2011年
先日「3.11の時なにを読んでいたか」という話題になって見返したら水田美意子「殺人ピエロの孤島同窓会」を首をひねりながら読み返していたのを思い出した。作者は12歳というただそれだけでデビューした代物で、何を言っても大人げなくなるから言及しづらいが、うん、まあ、12歳であんな量の文章を書けたのはすごいと思う。
その2週後には日本一のダメミスと自信を持って推薦できる森山赳志「黙過の代償」も読んだ。これはもう本当にすごいので逆に読んで欲しい。
乱歩賞でデビューした遠藤武文「プリズン・トリック」もダメミス界を賑わせた。その後なんと市議会議員になってしまったのも面白すぎた。
1998年のデビュー作「名探偵に薔薇を」をネタ被りと理不尽に批判され、以来マンガ原作等で活動していた城平京が「虚構推理」で13年ぶりにカムバック。4年後にマンガ化、9年後にアニメ化とやや遅咲きの花を咲かせた。
麻耶雄嵩は「メルカトルかく語りき」で本格ミステリの極北に挑んだ。
面白く読んでいた海堂尊「チーム・バチスタの栄光シリーズ」はこの年に読んだ「イノセント・ゲリラの祝祭」で見限った。
オールタイム・ベスト10に入る宮部みゆき「模倣犯」をこの年に読んだ。あの解決編は歴代1位くらい好き。
本格ミステリ界のトピックとして、米澤穂信「折れた竜骨」が「特殊設定ミステリ」と呼ばれ、この手の作品の総称として定着していくこととなった。
2012年
綾辻行人の待望の館シリーズ第9弾「奇面館の殺人」がリリース。法月綸太郎も久々の長編「キングを探せ」を出した。
個人的に猛プッシュしている似鳥鶏は「楓ヶ丘動物園シリーズ」を開始。色々と映像化しづらい「市立シリーズ」とは異なり、容易にアニメ化もできるし門戸の広い気軽に楽しめる作品なのでいつかブレイクしてくれ。
個人的には思い出したくもない事情により一時的に小説家全般に嫌気が差して10冊程度しか読めなかった年だった。
2013年
島田荘司御大が「アルカトラズ幻想」で豪腕の健在ぶりを示し、信者としてもうれしくなりミステリ愛を取り戻した。
御大は7年ぶりの御手洗潔シリーズ「星籠の海」も出したが…映画化もされたけど…もっと面白いシリーズはいくらでもあったわけで…一般層の目に触れる島田作品は微妙なものばかりで悲しい。
受賞者の打率が極めて低い日本ミステリー文学大賞新人賞を獲得した葉真中顕が「ロスト・ケア」でデビューし、以降も様々なジャンルで活躍する。
浦賀和宏は「彼女の血が溶けてゆく」で桑原銀次郎シリーズを開始。SFやぶっ飛んだ設定を好む作者だが、地に足のついた堅実な、しかし途方もない超展開を見せる良作揃いで、もう少し話題になってもよかった。
メフィスト賞からは周木律が「眼球堂の殺人」でデビュー。本格ミステリの良いところと駄目なところを凝縮したような、何かと粗い作品ばかりだが、あの頃の館ミステリをまた見せてくれたことには感謝している。
さらに横溝正史ミステリ大賞からは河合莞爾も「デッドマン」でデビュー。隠す気がさらさら無い島田荘司愛にあふれた作品で、正統後継者の貫禄を以後の作品でも見せつける。
寡作で知られる倉知淳はまさかの2ヶ月連続で新作を出したが、以降毎年のように新作を出し続け、単に刊行してくれる出版社が見つからなかっただけなのでは?と思わせたし、何かをこじらせたようで質がガクンと落ちたのはファンとして残念な限りである。
年末のランキングでは、後にまさかのキムタク主演でドラマ化された長岡弘樹「教場」がこのミス2位、文春1位と上位を賑わせた。
連城三紀彦が逝去した。著作は後年は恋愛物ばかりだったが、恋愛小説でありながらミステリでもあり続け、三津田信三に「あれほどのミステリ作品を書いた作家が、そう安々と己がミステリスピリットを捨てるわけがない。いや、仮に本人が捨てようと思っても、それは自然と滲み出してくるのではないか――。実際、その期待は裏切られませんでした」と言わしめた。
