福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

茫然自失、でも

2005年12月16日 |  〇文化・歴史

この間、「オタク」がこだわってきた例のファン教授疑惑が、ついに
最終局面を迎えた。以下、今夜の段階で「オタク」の目を引いた
いくつかの報道を翻訳文と共に紹介する。

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"오늘은 한국 과학계의 국치일"
「今日は韓国科学界の国恥記念日」
(連合ニュース 12月15日)

서울대의대 이왕재 연구부학장 "줄기세포는 없다"
ソウル大学医学部 イ・ワンジェ副部長 「ES細胞はない」

이왕재 서울대의대 연구부학장은 15일 연합뉴스와 가진 전화
인터뷰에서 "황우석 교수팀이 배양에 성공했다고 보고한
배아줄기세포는 없는 것으로 확인됐다"고 밝혔다.
イ・ワンジェ、ソウル大医学部副部長(研究担当)は15日、連合
ニュースの電話インタビューに対し「ファン・ウソク教授チームが
培養に成功したと報告したES細胞は存在しないことが確認され
た」と明らかにした。

그는 "황 교수팀으로부터 배아줄기세포가 없다는 사실을 이미
확인했고, 안규리 교수도 이런 사실을 알고 있다"면서 "오늘을
한국 과학계의 국치일로 선언해도 좋다"고 덧붙였다.
イ副部長は「ファン教授チームからES細胞がないという事実を
すでに確認しており、アン・キュリ教授もこうした事実を知っている」
とした上で「今日を韓国科学界の国恥日だと宣言してもよい」と
述べた。

정부 `망연자실'..긴급 대책회의 수습방안 논의
政府 「茫然自失」..緊急対策会議 収拾策論議  
(連合ニュース 12月15日)

■ "초지일관 〈프레시안〉에 술 한잔 사고 싶다"
初志一貫<プレシアン>にお酒の一杯でもおごりたい
 (プレシアン 12月16日)

15일 황우석 교수의 줄기세포논문 공동저자인 노성일
미즈메디병원 이사장이 "줄기세포는 없다"고 밝히자, 그 동안
일관되게 이 문제를 지적해 온 〈프레시안〉게시판에는 격려의
글이 쏟아졌다.
15日、ファン・ウソク教授のES細胞論文共同執筆者である
ノ・ソンイル、ミズメディ病院理事長が「ES細胞はない」と発表するや、
この間、一貫してこの問題を指摘してきた<プレシアン>の
掲示板には激励の書き込みが殺到した。

(掲示板の書き込みより)

"연구 흉내만 낸 황 박사와 그 배후 언론플레이팀이 수백억대의
연구비를 어디에 썼는지 철저히 조사하라"
"연구비 횡령이나 유용은 물론 사건이 이 지경이 되도록 검증없이
국책과제로 밀어붙인 정부에도 책임을 물어야 한다"
研究のまねだけしてきたファン博士と、その背後にいた言論工作
チームが数百億の研究費をどこに使ったのか徹底的に調査しろ。
研究費の横領や流用はもちろん、事件がここまで大きくなるまで
何の検証もなしに国策課題として推進してきた政府の責任も
追及しなくてはならない。

"논란 과정에서 제보자를 죄인 취급한 모든 언론도 책임을
피해가기 어렵다"
"제보자들과 언론의 뭇매에도 꿋꿋이 정직한 보도를 해준
프레시안과 PD수첩이 한국 과학을 살렸다고 해도 과언이 아니다"
騒動の過程で内部告発者を罪人扱いしてきた全てのマスコミも
責任をまぬかれない。内部告発者、それにマスコミの袋叩きにも
ひるまず堂々と正直な報道をしてくれたプレシアンとPD手帳が
韓国の科学を救ってくれたと言っても過言ではない。

