■맞짱 「タイマン」 2018年 〇〇〇--
(898)
2007年に完成し、2018年に公開されたノワール映画。
実の兄弟でありながら、両親の離婚により、ソウルと
木浦で別々に成長した2人の男が主人公。
兄はソウルで木浦派組織の幹部となり、弟は木浦で
地元組織の有能な用心棒となる。
その2人が、木浦を舞台に、木浦の利権を狙う
光州派との抗争の中で、お互いに兄弟であることを
知り、兄弟の絆を回復する。
しかし、激しい抗争の中で、兄は、命を狙われた
弟を救うため、自分の命を投げ出した。
△幼い頃、母にもらったペンダントが兄弟のしるし(映画より)
なかなか切ない結末の映画であった。
ところで、この映画は、全羅道方言に関心のある
人には、持って来いの作品だろう。
映画の主要な舞台が木浦なので、自然、全羅道方言が
たくさん登場(会話全体の7割くらい?)していた。
내 팔자가 정말 더러운 팔자랑께.
ワイは、ほんまクソみたいな運命しょった男やで。
(劇中、兄のセリフより)
이 꽃 이쁘지라.
この花、きれいやねん。
(劇中、兄の恋人のセリフより)
慶尚道方言なら無条件に九州方言に訳すくせのある
「ヲタク」(福岡生まれでプサン贔屓)だが、全羅道
方言については、ついつい関西方言(もどき)に
訳してみたくなる。
(終わり)
■오장군의 발톱 「兵士の形見」 2018年 〇〇〇〇-
(897)
2018年に公開された異色の反戦映画。
朝鮮半島で起きた架空の「東西戦争」を背景に、隣町の
同姓同名の青年と間違えて召集された、1人の素朴な
東軍兵士の男が主人公。
名は、オ・ジャングンで「呉将軍」と同音。
のどかな谷間の山村で母親と2人で農業を営んでいた
男には、将来を誓い合う娘もいて、すでに娘のお腹には
彼の子もいた。召集の前夜、初めて結ばれた夜にできた
子どもだ。
△軍生活に全く適応できない東軍兵士の主人公(映画より)
ところが、入隊はしたものの、根っからやさしい性格の
男は、全く軍隊生活に適応できず、射撃訓練の時など、
銃口にとまった蝶々を驚かせたくないからと発砲も
できないほどだった。
そんな彼が将軍の身辺を世話する担当兵に抜擢され、
自軍の様々な重要情報(後にそれがニセ情報と判明)を
聞きかじった後、偵察に出され、西軍の捕虜となる。
西軍部隊は、東軍部隊の動静を探ろうと、東軍の
将軍の担当兵だった彼を厳しく尋問する。
知っていること(ニセ情報)は全て素直に話した
彼だったが、実は最初から、彼は、西軍部隊に
ニセ情報を流すための諜報戦に利用されたのだった。
最後に彼は、東軍に騙されたことを悟った西軍の
手により処刑されてしまう。
実に不条理ながらも、なかなか見ごたえのある
戦争映画だった。
ちなみに、この映画では、主人公を除く東側将兵の
ほとんどは、荒々しい慶尚道方言を話していた。
(終わり)