詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

山岡遊「絵金」

2007-08-12 21:46:13 | 詩(雑誌・同人誌)
 山岡遊「絵金」(「犯」31、2007年08月01日発行)
 屏風絵を見て、その感想を描いている。とても魅力的な部分がある。

泣くな
目を凝らせば
人は不完全な鳥
育ての母は
空、
あの世から
でしゃばるものたちを
父とする

 「不完全な」という一語がとりわけ魅力的だ。「不完全」ということは、完全になりうるということである。何がきっかけで完全なものに変身するのかわからないが、その可能性をひめいているのが「不完全」である。
 「でしゃばる」という口語も魅力的だ。
 泥絵のなまなましい感じが、この「でしゃばる」という口語で、まるで口臭のようにせまってくる。
 「母」と「父」。その交接。そして不完全なものの誕生--というより、何か交接の「不完全」さが、より魅力的な交接を誘っているような、生々しさを感じさせる。「父」と「母」は「不完全」ということばが呼びよせた命の形かもしれない。

コメント
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