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昨日、帝国ホテルで開かれた日経主催のデットIRシンポジューム「企業トップが切り開く経営・財務戦略」に参加した。
要するに、銀行団による企業向けのシンジケート・ローンのことで、特に今回は、銀行団から魅力的な条件で希望以上の融資額を引き出す為に、如何に、銀行団に対して有効かつ適切なデットIR、すなわち、企業説明会を開くか、に重点を当ててシンポジュームが開かれた。
今はやりの個人投資家向け個別企業のIR説明会の銀行版だが、この市場型間接金融の広がりの中で、一橋の伊藤邦雄教授から、「企業価値」を高める為に、経営の中核概念として、「価値創造、アカウンタビリティ、リスク・マネジメント」を企業ミッションに据えながら如何に必要適切なDebt IRを行うか等について講演があった。
興味深かったのは、全く本題と離れた日本電産の永守重信社長の講演「夢の語り方~夢を形にするのが経営」であった。
「企業の業績等良し悪しは、80%社長の責任。
社長は、大法螺を吹いて社員を鼓舞して意欲を持たせ、その法螺を徐々に夢に近づけて行って実現させる、これが使命で、日中から小さな穴に玉を入れていることではない。」
三協精機を例に挙げて、
「年間100億円の赤字を、一年で100億円の黒字にしたのは、奇跡でも魔法でもなんでもない。
腐りきって意欲をなくしていた社員に、「欠席せずに会社に来てくれ。会社の中を綺麗に掃除をしてくれ。」と2点だけ言って実行させただけである。
23社企業を買収して経営を立て直したが、その企業の持っている「技術」さえ確実であれば、これで社員の意識改革は1年で出来、総て業績は回復してきた。」
「創業時に、新人の採用が困難なとき、親父が兵隊は早食い早グソが優秀なのだと言ったのを聞いて、入社試験で早食い競争をして採用した。早食いしか能のなかった社員が、いま世界一の小型モーターを作って世界の市場を押さえている。
新入社員の成績表等は人事部で封印して、後年、社員の業績等と比較しているが、社員の優秀性と学校の良し悪し成績の良し悪しとは、82%全く関係ない。
意欲のない東大卒より、意欲満々の名もなき学校卒の社員の方が優秀なのは言わずもがなである。」
企業において、人財(人材ではない)のモチベーションを高めて鼓舞しフル活用することが如何に重要かを語って余りある実に含蓄のある講演であった。
特に感銘を受けたのは、「技術は確立するのには10年は掛かる」との言で、技術の良し悪しを見て企業買収すると言う戦略の確かさである。
日本には、素晴らしい技術を持ちながら資金や経営の不味さ等で活路を見出せない企業が多いと聞く。
IT時代、情報化産業社会、ソフトに価値のある知価社会等など色々言われているが、やはり、日本の生きる道は「ものづくり日本」、戦後血の滲む様な努力をして蓄積してきた日本のものづくり・生産の技術を大切に立国を考えることであろう。
急速に変化するこの情報化社会で、技術は10年と言う、技術は掛け替えのない企業の財産であることを、もう一度認識させてもらった。