今日、TVを見ていたら、旅行会社にも変化があって、老年・熟年を対象にした海外旅行を企画・実施している専門会社が脚光を浴びていると言う。
普通8日間で行くヨーロッパの旅をシニアに合わせて12日間コースに組み替えてゆっくりした旅に変更し、現地でのバスや船なども余裕たっぷりのシニア向けに改造したものを自分達で調達する等、時間と金を十分に使った団体旅行にする。今夏の企画は、既に予約で満杯で、いつも、企画すればすぐに売れるのだと言う。
先日、クイーン・メアリー2世号より巨大な世界最大の豪華客船フリーダム・オブ・ザ・シーズ号が竣工して、サザンプトン港でニューヨークへの旅の出航準備中だと報道していたが、日本でも飛鳥号が人気を集めていて、世界中で豪華な船旅がブームになっているらしい。
暇と金に余裕のある豊かなシニアを標的にした観光サービスは盛況だと言うが、堺屋太一氏が言うように、労働市場から退場しつつある団塊の世代が、生活をエンジョイする為に消費を拡大して日本の経済社会を活性化させるのであろうか。
ところで、前述の新しい船はフィンランドで建造されたようだが、以前に、ヘルシンキからストックホルムまで船旅をしたことがあるので、あのバルチック海には豪華客船が頻繁に行き来しており、なるほどと思った。
ノキアの快進撃やリナックス以外にも、サンタクロースやムーミンの国でもあり、フィンランドの産業には、ユニークな先進的な技術ノウハウと豊かで粋なセンスが同居している素晴しい先進国なのである。
ところで、私が言いたいことは、昔から、これは一寸別な意味かも知れないが、「可愛い子には旅をさせろ。」と言うように、海外旅行も、好奇心が強くて感受性の豊かな若い時ほど値打ちがあり、早ければ早いほど良いと言うことである。
私は、ヨーロッパで、日本から来た多くのシニアの旅人が、現地のみやげ物店でぐったりして座り込んでしまって動かなくなっているのを随分見て来たが、素晴らしい旅であればあるほど体力と気力が要求される。
もっとも、シニアの場合は、これまで十分働いて来たし、骨休めと楽しみの為に暇が出来たので旅を楽しんでいるのだと言うことで、目的が違うかも知れない。
しかし、体力気力共に衰えててからでは異文化との遭遇の喜びや旅の醍醐味など十分には味わえず、遅過ぎて、時には楽しみが苦痛に変わる場合もあり得る。
アレキサンダー大王が、師アリストテレスに、「私は王なのだから、もう少し易しい勉強の仕方はないのか。」と問うた時に、師は「学問に王道なし。」と突っぱねたと言うが、やはり、旅を楽しむ為には、多少楽な方法があるかも知れないが、所詮は自分の体力と気力との勝負であり、楽して楽しむなどは論外だと思われる。
しかし、旅には王道はないかも知れないが、18世紀のイギリスの富裕な貴族の子弟には素晴しい修行の総仕上げの卒業旅行とも言うべき大規模な「グランドツアー(The Grand Tour)」と言う制度があった。
シェイクスピアを産み、産業革命で先端を切り、七つの海を支配していた大国イギリスも、文化的には後進国で、文化の花開いたフランスやイタリアに憧れて、イギリスの若者達は、数ヶ月から何年間にも亘って、家庭教師や召使を引き連れて旅をし、見物、買い物、勉強等に精を出して見聞を広めたのである。
フランスでは洗練された社交術を身につけ、イタリアではルネサンスで花開いた素晴しい芸術の世界に浸り、限りなく青春を謳歌した。
彼らが持ち帰った学問や芸術が、新古典派の建築物やイングリッシュ・ガーデンに反映され、経済社会を大いに変えたと言う。
それに、家庭教師としてイギリスの大学者もこのグランドツアーに参加しており、これ等を通じてのイギリスにおける学問的な貢献が大きいとも言われている。
当時のヨーロッパは、遥かにグローバルであったが、残念ながら日本だけが鎖国政策をとって世界から隔離されていたが、案外、僅かに開かれた長崎以外にも、狭い範囲ではあるが参勤交代が文化の交流を促進していたのかも知れない。
しかし、幕末と明治維新に入ると一気に風穴が開いて異文化交流が進展し怒涛のように西洋文化が雪崩れ込んできて日本の近代化を迫った。
明治の政治、経済、社会、文化等を大きく変えたのは、欧米に旅立った視察団や留学生の貢献が大きいと思うが、やはり、これも外国への旅の効用と言うべきであろう。