"이성을 차려야 할 때, 공정해야 할 때 그렇지 못했던 사회
고위층과 족벌언론들이 앞으로도 계속해서 이런 꼴값들을 떨
생각을 하니 암담하다"
"이런 상황에서 공포감을 느끼면서도 꾸준하게 문제점을 지적해
준 프레시안을 비롯해 최초 문제를 방영해 준 MBC PD수첩에도
고마움을 전한다"
理性的に対処すべき時、公正に対処すべき時、それができなかった
社会の指導層と一族支配体制の大手新聞社がこれからもこういう
おそまつな行動を続けるかと思うと、暗澹たる気分だ。
こういう状況の中で恐怖感さえ感じながら、粘り強く問題点を指摘し
てくれたプレシアンや最初にこの問題を放送してくれたMBCの
PD手帳にも感謝の気持ちを伝えたい。

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今、「オタク」は妙な感動を覚えている。

インターネットを通じて一連のファン教授疑惑をめぐる韓国社会の
動きを観察してきたが、まるで、一編の社会派「大作映画」を
見終わったかのような錯覚さえ覚える。

だから、という訳でもないが、以前紹介した「オタク」の一番好きな
韓国映画、「彼らも僕たちのように」のラストシーンから、主人公の
独白を再度、ここで紹介することにする。

우리들이 오늘을 뭐라 부르든간에
이미 변화는 시작되었다.
사라져야 할 것들은 오늘의 어둠에 절망하지만
보다 찬란한 내일을 사는 사람들은
오늘의 어둠을 희망이라 부른다.
僕たちが今日を何と呼ぼうと
すでに変化は始まった。
消え去らねばならぬものたちは、今日の暗闇に絶望するが、
もっと輝かしい明日に生きる人々は
今日の暗闇を希望と呼ぶ。

(終わり)



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植民地近代化論

2005年12月16日 |  〇文化・歴史

1990年代以降、経済史関係の一部学者らが中心となって
提起しているのが、いわゆる「植民地近代化論」である。

この学説は、日本側の一部論者による植民地支配正当化論と
一脈通じるような面もあるが、いわゆる「日帝擁護論」ではない。

論者により、その説にかなりの幅があるようだが、決して日本に
よる朝鮮の主権剥奪や政治的弾圧などを合理化し擁護している
わけではない。

大ざっぱに言えば、日本による植民地統治下において進展した
朝鮮の近代化を、経済史的な側面から実証的に再検証しようと
する学説である。

しかし、そうは言っても、こうした研究は、必然的に日本や総督府が
朝鮮の近代化に寄与した「業績」や、日本や総督府に協力しながら
朝鮮の近代化に努力した先達たちの「業績」に光を当てる事に
つながらざるを得ない。

近代における絶対悪としての日本の侵略と収奪、それに対する
抵抗のみを「正当な歴史」ととらえる民族主義的な歴史観が
絶対視されている韓国社会や学会にあって、こうした研究は
「植民地支配の美化」や「親日派(売国奴)の復権」につながると
みなされやすいところに、この学説の持つジレンマがある。

(根本的には「正当な歴史」にこそジレンマがあると「オタク」は
見ている。「オタク」自身、日本の侵略を正当化する気は全くないが、
良くも悪しくも、現実的には日本の植民地下における近代化の
「遺産」が様々な面で現代韓国の基礎となっている事実は否定
できない。)

また、こうした学者グループは、韓国の民主化以前の軍事独裁
政権を「開発独裁論」などを援用しつつ肯定的に評価する
「右派」学者グループとしても積極的な発言を続けている。

そういう意味において、彼らは政治的に、いわゆる「左右の
民族主義」や「民主派」とも思想的に相容れない一種独特な
立場に立っている。

12月8日、韓国の国会で

「친일반민족행위자 재산 국가귀속에 관한 특별법」
親日反民族行為者の財産の国家帰属に関する特別法

なる法律が成立した。

行政機関の保持する、土地に関する情報の公開が進められる中、
いわゆる大物(?)「親日派」の子孫たちが、所有者不明のまま
所有権の所在が曖昧となっていた先祖の土地に対する所有権を、
裁判を通じて回復する事例が相次ぎ、社会問題化していた。

