福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

アメリカの中の日本

2007年11月14日 |   〇世界を読む

ほぼ毎日、韓国メディアに目を通している「ヲタク」だが、今日は
めずらしく翻訳練習してみたいと思う記事が一つもなかった。

そこで、一度はボツにしたものの、少なからず印象に残っていた
2日前の記事を再度引っ張り出して来て(検索して)、今日の
課題にしてみた。

遠くアメリカの地においても「日本」を意識しながら暮らさざるを
得ない韓国人エリートの「悲哀」とも読み取れるようなコラム記事
だった。

韓国と同じく日本にも感動的な文化は様々にある。しかし、そうした
日本文化に素直に感動できない韓国人も少なからず存在している
のだ。

一度はボツにした記事だが、あらためて1人の韓国人特派員の
目に映った「アメリカの中の日本」を翻訳練習してみた。

なお、一度の投稿で済ませるため韓国語本文の引用は省いた。

・・・・・・・・・・・・

■ [特派員コラム] アメリカの中の日本
(ニューシス 11月12日)

アメリカで暮らしながら日本人の恩恵にあずかっていると
考える時がある。アメリカ社会が日本に対して良いイメージを
持っているためだ。

教育環境などの面で在米韓国人たちに評判のいい地区は、
ほとんど日本人たちが先に住み着いていた地区だ。ニュージャー
ジー州のバーゲン郡やニューヨークのウェストチェスター郡などが
そのいい例だ。企業や商社の駐在員たちが特に多く居住する
バーゲン郡のフォートリーは元々日本人が多く住んでいた地区
だが、今では韓国人が多数派を占め、最近では中国人も増えて
きている。

新顔の民族が入ってくるたびに先に定着していた民族が、よりよい
環境を求め少しずつ移動する傾向は、アメリカ史に見る白人と
黒人の居住地の変遷とも似ている。

私が住んでいるウェストチェスター郡も、韓国人が増えるにつれ
日本人たちは北側に移動する傾向にあるが、日本の影が色濃く
感じられる地区だ。ニューヨーク一円の日本人は数的には韓国人の
5分の1程度に過ぎないが、皮膚で感じる日本文化は韓国文化の
5倍はあるように感じる

アメリカに来た最初の年、下の子が通う小学校で、1ヶ月間を
「ジャパン・マンス」と定め、子どもたちに日本文化を集中的に学ば
せている様子を見て、うらやましくもあり複雑な気持ちにもなった
ことを思い出す
。その学年には日本人の子どもが1人もいないにも
かかわらず、そうした教育をするようになった背景にどれくらい
大きな日本の影響力があったのか、非常に気になった。

日本人保護者らは数こそ少ないとは言え、PTAなどの保護者会
活動に熱心で日本文化を紹介することにも積極的だ。日本政府や
公共機関の後援で、アメリカ人教師が日本で短期研修を受けられる
各種プログラムも豊富に提供されている。日本の支援で日本文化を
直接、間接に体験したアメリカ人教師が「日本ファン」になるのは
無理のない話だ。

問題は、日本文化のかなりの部分は韓国から伝わったものである
にもかかわらず、アメリカ人教師らが日本の文化を日本固有の
独創的な文化だと錯覚してしまうところにある
はなはだしくは、
韓国文化を日本文化の亜流程度に考えているアメリカ人もいる

韓国人が多く住む地区を除けば、アメリカ人が思い描く東アジアの
地図には日本と中国しか存在しない

ある時、私の妻が学校で韓国と日本の歴史や文化について
話したところ、教師たちは目を丸くして驚いたと言う。それくらい
大多数のアメリカ人は韓国や韓国文化について何も知らない。

韓国人がほとんどいない地区で暮らす孤独感もあるが、私たち
家族を通して近隣住民の韓国のイメージが形作られていくと
思えば、私たちがここでこうして暮らすこと自体が「愛国的な行為」
なのだと思えてくることが時々ある。

子どもの学校で集まりがある時は必ず出席し、各種の行事では
韓国文化や韓国料理を紹介することも忘れなかった。用意した
プルコギ(韓国式焼肉)やキムチはすぐに底をつき、公園での
カルビのバーベキューにはアメリカ人の半分くらいは大喜びして
くれた。

そういう経験をするたびに、韓国文化をもう少し効率的にアメリカ
社会に紹介し根付かせて行くためには、個々人の努力はもちろん、
政府レベルでの長期的な投資やアプローチが必要であることを
強く感じさせられた。

最近、ブロンクスのニューヨーク植物園で「キク(Kiku)」展が開催
され、アメリカ人の大きな関心を集めていた。日本人が彼らの
文化をアメリカに紹介するため、いかにきめ細かな長期的戦略を
持って活動しているのかがよくわかる。

「キク」は「クックァ(菊花)」の日本語だ。今回の展示会で紹介された
様々なスタイルのキクは、実に5年の歳月を費やして栽培された
ものだ。見るものに「菊をこんなふうに育てることもできるのか」と
いう大きな驚きを抱かせてくれる展示だ。アメリカ人はこうした展示
作品から菊の美しさだけではなく、日本人の魂や情熱を感じ取り、
1500年の歴史を誇る日本園芸の歴史を学ぶ。

展示会場にはキク以外にも各種の盆栽や「カエデ(楓)」が
飾られているし、テツノリ・カワナの手による見事な竹彫刻
(Bamboo Sculpture)が見る者を圧倒する。植物園の入り口には、
アルファベットによる「Kiku」と漢字の「菊」が描かれたポスターが
たくさん貼られ、さらには日本式の提灯も下げられている。
ここが日本の由緒ある建物だと言っても誰も不思議に思わない
ような演出がなされていた。

しかし、アメリカ人の感動が大きければ大きいほど、逆に私の
残念な思いは大きくなる


以前、ロスアンゼルスの複数の韓国人団体が郡内の植物園に
韓国式庭園を造成するため、2万6500ドルの基金を寄付したと
いう報に接した。

日本と中国の伝統的庭園はあるのに、韓国の庭園がないという
現実に刺激された在米韓国人たちが1ドル2ドルと募金して集まった
真心のこもった寄付金だ。しかし、伝統的な韓国式楼閣に大型の
池などを造成するためには1500万ドルほど必要だという。いつに
なったらそんな大金が準備できるのか、気が遠くなってしまう。

ほろ苦い思いで植物園を後にしようとした私は、唯一の「コリア」を
発見することができた。いつ誰によって植えられたのかはわから
ないが、2本の朝鮮松(Korea Pine)が植物園の建物の左側に
凛々しく立っていたのだ。その姿を見てどれほどうれしかった
ことか・・・。大きな朝鮮松の雄々しい姿に重苦しい気持ちが
少し軽くなった。

(終わり)


       参加カテゴリ:地域情報(アジア)/語学・英会話