小金沢ライブラリー

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漫画感想-『スパイラル 推理の絆』城平京・水野英多

2017年08月09日 | マンガ感想
~あらすじ~
警視庁で「名探偵」と呼ばれるほど天才的な頭脳とピアノの腕を持つ、神の如き兄が失踪した。
自身も優れた頭脳とピアニストの才を持ちながら、兄への劣等感に苛まれる鳴海歩の周囲で事件が続発。
失踪した兄が謎を追うと言い残した、ブレードチルドレンと呼ばれる子供達とは?


~感想~
今さら読了。少年誌でなんつー話を書いてるんだwww
前半こそごく普通のミステリ漫画ながら中盤に掛けての「まず神がいます」という大前提から始まり「君は神にでもなるつもりかい?」を経て「俺は新世界の神になる」に至るラストへの超展開は賛否両論だろう。
終盤はミステリというか「そのトリックは推理済だから俺には効かない」という論法で神殺しに挑むあたり、一度見た技は二度と通じないでおなじみの聖闘士星矢の系譜に連なるかもしれない。
観念的な会話に終止する終盤の展開と決着もまた賛否両論だが、全編を通して仕掛けられていたあるトリックと、最後の最後に明かされるタイトルの意味は素晴らしく、否が応でも心に残る作品であろう。

それにしても城平京は「名探偵に薔薇を」といい「虚構推理」といい、普通の面白いミステリを書く腕前を持ちながら、一筋縄ではいかない作風を好む作者である。小説版や他の漫画原作もいずれ読まなくては。


評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『探偵が早すぎる 下』井上真偽

2017年08月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
数人の刺客を退けた伝説の「トリック返し」の探偵に守られ、四十九日の法要を迎えた十川一華。
焼香・納骨・精進落しの隙を狙い、大陀羅家の面々は権謀術数の限りを尽くす。
群れをなして襲いかかる刺客を、早すぎる探偵はそれでも未然に撃破できるのか?


~感想~
上巻では3人の刺客との攻防をそれぞれ短編で描いたが、この下巻では1日で刺客が何人も襲い来るため、当然のことながらトリックは質より量になった。
こうなると作者ならではの技巧や目新しい何かを凝らした様子も特に無く、売り出し中の作者にわざわざ凡庸な作品を書かせた理由も商業的なものしか見当たらない。



巻かれた帯では上・下巻の本作を「シリーズ」と形容し、まだ上巻しか売ってないのに「大好評シリーズ」とうたい、この下巻を「続刊登場」と呼ぶ、嘘・大袈裟・紛らわしいのトリプルプレーを披露しているのもなんともはや。
終盤にはギャグで言っているとしか思えない壮大な大風呂敷を広げて無理くり設定を裏付けるのも強引で、決して退屈だったわけではないが、感想を問われれば「超普通」としか答えようのない、いたって超普通の作品である。


17.8.5
評価:★★☆ 5
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今週のキン肉マン #214 発令!"惨殺"命令!!

2017年08月07日 | 今週のキン肉マン
・完璧超人とは違う完全悪で傲慢だが礼儀は見せるオメガ兄
・いや完璧超人だったなこいつ
・「惨殺だ!」のコマかっこよすぎだろ……
・唐突な稲光は笑ったけど
・あったよちょうどいいリングが5つ! よーしでかした!
・ティーパックマンかっこいいけど「コポコポ」はなんだww
・真っ先にリングに降り立つとか主役格の扱い
・顔が紅茶でティーパック振り回してるだけなのに何このかっこよさ
・冷や汗をかく様子も見せないカレクックの強豪感
・頭にカレー乗せてるのに何このかっこよさ
・ゆではちゃんと描けばラーメンマンくらいに出来ると豪語していたが納得
・ベンキマンの煽り文句なんなのwwwww
・我々はもう見慣れてるけど頭にウンコ乗せて胴体が便器ってすごすぎる
・カナディアンマンとウルフマンは普通にかっこいいし強そうだな
・改めて見るとカナディアンマンのデザイン洗練されてる
・ここでのんきな主人公登場
・おもちゃばっかり持ってるし、万太郎が産まれるから前祝いで叙勲式を免除されたとかか
・そういえば前シリーズにビビンバは出てこなかったし妊娠中でもおかしくない
・全宇宙的ヒーローが歩いてるのにガン無視の新宿の大衆
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SCP-921~930

2017年08月06日 | SCP紹介
SCP-921 - Museum of Memories (記憶博物館)
ある地下洞窟。鍾乳洞や書斎等の部屋があり、内部の物に触れると様々な感覚をもたらす。音声ガイドのような声が聞こえる

