詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

千人のオフィーリア(メモ37)

2017-12-02 10:47:55 | オフィーリア2016
千人のオフィーリア(メモ37)

「花は散った」
何の花? ばら、すみれ、りんごの花?

花は宇宙。
花はひと。
花は時間。
花は生命。

花は愛といい、
花は悲しみという。

花は真理か、嘘か
花はいくつあるか。
それが比喩ならば、
光かもしれないし、
鏡かもしれないし。

どこに散るのだろう。
大地にか、水の流れにか。

オフィーリア、オフィーリア、
十二月のオフィーリアはどこにいる?

空に散るか。
こころに散るか。

散るとは、
無になること。空になること。
そのとき生まれる色になること。
ことばになること。

「花は散った」と言ったのか。
「花は散った」と聞いたのか。
オフィーリアよ。

リッツォス詩選集――附:谷内修三「中井久夫の訳詩を読む」
クリエーター情報なし
作品社


*


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皇室会議は、成立要件を逸脱しているのでは?(安倍の沈黙作戦)

2017-12-02 09:14:53 | 自民党憲法改正草案を読む
見出しにならない部分(安倍の沈黙作戦)
             自民党憲法改正草案を読む/番外154(情報の読み方)

 2017年12月01日読売新聞(西部版・4版)、2017年12月01日読売新聞(西部版・14版)が「天皇強制生前退位」の日程(新天皇即位、改元)のニュースを伝えている。朝刊の見出しは、

天皇陛下4月30日退位/改元 15年5月1日/皇室会議

 である。
 皇室会議で、「天皇陛下4月30日退位」「改元 15年5月1日」が決まった。この「皇室会議」は具体的にどんなものだったか、「過程」が見出しにはない。見出しだから「過程」まで書く必要はないのだが、書かれていない部分に今回の「皇室会議」の異常なものが書かれている。

(1)
 ひとつは管が皇室会議に「陪席」していたということである。「皇室会議」について定めた「更新典範」には「陪席」という文言はない。出席者10人がだれになるかを決めているだけである。
 「陪席」とは何か。「陪席」で何をしていたか。読売新聞(1日夕刊)は、こう書短くいている。

政府から説明役として、管官房長官も陪席した。

 つまり、政府の考えを「説明した」ということ。
 安倍は「議長」であるから自分の意見を言うことができない。だから安倍の意見を言わせるために管を皇室会議に出席させ、そこで安倍の意見を言わせたということだろう。
 これまでに皇室会議は7回開かれている。そのときの「議題」は「皇籍離脱」と「結婚」である。政府(内閣)が、たとえば「皇太子の結婚」について「意見」を言う必要がない。「反対」とか「賛成」とか、「理由」を含めて言う必要がない。「反対」と言うときは、かなりの「根拠」がいる。「追認」(賛成)するだけである。
 今回、なぜ、「説明」する必要があったのか。
 「4月30日退位」というのが、何とも「不自然」だからである。日本には「新年」と「新年度」という区切りがある。そういう区切りに重なるなら、国民は納得しやすいが、それ以外の日が特別に選ばれるのでは、「なぜ」と思うだろう。
 2日朝刊には、

管官房長官は記者会見で、退位日を19年4月30日とした理由について、「陛下に在位満30年の節目である平成31年(19年)1月7日をお迎えいただきたい。4月前半は全国的に人の異動が激しく、統一地方選が実施される」と説明した。「4月29日の昭和の日につづいて退位、即位を実現することで、改めてわが国の営みを振り返り、決意を新たにすることができる」とも述べた。

