詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

北朝鮮の本気度(情報の読み方)

2018-05-01 16:28:17 | 自民党憲法改正草案を読む
北朝鮮の本気度(情報の読み方)

 北朝鮮の「本気度」を疑う人がいるが、私は、「本気」を確信している。
2018年5月1日の読売新聞朝刊(西部版・14版)に非常に興味深い記事があった。
「北の時間 韓国と統一/5日から」という見出し。

【ソウル=中島健太郎】北朝鮮の国営朝鮮中央通信によると、北朝鮮の最高人民会議(国会)常任委員会は4月30日、韓国より30分遅い北朝鮮の標準時を5月5日から韓国と同じ時間とする政令を発表した。北朝鮮は2015年8月、韓国よりも30分遅い「平壌(ピョンヤン)時間」を導入していた。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が4月27日に韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領に対し、南北の標準時を統一する考えを示していた。

 武力(核)とは無関係である。だからこそ、そこに「本気」が見える。
 時間はすべての国民にかかわる。暮らしそのものが変わる。どこから「統一」を進めるかは難しい問題だが、こういう「基本」の変化は非常に大きい。政治を「暮らしのレベル」で動かしていく。
 これは、ほんものの「思想」。「暮らし」に根付かない「思想」はない。
 金正恩は偉い。私は心底そう思う。


憲法9条改正、これでいいのか 詩人が解明ー言葉の奥の危ない思想ー (これでいいのかシリーズ)
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詩はどこにあるか2018年4月号

2018-05-01 10:00:19 | その他(音楽、小説etc)
「詩はどこにあるか」4月の詩の批評を一冊にまとめました。186ページ
詩はどこにあるか4月号注文
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注文してから1週間程度でお手許にとどきます。


目次

ジェフリー・アングルス「騙る語り」2  白井知子「タブリーズの古い古いバザール」、吉本洋子「重力談義」9
高木敏次「幹」13  廿楽順治「亀戸落語」、高階杞一「サザエさんの日々」19
荒木時彦『NOTE 003』23  國峰照子「帽子屋」25
劉暁波『独り大海原に向かって』27  井崎外枝子『出会わなければならなかった、ただひとりの人』33
後藤光治『松山ん窪』36  劉霞『毒薬』39
三上寛「ぼうしをかぶる犬」44  神原芳之「石蕗の花」「泰山木」47
工藤正廣「すべての祝福の始まり」、吉田文憲「二つの声」50
斎藤恵子「うさぎ島」、宗田とも子「遠い水」、若尾儀武「答」54  白鳥信也「とぜん」58
林嗣夫「柿」、石川逸子「花桃咲く村で」63  季村敏夫「家庭生活」、阿部日奈子「八月十五日」68
近藤久也「暗くてみえない」73  松尾真由美「乾きという地理の密度」、三角みづ紀「けあらし」80
苗村吉昭「ふらんす日和」84  星野元一「髭がのびる」87
未知野道「旅行時計」91  未知野道「いまからおもふと」、池井昌樹「あたし」「金色」95
高階杞一「フタ」99  愛敬浩一『それは阿Qだと石毛拓郎が言う』104 
大橋政人「大きい女の人」、金井雄二「ぼくは、あったよ」115
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木下暢也「訪問あるいは」

2018-05-01 09:03:58 | 詩(雑誌・同人誌)
木下暢也「訪問あるいは」(「現代詩手帳」2018年04月号)

 木下暢也「訪問あるいは」は投稿作品。岸田将幸、広瀬大志のふたりが選んでいる。むかしの短編小説の描写を切り取ったような作品である。かなづかいが現代とは違う。漢字のつかい方も古めかしい。描かれている「素材」も古めかしい。しかし、それだけではない。

番ひの頬白が
俄拵への板縁に伸びた
墨色の翳を啄んでゐる
木目に閉ざゝれた死者らは
をちかたから燻る祭り囃子に乗つて
破顔のけしきをみせる
閉てた障子が少しく鳴つて
もの云はぬ尨犬が顔を出し
重たそうに左眼を眇める
頬白は飛び去り
板縁の美貌も沈んで
鉦の音をさいごに囃子も止む
躰の重心を移し
はたはたと洗濯物が躍り
日入りの淡色へ歩を浮かせる
     (「はたはた」の二回目の「はた」は、出典は「踊り字」)

 私が注目したのは「ことば」の呼応である。とても落ち着いている。「頬白」「墨色」の「白」と「墨」、あるいは「頬白」と「翳」の「白(光)」と「翳」という呼応だけではない。
 「俄拵への板縁に伸びた」と「木目に閉ざゝれた死者らは」には、「伸びる(広がる、開かれる)」と「閉ざす」という動詞の呼応がある。動詞は「述語」だけではなく、連体形となった修飾のなかに隠れて動くことがある。これを巧みに利用して、ことばを呼応させている。こういう呼応に出会うと、私は、非常に落ち着いた気持ちになる。「文体(ことばの動きを支配する構造)」にことばを任せることができる。
 「閉ざす」は「破顔」の「破れる」を誘い出し、「破れる」は「見せる」(見える)」を誘う。さらに「鳴る」と「ものもの云はぬ」の「音」と「沈黙(静寂)」という対比があり、「重たそう」と「飛び去り(軽さ)」の対比、「飛び去り(浮く)」と「沈む」の対比がある。「沈む」はもういちど「浮かせる(浮く)」という動詞とも向き合うのだが、その間に「重心」ということばもある。「重心を移す」、上へ移すと「浮く」ということになるのか。
 「鉦の音をさいごに囃子も止む」の「さいご」と「止む」は重複のようにもみえるが、一種の「きまりごと」である。
 たぶん、他のことばの呼応も「決まりごと」なのかもしれないが、「決まりごと」を正確につかまえていることが、木下のことばの力である。この力が静かで落ち着いているので、短い作品なのに、充実感がある。
 岸田が指摘しているが「板縁の美貌」ということばへと美しく結晶している。
 最近の「現代詩」の主流は、木下が採用している文体とは逆に、「ことばの呼応」を脱臼させて見せるものだが(いかにアクロバティックに脱臼させるかを競うものだが)、私は古い人間なので、こういう文体に触れるととても安心する。
 ことばの基本はどの国のことばも「動詞」、「動詞」が文体をつくっている。「動詞」がしっかりと動く文体が、私は好きだ。






*

評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』を発行しました。190ページ。
谷川俊太郎の『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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「詩はどこにあるか」3月の詩の批評を一冊にまとめました。186ページ
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(3)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料250円)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com


現代詩手帖 2018年 04 月号 [雑誌]
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