![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/73/259252c3fe94270e5577591e9e991e2a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/39/ae7d5d8d1f40f05b8f3592b65bde20f1.jpg)
~あらすじ~
1982年、嵐の山村で大量殺人が発生。被害者は喉を鎌で掻き切られていた。
生き残った中学生たちの証言から警察は犯人を断定した。
そして9年後、またもや猟奇殺人事件が起こる。凶器は、鎌だった。
07年本ミス7位
~感想~
何もかも好みではなく普通に感想を書くと暴言しか吐けない。
逐一伏せ字にするのが面倒なので、以下↓ネタバレ↓
まず無駄な三文ポルノ描写の数々。動機その他に密接に絡んでいるのは理解するが、第一部では童貞中坊の妄想、第二部では肉食系女子の男性遍歴、第三部ではイ●ポの変態オ●ニーと無駄にプラトニックな男女関係が何かというと描かれいちいちうっとうしい。
設定は完全に無茶で、第二部は犯人が自分が犯人であることをそこだけ都合よくすっぱり忘れており、ミスディレクションとかそんなレベルではない。第三部は途中から省路が凄腕の殺し屋になるのも意味不明で、それに魔法のように都合よく操られる貫太もわけがわからない。第四部はもう超展開と呼ぶしかない惨状で「よくよく見れば、あの繭子なのだ」っていったいどういうことだ。ジャネットら悪のチャーリーズ・エンジェル(笑)みたいな謎の(笑)組織(笑)が存在し、特殊な訓練(笑)によって気配や雰囲気はもちろんのこと顔形も自在に変えられるのだろうか。第一なぜ繭子の個人的な復讐に悪のチャーリーズ・エンジェル(笑)は組織ぐるみで協力しているのだ。ひょっとして組織は繭子に乗っ取られたりしているのか。なんだそのサクセス・ストーリーは。
事件の真相はといえば動機その他はともかくも、1982年の生存者-アリバイのある人(貫太、省路)-9年後に殺された人(川嶋)=で犯人自体は第三部の開始早々にわかってしまう親切設計なのもいただけない。文庫版なら下巻の開始時点だぞそれ。
また明らかに長大すぎる分量に「この時は気付かなかったが実はこうだったのだ」と漫画版の「攻殻機動隊」か清涼院流水の「彩紋家事件」ばりにいちいち付される注意書きも鼻につくし、時折思い出したように飛び出してくる作者特有のノリの軽いセリフも浮いてしまっている。
評価できるのは第五部で明かされる物語の構図とタイトルの意味くらいなもので、作者はミステリではなくノワール小説か何かを書いたつもりなのかもしれないが、それにしても牽強付会かつ強引かつ無茶な展開が目につき鼻につき、個人的には少しも楽しめなかった。
西澤保彦はもう読まなくていいかな……。
14.12.17
評価:☆ 1