高橋睦郎『語らざる者をして語らしめよ』(思潮社)
「18」。
怒りの果てに 怒り澄んで
天の青と一つになった (43ページ)
「一つになった」が「詩」である。
無の現場でおこなわれる生成は、自己が自己でなくなることにより、自己そのものになる。
「悲しみ」と「怒り」と「青」。それは別個の存在ではなく、悲しみであり、怒りであり、青である。それは「一つ」になって世界(宇宙)に広がる。
「青」を通って個別のそれぞれに帰り、個別のそれそれから再び「青」へ帰る。その運動は一瞬である。
「一つ」に「なる」ために、あらゆる詩は書かれる。