2014年
ブログへのコメントでおすすめいただいた北山猛邦「『ギロチン城』殺人事件」が空前の面白さだった。今思い返してみてもあれはミステリ史に残っていい作品だったと思う。もっと知られてくれ。
倉阪鬼一郎が毎年秋に刊行していたバカミスはこの年の「波上館の犯罪」で頂点を極めた。すさまじく労力がかかってるけど数ページ読んだら気づく仕掛けで読者の度肝を抜いた。
麻耶雄嵩は「さよなら神様」で神様が一行目に犯人を公開するという神業を披露。やっぱり麻耶は頭おかしい。
「ゴールデンスランバー」は絶賛したものの、「陽気なギャングが地球を回す」が全く口に合わず数十ページで挫折した伊坂幸太郎に再挑戦。この後は読むたびに好きな作家になっていたが「陽気な~」にはまだ挑んでいない。
乱歩賞が久々に輩出した有望新人の下村敦史が「闇に香る嘘」でデビュー。これも語り手が全盲の中国残留孤児の老人という、題材が面倒すぎて誰も手出ししないものだが、今後も誰も書かない未知の鉱脈を延々と探し続ける稀有の作家となっていく。
メフィスト賞からは早坂吝が「◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件」で衝撃のデビュー。エロと本格ミステリを融合させた作品をこの後も出し続けるし、エロを離れても優れた、本格ミステリの新たな旗手になるとはこの時点ではまだ思わなかった。
さらに大型新人としては白井智之のデビューもこの年。グロとSFと本格ミステリの悪魔合体で、その卓抜した発想はSF界隈でも話題になっていく。自分は正直ここ十年の新人の中で最も評価している。
年末ランキングは米澤穂信がノンシリーズ短編集で制した。
個人的には全然話題にならなかった(と思うが)歌野晶午「ずっとあなたが好きでした」は新たな代表作になっていいと思う。
島田荘司御大は「幻肢」で初の映画化された。なぜ「幻肢」でと疑問しか湧かない出来事だった。
余談だが2ちゃんで昨日読んだ本の感想と十数年前の感想を一緒くたにされ「あいつの主張は一貫してない」と無茶な叩かれ方をしたのもこの年だった。あれは笑った。
2015年
伝説的な噂だけ聞いていた依井貴裕「夜想曲」をゲット。噂に違わぬ良作だった。
旧作では高野和明「ジェノサイド」を読んだ。作者が日本人でなければとっくにハリウッド映画化されていただろう歴史的傑作である。
赤川次郎も初体験。デビュー作「幽霊列車」は奇想揃いの珠玉短編集だった。
メフィスト賞でデビューした井上真偽が「その可能性はすでに考えた」で飛躍を遂げた。ノベルス版で30ページ程度の問題編から無理くりひねり出されたバカトリックを、全ての可能性を検討済みの名探偵がタイトル通りに瞬殺するという驚異の作品で、続編はより出来が良かった。
深水黎一郎は「ミステリー・アリーナ」で多重推理ジャンルの限界に挑戦。最高の褒め言葉のつもりなのだが、まさに全力の悪ふざけだった。
北山猛邦は「オルゴーリェンヌ」であるジャンルの最高到達点を叩き出した。そのジャンルがなんなのか口にするだけで即ネタバレとなるため今後も語られることはないだろうが、間違いなく一つの頂点である。
ブログへのコメントでおすすめいただいた北山猛邦「『ギロチン城』殺人事件」が空前の面白さだった。今思い返してみてもあれはミステリ史に残っていい作品だったと思う。もっと知られてくれ。
倉阪鬼一郎が毎年秋に刊行していたバカミスはこの年の「波上館の犯罪」で頂点を極めた。すさまじく労力がかかってるけど数ページ読んだら気づく仕掛けで読者の度肝を抜いた。
麻耶雄嵩は「さよなら神様」で神様が一行目に犯人を公開するという神業を披露。やっぱり麻耶は頭おかしい。
「ゴールデンスランバー」は絶賛したものの、「陽気なギャングが地球を回す」が全く口に合わず数十ページで挫折した伊坂幸太郎に再挑戦。この後は読むたびに好きな作家になっていたが「陽気な~」にはまだ挑んでいない。
乱歩賞が久々に輩出した有望新人の下村敦史が「闇に香る嘘」でデビュー。これも語り手が全盲の中国残留孤児の老人という、題材が面倒すぎて誰も手出ししないものだが、今後も誰も書かない未知の鉱脈を延々と探し続ける稀有の作家となっていく。
メフィスト賞からは早坂吝が「◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件」で衝撃のデビュー。エロと本格ミステリを融合させた作品をこの後も出し続けるし、エロを離れても優れた、本格ミステリの新たな旗手になるとはこの時点ではまだ思わなかった。
さらに大型新人としては白井智之のデビューもこの年。グロとSFと本格ミステリの悪魔合体で、その卓抜した発想はSF界隈でも話題になっていく。自分は正直ここ十年の新人の中で最も評価している。
年末ランキングは米澤穂信がノンシリーズ短編集で制した。
個人的には全然話題にならなかった(と思うが)歌野晶午「ずっとあなたが好きでした」は新たな代表作になっていいと思う。
島田荘司御大は「幻肢」で初の映画化された。なぜ「幻肢」でと疑問しか湧かない出来事だった。
余談だが2ちゃんで昨日読んだ本の感想と十数年前の感想を一緒くたにされ「あいつの主張は一貫してない」と無茶な叩かれ方をしたのもこの年だった。あれは笑った。
2015年
伝説的な噂だけ聞いていた依井貴裕「夜想曲」をゲット。噂に違わぬ良作だった。
旧作では高野和明「ジェノサイド」を読んだ。作者が日本人でなければとっくにハリウッド映画化されていただろう歴史的傑作である。
赤川次郎も初体験。デビュー作「幽霊列車」は奇想揃いの珠玉短編集だった。
メフィスト賞でデビューした井上真偽が「その可能性はすでに考えた」で飛躍を遂げた。ノベルス版で30ページ程度の問題編から無理くりひねり出されたバカトリックを、全ての可能性を検討済みの名探偵がタイトル通りに瞬殺するという驚異の作品で、続編はより出来が良かった。
深水黎一郎は「ミステリー・アリーナ」で多重推理ジャンルの限界に挑戦。最高の褒め言葉のつもりなのだが、まさに全力の悪ふざけだった。
北山猛邦は「オルゴーリェンヌ」であるジャンルの最高到達点を叩き出した。そのジャンルがなんなのか口にするだけで即ネタバレとなるため今後も語られることはないだろうが、間違いなく一つの頂点である。