2009年
講談社BOXとはなんだったのか。島田荘司「Classical Fantasy Within」を見るたびに思い出す。
まず講談社BOXはうっすい本を化粧箱に入れることで飛躍的に価格を高騰させただけの装幀で、西尾維新「化物語」のおかげでたぶん爆発的に売れたが、本棚のスペースは取るわ高さが合わなくてそもそも本棚にしまいづらいわで値段以外も良いところがなかった。
そして島田荘司「Classical Fantasy Within」は12ヶ月連続刊行で太平洋戦争→中世ファンタジー→未来都市がストーリーに一見して繋がりがなく描かれるが、終わってみれば本格ミステリとしてまとまるという触れ込みで出たものの、あっさり12ヶ月連続刊行が頓挫するだけならまだしも、8作目で完全に停止してしまい今に至るという有様で、つまり全然本格ミステリとしてまとまっていない。士郎正宗の美麗なイラストと、8作目が単品で優れた本格ミステリだから信者はわりと許してるけどな。
メフィスト賞では望月守宮が「無貌伝シリーズ」でデビュー。自分にはスマッシュヒットしたが世間的には一切話題にならなかったし、シリーズ完結後には音沙汰なく、後のメフィスト賞作家に望月姓を使われたりとたぶん抹殺された。異能力バトルと本格ミステリを融合させ、名探偵にスポットライトを当てた面白い本なので一人でもいいから読んで欲しい。
望月守宮に限らず、この頃に受賞した二郎遊真、赤星香一郎、丸山天寿はあっという間にいなくなってしまった。
清涼院流水(現在)最後のミステリとなった「コズミック・ゼロ」が出たのもこの年か。「コズミックのような作品を」と依頼されてタイトルにコズミックを入れてしまうのは流石である。内容もこれがダメミスだ!と見せつけるようなすごいものだった。
講談社は島田荘司御大に選んでもらいアジアの本格ミステリを何冊か刊行した。2冊読んで「このミス海外版のランキング上位を読んだほうがいいのでは?」と気づいたため追わなかったが、これもあっという間に終わったっけ。
エジプト旅行の懸賞付きミステリの触れ込みで、ふじしろやまと「Rの刻印」が出版されたがこれも酷かった。何が酷いって小説としてミステリとしてつまらなすぎた。ただつまらないだけではなく文章も酷かった。第二弾も無かった。今見たら綾辻・有栖川が推薦してて笑った。
2020年に「medium」で斯界を震撼させた相沢沙呼が鮎川賞を獲得してデビュー。新人潰しとしか思えない難癖つけてるだけの北村薫・山田正紀・笠井潔の選評は今見ても酷い。「この作品はあまりに達者すぎるし、完成されすぎていて、ここに探偵小説の未来を託すのは難しいかもしれない」ってマジでなんだったの山田センセ? 宮部みゆきや京極夏彦はもっと達者だったろ……。
また綾辻行人の新作というだけではないホラーとミステリの融合の大傑作「Another」が話題を呼んだ。
2010年
なぜか清涼院流水「トップラン」シリーズを読んでしまったが感想は控えておく。
道尾秀介が「光媒の花」で地の文で書いた事実を後からあっさり否定して「ミステリを離れて書くことはこんなに自由なのかと感じた」「自分の作品のミステリという側面ばかり取り上げられるのが嫌」とかのたもうたため見限った。自分、道尾を見限った速さには自信あります!