SCP-922 - Another Version of the Truth (真実の別バージョン)
ある大学とその周辺に起こっている現実改変現象。学生や職員、調査するエージェントに多数の存在しない人物が紛れ込み、彼らに関する記憶が生成されている。このSCPのサイト管理者も存在していないと判明した

SCP-923 - A Useful Tool (便利ツール)
人工衛星。標的を指示すると未知の力により狙った人物に、恐怖の感情や自殺願望、暴力衝動を与える。強度を上げると外傷や空間歪曲がその周辺にまで現れ、最大強度はKeterに指定された

SCP-924 - The Ice Water Men (氷洋人)
北極圏の海に棲息する人型生物。獲物を海底に引きずり込み、バクテリアで分解し捕食する

SCP-925 - The Mushroom Cultist (マッシュルーム崇拝者)
人間の男性に見えるSCP。接触した人物を未知の力で魅了し崇拝させる。10~30名の崇拝者が出来ると、洞窟に連れて行きマッシュルームを栽培させ、それを食べる。崇拝者は疲労や栄養失調から死亡すると養分として使われ、大多数が死亡するとSCPは街に出て以前の2倍の新たな崇拝者を連れてくる

SCP-926 - Guqin (古琴)
紀元前2~3世紀の古琴。秦の始皇帝陵から発掘され、奏でた曲に応じて兵馬の陶俑が動く

SCP-927 - Contagious House (伝染する家)
ある住宅に棲息する微生物。男女の死体、炭酸の抜けたソーダ、腐敗したリンゴ、補修したテーブル、切り裂かれた絵画、壊れた階段、等の屋内の様子を周囲の住宅に再現する

SCP-928 - The White King (白のキング)
陶器で出来た少女の人形。目で周囲の人物を追い、なんらかの音声記録を再生する。不定期に3時間~8年の間隔でカパブランカ・チェスの駒の動きを指示し、何者かと対局している。駒の動きは現実の事件と対応していると思われるが、白側の人形はあと30手ほどで敗れると考えられ、その時に現実に何が起こるのか危惧されている

SCP-929 - The Cuckoo (カッコウ)
3m以内に近づいた生物の若い個体に変身し、世話をさせるSCP。親と見なされた生物はSCPを自分の子孫と信じ込み、偽の記憶を植え付けられる。周囲にも同様の影響を及ぼすが、このSCPに関する事前の知識があれば克服できる。現在は収容しやすいよう金魚に変身させている

SCP-930 - Seagull Island (カモメ島)
ある熱帯の島とそこに棲息するカモメを主とした鳥類の群れ。島に近づいた人間を襲い、立ち去るまで攻撃する。調査によりUSSケート(アメリカで著名な第二次世界大戦中に消息不明となった潜水艦)の乗組員がこの島に漂着したこと、島に棲息する恐るべき何者かから守るため、カモメは部外者の上陸を阻止していることがわかった
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ミステリ感想-『探偵が早すぎる 上』井上真偽

2017年08月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大富豪の隠し子だった父が亡くなり、5兆円を相続した女子高生の十川一華。
父の兄弟姉妹は財産を奪うため、一華を事故・自殺に見せかけ殺した者が遺産を総取りする密約を交わす。
一華の付き人の橋田はそれに対抗するため、あらゆる事件を未然に防ぐという都市伝説のような探偵に護衛を依頼した。


~感想~
プロの車上荒らしSUGEEEEEEEEE!!!!!

探偵があらゆるトリックをあらかじめ見抜いているという無茶な設定が話題を呼んだ「その可能性はすでに考えた」シリーズで一躍名を知られた作者が、ラノベ向きにより賑やかでわかりやすい物語に仕上げた。
「そのかのシリーズ」と設定的にわりとかぶっているものの、差別化は図られており、探偵がいかにして事件前にトリックを見抜き、それを防いだかという興味で最後まで牽引する。

しかし読了後に最も印象に残るのは、早すぎる探偵よりもすごすぎる車上荒らしではなかろうか。
なんせ(ネタバレ→)三人が乗っている乗用車に気付かれることなく侵入し、その目の前に爆弾と通信機を設置しているのだ。え? 車上荒らしってそういうものだったっけ。もはや車上荒らしというレベルを超えており、なんらかのスタンド能力にしか思えない。さすがプロだ。ちがうなあ…。

