その一方。
【お知らせ】ヨーロッパ諸国宛てEMS・航空小包の引受一時停止、ラオス宛て航空通常郵便物の引受再開について 3/1更新
Jesus Coyto Pablo"Santoral" 100x81 Mixta 1998
¿Estoy viendo todos los colores aquí?
¿O estoy tratando de averiguar cuáles son mis colores favoritos entre los colores de aquí?
Es una pregunta que también me hago sobre las formas y las letras.
Tengo que hacerme la misma pregunta sobre el tacto del pincel y el movimiento de las pinceladas.
¿Qué revela y oculta Jesús al pintar?
La expresión siempre revela y oculta al mismo tiempo.
Cuando miro el arte, éste me mira a mí. Creo que el arte me permite ver lo que no soy consciente.
Me gustan las obras de arte que ponen de manifiesto esta ansiedad por ser visto.
El trabajo de Jesus es ese tipo de trabajo.
私は、ここにある色のすべてを見ているのか。
あるいは、ここにある色のなかから、自分の好きな色を探し出してみているのか。
それは、形や文字についても問い直さなければならない。
筆のタッチ、筆の動きについても、自問しないといけない。
Jesusは描くことで何をあらわし、何を隠すのか。
表現とはいつもあらわすと同時に隠す。
私が芸術を見るとき、芸術は私をみつめている。私が意識できないものを、芸術から見られることだと思う。
私は、その「見られる不安」を引き出してくれる作品が好きです。
彼の作品は、そういう作品です。
中村美津江「さらさらと」ほか(「Picnic」5、2022年03月01日発行)
「Picnic」は横書きの俳句誌。私は保守的にできているのか、この横書きの俳句がどうにも「肉体」に入ってこない。頭のなかまでは入ってくるが、そこで動かなくなる。世界は垂直にも水平にも広がっているが、横書きだと「垂直感」が見当たらなくて、途方に暮れるのである。たぶん私は、俳句を「立って」詠むものと感じているのだろう。この「立って」を「歩いて」と言いなおせば芭蕉になる。水平だと、寝たまま(寝たきり)の感じがして、窮屈なのだ。子規になってしまう。こういうことは文学と関係ないかもしれないが、関係があるかもしれない。でも、結論は出さない。そう思ったので書いておくだけである。
さて。
中村美津江「さらさらと」。
大頭たとえば雪の太郎次郎
「雪」「太郎次郎」とつづけば、どうしても三好達治である。私は雪が大好きだから、もう「雪の太郎次郎」だけで満足してしまう。と、書いてしまうと、私が感じたことと、かなり違ってしまう。
私は、雪が大好きだから、この句を好きになりたい。でも、つまずく。なぜか。
私はこの句では「たとえば」ということばが印象に残った。一種の「転調」がはじまった、と感じた。「大頭」は「おおあたま」と読むのだと思う。そこにある「た」という音、それが「た」とえばにひきつがれ、「た」ろう、につながる。その変化への「転調」のはじまりとしての「た」とえば。
そして、私は、この「転調」後の「響き」がとても好きなのである。
しかし、つまずく。
理由は簡単。「おおあたま」にある。「た」の音が隠れてしまっている。たぶん「おお」という間延びした響き、それが「あ」と引き継がれ、この三音に子音がないために「た」がつかみきれない。濁音がないのに、「おおあたま」はうるさく聞こえる。「大声」に聞こえてしまう。私の耳には。「坊主頭」(バリカンで刈り上げた頭)につながるような荒い音、乱暴な響きが「大頭」になったら、その対比として、雪の静かさも浮かびあがるだろうなあと思う。しかしそうなると三好達治の「雪」そのものになるから、それを避けたのか。
よくわからない。
句読点静かにたたむ水仙花
この句にもつまずいた。好きになりたい。好きといいたい。でも、いえない。
「句読点」が「大頭」のように、イメージそのものは分かるのに(私がかってに誤読できるのに、という意味である)、音がうるさい。「句点」か「読点」か、どちらかひとつなら印象はもっと強烈になる。「静か」も「たたむ」も実感できる。「句読点」だと、なにか複雑な「折り紙」のような感じがして、水仙のすっきりした印象から離れてしまう。「水仙花」は「すいせんか」と読むのだと思うが、「ん」の音のために「5音」に感じられない。何かひとつ響きが足りない。これは「おおあたま」にも通じる。
すこし眠る未知の世界はカマンベール
この「カマンベール」は「ん」の音の短さを「べー」という伸ばした音で補っている。だから安定感がある。
音の感覚というのは、生まれ育った環境(最初に聞いたことばの音)と関係しているだろうから、中村の音を美しいと感じる人もいると思うが、私には、なじめない。「音」があえば、「大好き」といえるようになると思う。
音がとても気持ちよく響いてくるのは、妹尾凛「Cider」。
麺茹でて途方に暮れる1メートル
なんとなく部分月食ピスタチオ
待つことにパセリの匂い置き忘れ
運慶快慶つゆあけの金平糖
もっとくださいヒエログリフの月
いま生まれ変わるなら三ツ矢サイダー
濁音、半濁音がことばにリズムを与えている。エッジというか、音が立っている感じがする。中村の「大頭」「句読点」とはずいぶん違うと思う。
叶裕「玄冬」。
冴ゆる夜のインクに浸すねえさん指
という、少し目新しい感じの句もあるが「冴ゆる」という音が象徴するように、叶の世界は「古典的」である。
寒灯に大深海魚ひるがえる
台本の同じ場所噛む日向ぼこ
寒相撲張手の音の遠くから
好き嫌いは別にして、「安定している」という印象がある。それがいいことかどうか、わからない。
冬薔薇の悔しいところを忘れない
「冴ゆる夜の」もそうだったが、妙に女っぽい。と書くと、いろいろな批判を受けそうだが、受けた印象を隠しておいてもしようがないから書いておく。
あみこうへい「雨と時計の荒ぶる生殖」は、自由律、わかち書き。
荒ぶる つくりに しやしゃんせ
ゆうくりっどの はての 生殖
長くなるのではなく、短くなる。不安定感のなかに誘い込もうとしているのか。不安定を突き破る何かが生まれる瞬間に立ち会えるのか。何かを探していることは感じられる。とてもおもしろい世界がはじまるかもしれない。
鈴木茂雄・野間幸恵「りん句る」。一種の「しり取り」俳句。前の作品のなかにあることば、音、文字を引き継ぎながら展開する「連句」と言えるかも。
さみしさをまてりあるして詰めてある(野間)
三島忌のリアルな腕の形かな(鈴木)
葉脈の矢継ぎばやなるミシシッピ(野間)
夏時間トム・ソーヤの早さかな(鈴木)
このあたりの緩急自在な展開が楽しい。「夏休み」ではなく「夏時間」がとてもおもしろい。
一句の独立としては
円錐の表面積に音がない(鈴木)
がおもしろいと思った。
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