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ミステリ感想-『機龍警察 白骨街道』月村了衛

2021年09月09日 | ミステリ感想
~あらすじ~
軍事機密を盗み、ミャンマー政府に逮捕された日本人男性の引き取りに、姿ら突入班の3人が指名される。
それは事実上、3人の死を目的とする「敵」の陰謀だった。
インパール作戦の犠牲となった日本兵が眠る「白骨街道」へ突入班は向かう。
機龍警察シリーズ第6弾。


~感想~
前作「狼眼殺手」はシリーズ初のロボットバトル無しという異例の展開だったが、本作も早々に突入班が龍騎兵から離され遠くミャンマーへと出向させられてしまうが、心配は無用。前作で休んだ分、二作分の激しいロボットバトルが繰り広げられる。
もっと熱いのは白兵戦で、突入班の3人がパーティーを組み同じ戦場でサバイバルするのだからたまらない。特に死神の異名を取るライザの無双ぶりは期待以上のものとなるだろう。
当然このシリーズがそれだけで留まるはずはなく、日本国内では「敵」の正体を探るべく警察の地道な調査が行われ、大きな陰謀へと巻き込まれていく。それに加えてあるミステリ的な展開や仕掛けがいくつも絡んでくるのだからすさまじい。
いつもながらの、と言ってしまえるのが本当に空恐ろしい、いつもながらのSF・ロボットバトル・警察捜査にさらに白兵戦・サバイバル・陰謀を上乗せした贅沢な最新作だった。

ところで特に具体的な年代を示す描写が無かった(と思う)ため舞台を近未来と思っていたが、年代自体は現実世界と同じで、科学技術だけが数十年先を行っている、ちょっと珍しい趣向だと今さらながらに気づいた。(※長いこと読んでるので今さら思い出しただけかもしれない)


21.9.7
評価:★★★★ 8
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