ともあれ「そのかの」とは別方向から攻める、やりすぎ探偵の活躍と下巻の展開が楽しみである。


17.8.1
評価:保留
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SCP-911~920

2017年08月04日 | SCP紹介
SCP-911 - Egyptian Book of the Dead (死者の書)
紀元前1375年頃の物とされる、エジプトの死者の書が記されたパピルス。触れた者は90%の確率で意識をパピルスに吸い取られ植物人間となる。残りの10%はパピルスに保存された人物の意識に交換される

SCP-912 - Autonomous SWAT Armor (自律SWATアーマー)
ある市警のSWATの装備品一式。まるで透明人間が着用しているように宙に浮き、市警の制服を着た人物の指示に従う。自身や市警の制服を着た人物が襲われると反撃するが、しばしばやり過ぎる

SCP-913 - Mr. Hungry (ミスター・はらぺこ)
成人の1日のカロリー摂取量を2時間ごとに必要とする男性。摂取できないとトランス状態に陥り、怪力で周囲の物(生物も含む)を片っ端から食べる

SCP-914 - The Clockworks (ぜんまい仕掛け)
入れた物を未知の動力で改造する機械。生物と機械等を入れれば合成も可能

SCP-915 - The Mechanotesseractic Computer (機械式四次元立方体コンピュータ)
非ユークリッド幾何学の内部構造をした計算装置。外見は金属の立方体で、内部に入ることが出来るが行方不明になったり、計算によって構造が変化したりする

SCP-916 - Man's Best Friend (人類最高の友)
非常に長寿のゴールデンレトリバー。接触した人物は痛みを感じなくなり、このSCPによって自殺に導かれた者達の声が聴こえ、自身も死を選ぶ。Dクラスへの痛み無く迅速な終了の方法として使われている

SCP-917 -Mr. Moon- (ミスター・ムーン)
顔面のパーツが月の満ち欠けに応じて消滅と再生を繰り返す男性。痛みは感じないが消滅している間は視力や嗅覚が失われ、その間は飲食や呼吸を必要としない

SCP-918 - Baby Mill (ベビー工場)
ある廃工場。2ヶ月ごとに煙突から3匹のコウノトリに似た生物が現れ、両親と新生児の3人家族の住居から新生児を連れ去り、工場の機械に入れてベビーパウダーを作る

SCP-919 - Needy Mirror (寂しがり屋の孤独な鏡)
姿見。15秒以上、前に立った相手に対して鏡像が鏡の前から去らないよう懇願する。立ち去ると嘆き悲しみ崩壊する

SCP-920 - Mr. Lost (ミスター・まいご)
世界各地を放浪する男性。接触した人物は彼と同行したい欲求に駆られるが、彼を運んだり、誘導したり、追跡したりする者は全て消失する。レーダーによると砂漠や氷河、海上も歩いている
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SCP-901~910

2017年08月03日 | SCP紹介
SCP-901 - The Building on the Square (街にあるビル)
4階建てのビル。人間が入るとエントランスのドアが閉まり、60%はそのまま消失し、40%は30分~数ヶ月後に帰還する。内部は被験者が最も忌み嫌う組織(警察等)になっており、拷問に近い尋問が行われ、治癒不能のPTSDに見舞われる

SCP-902 - The Final Countdown (最後のカウントダウン)
空の箱。針の動くような音を出し、それを聞いた者、この箱の存在を知った者に「箱の中に危険物が入っている」という妄想を抱かせる。そして針の音が止まった直後に箱は破壊されねばならないと確信し、その恐ろしい中身を探して箱を開け閉めし続ける

SCP-903 - Tunnel of Infinite Possibility (無限大の可能性トンネル)
あるSCP研究施設と収容施設をつなぐトンネル。規則を無視し複数のSCPを同時に輸送した事件により、トンネル自体がSCPとなった。トンネル内に入った物体は消失し、代わりに異常な物体と説明のメモが現れる。事件の前に輸送したSCPの性質と一致し、2時間ほどで劣化する

SCP-904 - A Short Poem (短い詩)
読んだ人物に韻を踏ませてしまう詩。芸術的素養のある人物ほど重症になり他人へも感染するが恒常的ではない

SCP-905 - Mr. Chameleon (ミスター・カメレオン)
光子の身体を持つ人型の生物。波長を変えて周囲の風景に溶け込むことが出来る。常に光子を放出しているため光子の摂取が必要で、固体は通過できない

SCP-906 - Scouring Hive (漁り回る群れ)
ワーム状の無脊椎動物の群れ。強力な酸で獲物を溶かし捕食する。人型になり二足歩行したり発声も出来るが、群れの中での意思疎通の手段は不明