湊かなえも「告白」後はいまいちでこのあたりで切った。以後もランクインはしていない。
麻耶雄嵩は後の月9原作「貴族探偵」を刊行。いや今かえりみても麻耶が月9!? 収録された短編「こうもり」は2000年代最高傑作の一つに数えられるだろう。
西尾維新は完全にラノベに舵を切った「零崎人識の人間関係」を一気に4冊刊行。
七河迦南「アルバトロスは羽ばたかない」が知名度の低さを乗り越えてランクインしたが、そういえばこの人もすっかり見なくなってしまったな…。
東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」がありえないほど馬鹿売れして、本格ミステリが大衆に受け入れられ始めたのもこの辺からだったと思う。ぶっちゃけそこまで出来の良くない本作が大ヒットするのだからわからないものだ。
個人的には島田荘司が写楽の正体を突き止めた「写楽 閉じた国の幻」も面白かった。これも続編を匂わせたけど出ていない。続編でそれ以上に何か書くことがあったとも思えないが。
講談社BOXとはなんだったのか。島田荘司「Classical Fantasy Within」を見るたびに思い出す。
まず講談社BOXはうっすい本を化粧箱に入れることで飛躍的に価格を高騰させただけの装幀で、西尾維新「化物語」のおかげでたぶん爆発的に売れたが、本棚のスペースは取るわ高さが合わなくてそもそも本棚にしまいづらいわで値段以外も良いところがなかった。
そして島田荘司「Classical Fantasy Within」は12ヶ月連続刊行で太平洋戦争→中世ファンタジー→未来都市がストーリーに一見して繋がりがなく描かれるが、終わってみれば本格ミステリとしてまとまるという触れ込みで出たものの、あっさり12ヶ月連続刊行が頓挫するだけならまだしも、8作目で完全に停止してしまい今に至るという有様で、つまり全然本格ミステリとしてまとまっていない。士郎正宗の美麗なイラストと、8作目が単品で優れた本格ミステリだから信者はわりと許してるけどな。
メフィスト賞では望月守宮が「無貌伝シリーズ」でデビュー。自分にはスマッシュヒットしたが世間的には一切話題にならなかったし、シリーズ完結後には音沙汰なく、後のメフィスト賞作家に望月姓を使われたりとたぶん抹殺された。異能力バトルと本格ミステリを融合させ、名探偵にスポットライトを当てた面白い本なので一人でもいいから読んで欲しい。
望月守宮に限らず、この頃に受賞した二郎遊真、赤星香一郎、丸山天寿はあっという間にいなくなってしまった。
清涼院流水(現在)最後のミステリとなった「コズミック・ゼロ」が出たのもこの年か。「コズミックのような作品を」と依頼されてタイトルにコズミックを入れてしまうのは流石である。内容もこれがダメミスだ!と見せつけるようなすごいものだった。
講談社は島田荘司御大に選んでもらいアジアの本格ミステリを何冊か刊行した。2冊読んで「このミス海外版のランキング上位を読んだほうがいいのでは?」と気づいたため追わなかったが、これもあっという間に終わったっけ。
エジプト旅行の懸賞付きミステリの触れ込みで、ふじしろやまと「Rの刻印」が出版されたがこれも酷かった。何が酷いって小説としてミステリとしてつまらなすぎた。ただつまらないだけではなく文章も酷かった。第二弾も無かった。今見たら綾辻・有栖川が推薦してて笑った。
2020年に「medium」で斯界を震撼させた相沢沙呼が鮎川賞を獲得してデビュー。新人潰しとしか思えない難癖つけてるだけの北村薫・山田正紀・笠井潔の選評は今見ても酷い。「この作品はあまりに達者すぎるし、完成されすぎていて、ここに探偵小説の未来を託すのは難しいかもしれない」ってマジでなんだったの山田センセ? 宮部みゆきや京極夏彦はもっと達者だったろ……。
また綾辻行人の新作というだけではないホラーとミステリの融合の大傑作「Another」が話題を呼んだ。
2010年
なぜか清涼院流水「トップラン」シリーズを読んでしまったが感想は控えておく。
道尾秀介が「光媒の花」で地の文で書いた事実を後からあっさり否定して「ミステリを離れて書くことはこんなに自由なのかと感じた」「自分の作品のミステリという側面ばかり取り上げられるのが嫌」とかのたもうたため見限った。自分、道尾を見限った速さには自信あります!
湊かなえも「告白」後はいまいちでこのあたりで切った。以後もランクインはしていない。
麻耶雄嵩は後の月9原作「貴族探偵」を刊行。いや今かえりみても麻耶が月9!? 収録された短編「こうもり」は2000年代最高傑作の一つに数えられるだろう。
西尾維新は完全にラノベに舵を切った「零崎人識の人間関係」を一気に4冊刊行。
七河迦南「アルバトロスは羽ばたかない」が知名度の低さを乗り越えてランクインしたが、そういえばこの人もすっかり見なくなってしまったな…。
東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」がありえないほど馬鹿売れして、本格ミステリが大衆に受け入れられ始めたのもこの辺からだったと思う。ぶっちゃけそこまで出来の良くない本作が大ヒットするのだからわからないものだ。
個人的には島田荘司が写楽の正体を突き止めた「写楽 閉じた国の幻」も面白かった。これも続編を匂わせたけど出ていない。続編でそれ以上に何か書くことがあったとも思えないが。