 と書いてある。おそらく同じことを皇室会議でも言ったのだろう。説明は、「後出しジャンケン」のようなものだから、何とでも言うことができる。信じてはいけない。
 「統一地方選後」という設定については、選挙中は「静かな環境」ではない。だから、それを回避した(回避する)という「説明」が何度か報道されている。だが、民主主義の基本である選挙を「邪魔者」にする「説明」は、はたして「正しい」ものなのか。
 「選挙」が「静かな環境」に反するというのなら、たぶん19年の統一選は「天皇の退位を控えている。静かにすべきである」という「圧力」のもとに実施されるだろう。つまり、選挙に圧力をかけるために、あえて4月30日したということだろう。
 3月31日に退位、4月1日に即位、改元が「年度替わり」で忙しいというのなら、2月28日退位、3月1日即位、改元でもかまわないはずである。在位30年の節目(1月7日)は過ぎている。皇太子の誕生日(2月23日だったか)にあわせ、2月22日退位、23日即位、改元でもかまわないはずである。むしろ、誕生日にあわせた方がわかりやすいかもしれない。「天皇誕生日」の「祝日」もできる。今回の決定では、2019年には「天皇誕生日」がないことになる。

(2)
 もうひとつは、採決がなかったことである。それまでの皇室会議はかならず「採決」をとっている。「賛成」を明確に記録として残すためだろう。
 なぜ、今回は採決をしなかったのか。このことについては読売新聞(朝刊)3面に、こういう見出しがある。

採決せず「円満解決」/退位日 賛否割れ避ける

 これは、採決すれば「反対」があった可能性を示唆している。実際、皇室会議では、

特定の退位日を求める意見や日程に幅を持たせた意見、退位日を決める際の考え方に関する意見が出たという。

 「出席者」から取材したらしい。
 「議事録」がないのでわからないが、だれかが「4月30日以外の日」を提案した。また別のだれかが「日程に幅を持たせた」意見を言い、さらに別なひとは「日程決定の根拠について異論」を言ったということだろう。たとえば、「統一選」を理由に決定するのはいかがか、と。1-3人は「反対」という可能性があったということである。
 で、どうしたのか。
 ここで、管がもう一度出てくる。

 議員が一通り発言し、会議はいったん休憩となった。首相と同席した菅官房長官が別室で打ち合わせをする間、他の出席者にはケーキと紅茶が振る舞われた。

 菅の説明に、は「陪席」ではなく、同席ということばがつかわれていることに注目したい。実質、会議に「参加した」ということだろう。皇室典範にのっとった「皇室会議」ではなかった、ということに注目しなければならない。
 安倍と菅は何を打ち合わせたのか。どう説明するかを打ち合わせたのである。こう書いてある。

 再開後、首相は議員の意見を踏まえ「19年4月30日退位」が望ましいとの案を示し、「国民がこぞって我が国の営みを振り返り、決意を新たにすることができるべきだ。これでよろしいですか」と訪ねたという。

 「国民がこぞって我が国の営みを振り返り、決意を新たにする」というのは、管の記者会見の内容とぴったり重なる。重ならないといけないのだけれど、たぶん、こういう「説明」にすることを、安倍と菅は打ち合わせたのだ。「統一地方選を避ける」というだけでは「政治利用」と言われかねない。それを回避するための「方便」を考えるために時間が必要だったのだ。
 これは、裏から見れば、やはり天皇制度を選挙利用することである。

 昨年の籾井NHKをつかった「天皇生前退位意向」のスクープ以来(それ以前の、天皇誕生日談話での生前退位意向発言の見送りをふくめて)、安倍は天皇を政治に利用し続けている。
 今回も「選挙絡み」で日程を決めている。
 すべては「憲法改正」と関係している。憲法を改正するために、天皇の口封じをし、議論を進める。天皇の口を封じたあとは、国民の口を封じる。独裁が加速する。
 「議事概要」は「後日公表」ということだが、それがどんなものになるか。「概要」だから、詳細な議事録、だれが、どう発言したかが一字一句再現されたものではないだろう。つまり、皇室会議の「発言」も「口封じ」された形で公表されるということである。
 安倍はどこでも「沈黙作戦」(独裁の強行)を着々と進めている。

#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 

詩人が読み解く自民党憲法案の大事なポイント 日本国憲法/自民党憲法改正案 全文掲載
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