SCP-907 - An Exploratory Vehicle (探索車)
大型のバン。エンジンを始動すると5~10分で太陽系外惑星にワープする。外にさえ出なければ安全で5~15日後に元の位置に戻る

SCP-908 - Colocated Rock (同時多重存在する小島)
インド洋、オホーツク海、五大湖等の各地に同時に多重存在する小島

SCP-909 - Mr.Forgetful (ミスター・わすれっぽい)
恒久的な前向性健忘症の男性。自身で記録した物は記憶出来るが、同時に関係者からその記憶が失われる

SCP-910 - Immortality Serum (不死血清)
未知のタンパク質。接触した哺乳類を不死身にさせる。非常に遅くだがあらゆる傷が治癒するようになり、容易に致命傷を与えられない。また汗や唾液とともにこのSCPを分泌するようになる。ただし生物学的、精神的には劣化を続けるため長寿の者は激しい苦痛を訴える
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ミステリ感想-『いざ言問はむ都鳥』澤木喬

2017年08月02日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
早朝4時の路上に散らばる、都忘れの大量の花びら。沢木は植物生態学講座の助手という職業柄その不自然さに気づき…いざ言問はむ都鳥
ひと気のない駅で子供用の切符を延々と買い続ける男。しかし周囲に子供の姿はただ一人もなく…ゆく水にかずかくよりもはかなきは
講座の学生の自室で起こったボヤ騒ぎ。金魚鉢が出火原因かと思われたが、沢木は学生の父親の不自然な行動に思い当たる…飛び立ちかねつ鳥にしあらねば
黒猫の幽霊に怯える学生と、咲いているはずのないサザンカを欲しがる隣人。いくつかの謎が結びつき…むすびし水のこほれるを

本格ベスト61位


~感想~
この一作しか刊行されていないのが不思議なほど、飛び抜けた発想力の作者による連作短編集。
専門知識のオンパレードや恣意的に過ぎる推理などなど欠点は多々あるものの、何気ない日常回の裏からとんでもない真相が不意に牙を剥く、発想の飛躍は実に面白い。
星の数ほどある日常の謎ジャンルの中でも普段ののんびりとした雰囲気と、おぞましいと表現しても良いほどの黒い真相との落差は屈指のもので、推理や伏線その他の欠点も「細けぇこたぁいいんだよ!」と鷹揚に受け入れられる向きならば、文句なしに楽しめることだろう。

しかし断った通りに真相は4編揃っていちいちドス黒いものであり、これが西澤保彦あたりだったら決着も最悪の結果に向かっていることは疑いなく、ギリギリで踏みとどまらせた作者のさじ加減と、異常な精神耐性を誇るのん気な語り手に救われている面はかなり大きい。
本格ベスト61位に推されたように良い腕を持っている作者だけにもう何作か読んでみたかったものである。

なお裏表紙にはせっかく隠している真相が堂々と書かれ、創元推理文庫名物の開いてすぐのあらすじにも推理の手掛かりのネタバレが書かれているため要注意。


17.7.29
評価:★★★☆ 7
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8月の新刊情報

2017年08月01日 | ミステリ界隈
7月18日 光文社
詠坂雄二 T島事件

8月1日 新潮文庫
米澤穂信 満願

4日 実業之日本社文庫
天祢涼 探偵ファミリーズ

4日 文春文庫
島田荘司 幻肢
門井慶喜 注文の多い美術館
柴田よしき 風味さんのカメラ日和 ※書き下ろし

8日 角川書店
古処誠二 いくさの底

8日 講談社ノベルス
鯨統一郎 タイムスリップ信長 VS 三国志

8日 講談社文庫
小島正樹 硝子の探偵と消えた白バイ
二階堂黎人 ラン迷宮
高里椎奈 星空を願った狼の
島田荘司 名探偵傑作短篇集 御手洗潔篇
法月綸太郎 名探偵傑作短篇集 法月綸太郎篇
有栖川有栖 名探偵傑作短篇集 火村英生篇

21日 東京創元社
芦辺拓 名探偵・森江春策

22日 講談社
伽古屋圭市 散り行く花
下村敦史 緑の窓口

22日 新潮社
宿野かほる ルビンの壺が割れた

25日 角川文庫
白井智之 人間の顔は食べづらい
深木章子 敗者の告白

29日 講談社
柳広司 風神雷神 雷の章

31日 新潮社
宮部みゆき この世の春 上・下

31日 東京創元社
十市社 滑らかな虹 上・下
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