■삽질 「4大江工事」 2019年 〇〇〇〇-
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李明博政権時代に推進された韓国史上最大の公共事業、
「4大江再生整備事業」にまつわる様々な不正疑惑を
世に問うた、骨太のドキュメンタリー作品。
2018年に制作され、2019年11月に公開された。
この作品では、まず、「4大江事業」の内容が、国民
世論の強い反発により頓挫した「国土大運河事業」の
焼き直し版に過ぎなかったという疑惑が、各種
公文書の記録を元に提起された。
さらに、総額2兆円を超える超巨大プロジェクトの
受注をめぐり行われた財閥系建設会社間の談合や、
裏金作り、政界へのキックバック等々にまつわる
不正疑惑が、次々と俎上(そじょう)に上げられた。
そして、政府が企画し、建設会社が実行したこの
プロジェクトに協力した情報機関や検察(反対運動の
弾圧)、大手メディア(批判派記者らの解雇)、大学
(政府に有利な各種報告)、軍関係者などへも
粘り強い取材を敢行し、限りなく黒に近い不正疑惑に
光を当てた。
△堰(3か所)完成後、水流が停滞した錦江(忠清道)で大量発生した緑藻<映画より>
いまだ、各種の疑惑が完全に解明されたわけでは
ないが、事業完成後、大いに世間を騒がせた緑藻の
大量発生問題が解決に近づいているのは、せめてもの
救いだ。
2017年に文政権が発足して以降、全国16か所の
大型堰(せき)について、水門の段階的開放に
踏み切った。
△緑のヘドロのような錦江の緑藻<映画より>
2019年現在、堰の水門を完全開放した錦江などでは、
停滞していた河の流れが回復したことで、緑藻もほぼ
姿を消し、砂の河原や中州などが復活し、河は従来の
姿を取りもどしつつある、とのこと。
最近では、水門の開放に留まらず、堰自体の撤去を
求める声まで広がりつつあるという。
△堰(8か所)が完成した後、緑藻が大量発生した当時の洛東江(慶尚道)<映画より>
何ともお粗末な話である。
一体、何のため、誰のため、2兆円を上回る巨額の
血税が費やされたのか?
これでは、「4大江事業」が、李元大統領(元現代建設
社長)と財閥(建設業界)が組んで行った、巨大な
詐欺劇だったと非難されても仕方がない。
(終わり)