定額給付金が国会を通った。誰もが一律の、12000円もらえる。さもしい人も年収一億円の人も無収入の人も、とにかく一律に給付される。子供と老人は8000円足すことになる。
しかし、もう一つの定額給付金も、国会を通過したことを知る人は意外と少ない。「子育て応援特別手当」である。多子世帯の幼児教育にかかる負担軽減のための、一度限りの定額給付金である。内容は、2児以降の幼児一人当たり3万6千円給付するというのである。
つまり、2番目以降の子供で小学入学前3年間に該当する子供(平成14年4月2日~17年4月1日までの)、しかも第2児以降に限定されている。年齢も前記の期間に限定されている。
子育て支援なら、一度きりなのはおかしい。2児以降なのもおかしい。子育て支援なら、裕福な子供は対象にすべきでは ない。年齢制限があるのもおかしい。これには何の根拠なのかも、はっきり示されてはいない。定額なのもおかしい。3万6千円と言う金額が中途半端である。明らかに使う金を、バラ撒く対象で除した金額である。考えがあってのことではない。
恒久的な制度を検討した節も見られない。公明党のご機嫌なおしのために打ち出された、与党の人気取り政策の一環である。
この「子育て応援特別手当」は、定額給付金以上に、バラ撒き・人気取り政策でしかない。貰った人は喜ぶだろうが、こうした無根拠の金のバラ撒き政策は、日本の政治の劣化を物語っている。
政治が理念によって運営されるなら、こうした一時的な金撒き政策は、机上にも乗らないはずである。将来を見据える思想も理念も、情勢分析もないからこのような哀れな政策が出されるのである。