普通8日間で行くヨーロッパの旅をシニアに合わせて12日間コースに組み替えてゆっくりした旅に変更し、現地でのバスや船なども余裕たっぷりのシニア向けに改造したものを自分達で調達する等、時間と金を十分に使った団体旅行にする。今夏の企画は、既に予約で満杯で、いつも、企画すればすぐに売れるのだと言う。
先日、クイーン・メアリー2世号より巨大な世界最大の豪華客船フリーダム・オブ・ザ・シーズ号が竣工して、サザンプトン港でニューヨークへの旅の出航準備中だと報道していたが、日本でも飛鳥号が人気を集めていて、世界中で豪華な船旅がブームになっているらしい。
暇と金に余裕のある豊かなシニアを標的にした観光サービスは盛況だと言うが、堺屋太一氏が言うように、労働市場から退場しつつある団塊の世代が、生活をエンジョイする為に消費を拡大して日本の経済社会を活性化させるのであろうか。
ところで、前述の新しい船はフィンランドで建造されたようだが、以前に、ヘルシンキからストックホルムまで船旅をしたことがあるので、あのバルチック海には豪華客船が頻繁に行き来しており、なるほどと思った。
ノキアの快進撃やリナックス以外にも、サンタクロースやムーミンの国でもあり、フィンランドの産業には、ユニークな先進的な技術ノウハウと豊かで粋なセンスが同居している素晴しい先進国なのである。
ところで、私が言いたいことは、昔から、これは一寸別な意味かも知れないが、「可愛い子には旅をさせろ。」と言うように、海外旅行も、好奇心が強くて感受性の豊かな若い時ほど値打ちがあり、早ければ早いほど良いと言うことである。
私は、ヨーロッパで、日本から来た多くのシニアの旅人が、現地のみやげ物店でぐったりして座り込んでしまって動かなくなっているのを随分見て来たが、素晴らしい旅であればあるほど体力と気力が要求される。
もっとも、シニアの場合は、これまで十分働いて来たし、骨休めと楽しみの為に暇が出来たので旅を楽しんでいるのだと言うことで、目的が違うかも知れない。
しかし、体力気力共に衰えててからでは異文化との遭遇の喜びや旅の醍醐味など十分には味わえず、遅過ぎて、時には楽しみが苦痛に変わる場合もあり得る。
アレキサンダー大王が、師アリストテレスに、「私は王なのだから、もう少し易しい勉強の仕方はないのか。」と問うた時に、師は「学問に王道なし。」と突っぱねたと言うが、やはり、旅を楽しむ為には、多少楽な方法があるかも知れないが、所詮は自分の体力と気力との勝負であり、楽して楽しむなどは論外だと思われる。
しかし、旅には王道はないかも知れないが、18世紀のイギリスの富裕な貴族の子弟には素晴しい修行の総仕上げの卒業旅行とも言うべき大規模な「グランドツアー(The Grand Tour)」と言う制度があった。
シェイクスピアを産み、産業革命で先端を切り、七つの海を支配していた大国イギリスも、文化的には後進国で、文化の花開いたフランスやイタリアに憧れて、イギリスの若者達は、数ヶ月から何年間にも亘って、家庭教師や召使を引き連れて旅をし、見物、買い物、勉強等に精を出して見聞を広めたのである。
フランスでは洗練された社交術を身につけ、イタリアではルネサンスで花開いた素晴しい芸術の世界に浸り、限りなく青春を謳歌した。
彼らが持ち帰った学問や芸術が、新古典派の建築物やイングリッシュ・ガーデンに反映され、経済社会を大いに変えたと言う。
それに、家庭教師としてイギリスの大学者もこのグランドツアーに参加しており、これ等を通じてのイギリスにおける学問的な貢献が大きいとも言われている。
当時のヨーロッパは、遥かにグローバルであったが、残念ながら日本だけが鎖国政策をとって世界から隔離されていたが、案外、僅かに開かれた長崎以外にも、狭い範囲ではあるが参勤交代が文化の交流を促進していたのかも知れない。
しかし、幕末と明治維新に入ると一気に風穴が開いて異文化交流が進展し怒涛のように西洋文化が雪崩れ込んできて日本の近代化を迫った。
明治の政治、経済、社会、文化等を大きく変えたのは、欧米に旅立った視察団や留学生の貢献が大きいと思うが、やはり、これも外国への旅の効用と言うべきであろう。