広がっていく。感染症の疑いが濃厚となり、政府は緊急隔離政策を発動し、発症者を片っ端から隔離病棟へと強制収容していくが……。
~感想~
設定自体は悪くないのに脚本が台無しにしている印象。人間のエゴ・欲望・醜さを克明に描くのもいいが、ただ淡々とそれが描かれるだけではなにも訴えかけるものがない。
徐々に汚れていく屋内の様子とか、歪んでいく人間関係の描写、すべての人物が「最初に発症した男」「医師の妻」など固有名詞が与えられず記号化されている、などの設定は細かいのに、肝心のところで「もともと盲目の鑑定士(??)でした」という強引すぎるキャラや、この極限状況の中で貴重品を集めてどうするの? いくら銃を持っていても盲目だったらいくらでも対処法なくね? という根源的な疑問、なげやりすぎるラストと、あちこちで破綻が起きてしまっている。
ただ後味が悪いだけの、得るものの少ない作品である。
評価:★ 2