先日「3.11の時なにを読んでいたか」という話題になって見返したら水田美意子「殺人ピエロの孤島同窓会」を首をひねりながら読み返していたのを思い出した。作者は12歳というただそれだけでデビューした代物で、何を言っても大人げなくなるから言及しづらいが、うん、まあ、12歳であんな量の文章を書けたのはすごいと思う。
その2週後には日本一のダメミスと自信を持って推薦できる森山赳志「黙過の代償」も読んだ。これはもう本当にすごいので逆に読んで欲しい。
乱歩賞でデビューした遠藤武文「プリズン・トリック」もダメミス界を賑わせた。その後なんと市議会議員になってしまったのも面白すぎた。
1998年のデビュー作「名探偵に薔薇を」をネタ被りと理不尽に批判され、以来マンガ原作等で活動していた城平京が「虚構推理」で13年ぶりにカムバック。4年後にマンガ化、9年後にアニメ化とやや遅咲きの花を咲かせた。
麻耶雄嵩は「メルカトルかく語りき」で本格ミステリの極北に挑んだ。
面白く読んでいた海堂尊「チーム・バチスタの栄光シリーズ」はこの年に読んだ「イノセント・ゲリラの祝祭」で見限った。
オールタイム・ベスト10に入る宮部みゆき「模倣犯」をこの年に読んだ。あの解決編は歴代1位くらい好き。
本格ミステリ界のトピックとして、米澤穂信「折れた竜骨」が「特殊設定ミステリ」と呼ばれ、この手の作品の総称として定着していくこととなった。
2012年
綾辻行人の待望の館シリーズ第9弾「奇面館の殺人」がリリース。法月綸太郎も久々の長編「キングを探せ」を出した。
個人的に猛プッシュしている似鳥鶏は「楓ヶ丘動物園シリーズ」を開始。色々と映像化しづらい「市立シリーズ」とは異なり、容易にアニメ化もできるし門戸の広い気軽に楽しめる作品なのでいつかブレイクしてくれ。
個人的には思い出したくもない事情により一時的に小説家全般に嫌気が差して10冊程度しか読めなかった年だった。
2013年
島田荘司御大が「アルカトラズ幻想」で豪腕の健在ぶりを示し、信者としてもうれしくなりミステリ愛を取り戻した。
御大は7年ぶりの御手洗潔シリーズ「星籠の海」も出したが…映画化もされたけど…もっと面白いシリーズはいくらでもあったわけで…一般層の目に触れる島田作品は微妙なものばかりで悲しい。
受賞者の打率が極めて低い日本ミステリー文学大賞新人賞を獲得した葉真中顕が「ロスト・ケア」でデビューし、以降も様々なジャンルで活躍する。
浦賀和宏は「彼女の血が溶けてゆく」で桑原銀次郎シリーズを開始。SFやぶっ飛んだ設定を好む作者だが、地に足のついた堅実な、しかし途方もない超展開を見せる良作揃いで、もう少し話題になってもよかった。
メフィスト賞からは周木律が「眼球堂の殺人」でデビュー。本格ミステリの良いところと駄目なところを凝縮したような、何かと粗い作品ばかりだが、あの頃の館ミステリをまた見せてくれたことには感謝している。
さらに横溝正史ミステリ大賞からは河合莞爾も「デッドマン」でデビュー。隠す気がさらさら無い島田荘司愛にあふれた作品で、正統後継者の貫禄を以後の作品でも見せつける。
寡作で知られる倉知淳はまさかの2ヶ月連続で新作を出したが、以降毎年のように新作を出し続け、単に刊行してくれる出版社が見つからなかっただけなのでは?と思わせたし、何かをこじらせたようで質がガクンと落ちたのはファンとして残念な限りである。
年末のランキングでは、後にまさかのキムタク主演でドラマ化された長岡弘樹「教場」がこのミス2位、文春1位と上位を賑わせた。
連城三紀彦が逝去した。著作は後年は恋愛物ばかりだったが、恋愛小説でありながらミステリでもあり続け、三津田信三に「あれほどのミステリ作品を書いた作家が、そう安々と己がミステリスピリットを捨てるわけがない。いや、仮に本人が捨てようと思っても、それは自然と滲み出してくるのではないか――。実際、その期待は裏切られませんでした」と言わしめた。