現在農産物輸出額世界第2位の国はオランダである。カロリーバースでもなければ、重量換算でもない。金額がアメリカに次いでいるのである。
この小国がこれほど稼いでいるのは、EUという地の利が背景にあるが、一気に巨大化した植物工場の野菜の生産が背景にある。
かつては、水耕栽培とよばれていたがさらに進化して、巨大なハウスで環境管理され生産されている。自然界と遮断されるため、病気や害虫の心配がなく、計画的に生産される。
殺菌された人工繊維に根を張り、供給される水の量も栄養も時間も温度も管理されて流される。化学肥料も農薬もほとんど与えられることがない。日照時間も温度も調整され、計画出荷が可能である。
何より働き手にとって、労働時間の調整ができることが魅力である。通常の雇用者として通常の労働力が得られる。
然しどう見てもこうした無機質の施設から健全な食糧が得られるとは思えない。無機質の植物工場からは、高水分高額な野菜ばかりが生産され、主食となる穀物や根菜類やイモの仲間は作られていない。
家畜でも同様のことが言える。きれいな環境の施設で飼育された家畜たちは、懸命に肉を作り卵を産み乳を泌乳する。それらの生産物をいくら分析してみても大きな違いは見つからない。
有機農業も同じである。生産物をいくら分析してみても、大きな違いや問題点はないのである。 懸命に生きている野菜たちがかわいそうに思えてならない。
有機の農産物は、プロダクト(Product:生産物)よりプロセス(Proces:過程)こそが、重要なのである。こうした植物工場は、食糧を作るプロセスに大きな問題があると言える。