オバマの存在が急速に薄れている。総論ばかりで固めた理屈では、世界を説得できない。就任早々に打ち上げた、反核兵器は世界から歓迎され、ノーベル”平和賞”をもらった。その後の6年ほどの間にすっかり色あせてしまった。反核は口に出すことすらがなくなった。きっと恥ずかしいのだろう。
無人偵察機の非人道性が今頃取り上げられるのも、オバマの存在が薄くなってきたからである。非人道性など初めから判っていることであ
る。シリアの空爆を決めながら、実行できなかった。代わって存在価値を露わにしてきたのは、プーチンである。CIAの内部暴露を行った、スノーデンをアメリカに引き渡さなかった。
常に世界で最も影響力のある人物としての立場を約束されていた、アメリカ大統領である。医療保険制度を盾に、共和党に足をすくわれて、議会を説得できなかったことも当然のなりゆくである。
更にオバマにとって厄介のことが起きた。世界の首脳の電話を傍受していたことがばれたのである。スノーデンの暴露である。戦後こうした裏外交のシステムが続けられていたことも判明した。イギリスなどの、ファイブアイズと言われる五か国以外はすべて対象になっていたようである。
最も反発しているのが、メリケルのドイツである。東西冷戦を最も深刻に受けることになったドイツは、こうした諜報戦には極めて敏感である。メリケルは東の出身である。
国家は秘密を持ち、さらには他国の秘密を知るために、アメリカのようなこうした機関や制度が必要だというのが、安倍首相である。秘密保護法や日本版NSCの創設や、憲法改正や自衛隊の増強を着々と行っている。これが積極的平和主義の実態である。