そこで、いわゆる「親日派」の子孫たちによる土地の所有権確認を
阻む目的で制定されたのが、この法律である。

法の運用には技術的にもかなりの困難さが予想されているが、
韓国の世論は概ね、この法律を支持した。

しかし、そうした動きに対しても、批判的な立場にあるのが、この
「植民地近代化論」者たちだ。

もし、この「植民地近代化論」が、現政権(民主派)叩き、あるいは
「親日派」の子孫(社会の既得権層)による土地所有権の回復
擁護という具体的な政治目的達成のため、単に道具として
便宜的に使われるとするならば、悲しいことだ。

以下、紹介するニュースで報道された韓国の国定教科書を
批判する彼らの主張に強い共感を感じながらも、基本的には
韓国の「民主派」に共感を感じている「オタク」の頭の中には、
複雑な思いが駆け巡った。

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■ "약탈과 수탈 뿐, 근대경제 없는 근대사"
略奪と収奪のみ、近代経済が欠落した近代史 
(連合通信 12月13日)

・김재호 교수 "역사교과서의 근대, 저항의 역사만 기록" 비판
・キム・ジェホ教授、「歴史教科書の近代、抵抗の歴史のみ記録」と
批判

현행 중고교 역사교과서의 근ㆍ현대 부분이 식민지 시대의
제국주의 수탈과 그에 대한 저항의 기억만을 강조해, 자본
주의가 싹트고 발전해간 근대의 기억을 배제했다는 비판이
제기됐다.
中学校と高校で使用されている現行の国定教科書の近現代の
記述が、植民地時代の帝国主義による収奪とそれに対する
抵抗の記憶のみを強調し、資本主義が芽吹き発展してきた記憶を
排除しているとの批判が提起された。

경제사학자 전남대 김재호 교수는 이 같은 내용을 교과서포럼
(공동대표 박효종 서울대교수)이 15일 서울역사박물관에서
개최하는 4차 포럼에서 발표할 예정이다.
全南大キム・ジェホ教授(経済史)は、このような見解を「教科書
フォーラム」(共同代表、パク・ヒョジョンソウル大教授)が15日、
ソウル駅歴史博物館で開催する第4回フォーラムで発表する
予定だ。

미리 배포된 논문에서 김 교수는 고교 '국사' 교과서와 '한국근ㆍ
현대사' 교과서 등이 "현대 사회의 기본구조가 형성되는 시기가
근대라는 자각 없이, 현대 한국 사회가 근대로부터 무엇을
이어받았는지 찾아보는 노력도 없이, 오직 제국주의의 수탈과
그에 대한 저항의 역사로 가득 채워져 있을 뿐"이라며 현행
교과서가 "너무 쉽게 쓰여졌다"고 비판했다.
事前に配布された論文によると、キム教授は高校の「国史」
教科書と「わが国の近現代史」教科書などが「現代社会の基本
構造が形成される時期が近代だとの自覚を欠落させたまま、現代
韓国社会が近代から何を引き継いでいるのかを探求する努力も
せず、単に帝国主義による収奪とそれに対する抵抗の歴史しか
記述していない」と述べ、現行教科書が「あまりにも安易に記述
されている」と批判している。

(略)

김 교수는 또한 "오로지 '자주적 근대'만을 근대라고 인정해
주권을 상실한 식민지 사회에서 근대성을 이야기한다는 것
자체를 용납하지 못하는 분위기"를 질타하며 "한국의 근대사가
저항만이 아닌, 학습의 과정이었으며, 이런 겸손을 배움으로써
우리는 과거와 서로에 대해, 이웃나라에 대해 좀더 관대해질
수 있다"고 주장했다.
また、キム教授は「ただ<自主的な近代>のみを近代と認め、
主権を喪失した植民地社会における近代化を語ること自体を
許さない雰囲気」に疑問を呈しつつ「韓国の近代史は、抵抗のみ
ならず学習の過程でもあったという謙虚さを学ぶことで、私たちは
過去やお互いに対し、あるいは隣国(日本)に対し、より寛大に
なれる」と主張している。

(終わり)

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