久しぶりに日経ホールで開かれた景気討論会に出てみた。
いざなぎ景気を超える戦後最長の好況と言う感じで会場の雰囲気は明るかったが、巷の常識的な経済観を繰り返すだけで、何故そうなのか、長期的な視点に立った論陣を張る論者は誰も居らず、私には全くの消化不良の討論会に終わった。
景気については、どうしてもマクロ的なGNP、GDP分析から、その成長率を論じ、需要側からの分析が主体になり、民間の個人消費、民間設備投資、公共支出の伸びがどうかと言うことになるが、早い話、三面等価の原則で、同じGDPでも、生産、又は、分配の側から分析すれば、全く毛色の違った経済、景気の姿が見えてくる。
色々議論されていたが、吉川洋東大教授の論点で要を得ているので纏めてみると次のとおりであった。
日本経済は、昨年3%成長を果たし安定成長期に入り、今年末から来年にかけてこれを持続し、2006年度は2.5%、2007年度は2%の成長が見込まれる。
昨年の経済成長においては外需の貢献度はゼロで、民間消費や民間設備投資など内需が好調であったことを示してる。
銀行等の不良債権の処理が収束し、民間企業の高度な技術が勢いを盛り返してファンダメンタルは良好で成長持続力はついており、安定成長を維持する。
外的要因については、アメリカの経済は長期的に安定しており、原油の値上がりについてはエネルギー効率のアップで対処でき、為替レートについては大きな異常な変動はないと思われる。
金利は、政策金利がゼロだが実質金利は2%くらいで、今後、金利のアップ、株や為替への影響など注意する必要がある。
火の車の財政政策については、歳出の抜本的削減、次に、増収、次に、税制改革と言う優先順位で早急にプライマリーバランスをゼロにしなければならない。
また、政策のもう一つの柱は、日本経済の成長力強化、競争力強化政策で、成長なければ財政再建もない。
吉川教授の最後のコメントは、「数年前から、日本の労働人口は減少基調にあるが、2%前後の経済成長を維持している。人口減少下での経済成長と言う異常な状態を維持している日本経済の力を認識しなければならない。」と言うことであった。
経済学的には、経済成長=人口増×生産性の上昇、であるから、日本の技術力のアップによる経済成長力が高く、日本経済には十分な経済競争潜在力があると言うことであろうか。
ところで、今ベストセラーの経済学書ハリー・S・デント・ジュニアの「バブル再来」に面白い人口に対する議論が展開されている。
デント自身、人口特性トレンドを重視した未来予測で、日本の長期不況やアメリカの株式ブームを的中させ、今、2009年までのブーム再来を予測しているのだが、単純明快で、アメリカの人口統計を50年ずらせて予測しているのである。
しかし、デントの凄い所は、経済循環への造詣が深く、特に80年サイクルでのイノベーションの役割を的確に分析していることで、今度の経済の好況局面と株式バブルの予言もこれ等を人口トレンドと縦横に錯綜させながら予測をしていることである。
今回のIT革命もITバブルではなく、その後のインターネットやブロードバンドの全産業に対する浸透と影響、そして経済への革命的インパクトを分析しているのである。
余談だが、TVでも、新聞でも、所謂経済評論家とか経済学者とかが景気を論じているが、殆ど当らないし参考にもならないケースが多いが、経済学に対する最低限の知識さえあるのかどうか疑わしい人が居る。
誰でも経済生活を営んでおり経済学は身近なもので分かっているような気になるが、本来、経済学は、複雑で極めて高度な難しい学問なのである。
日経が、コマーシャルで、『私の経済力』等と言っている次元で経済が分かれば苦労はしないし、日経を理解するにも結構経済学や経営学の基礎知識が要求されている。
自動車の運転には免許書が必要だが、経済学も同じで、我々が学生の頃は最低限度サミュエルソンのECONOMICSは読まなければならなかった。今では、マンキューやスティグリッツのマクロ・ミクロの経済学であろうか。
慣れと経験と勘だけで雑誌や新聞等メディアの情報を上手く繋ぎ合わせて経済や景気を論じているエセ××家が多すぎる、だから、これだけ日本経済の不況が長引いて、あたら貴重な時間と国富を失ってしまったのである。
いざなぎ景気を超える戦後最長の好況と言う感じで会場の雰囲気は明るかったが、巷の常識的な経済観を繰り返すだけで、何故そうなのか、長期的な視点に立った論陣を張る論者は誰も居らず、私には全くの消化不良の討論会に終わった。
景気については、どうしてもマクロ的なGNP、GDP分析から、その成長率を論じ、需要側からの分析が主体になり、民間の個人消費、民間設備投資、公共支出の伸びがどうかと言うことになるが、早い話、三面等価の原則で、同じGDPでも、生産、又は、分配の側から分析すれば、全く毛色の違った経済、景気の姿が見えてくる。
色々議論されていたが、吉川洋東大教授の論点で要を得ているので纏めてみると次のとおりであった。
日本経済は、昨年3%成長を果たし安定成長期に入り、今年末から来年にかけてこれを持続し、2006年度は2.5%、2007年度は2%の成長が見込まれる。
昨年の経済成長においては外需の貢献度はゼロで、民間消費や民間設備投資など内需が好調であったことを示してる。
銀行等の不良債権の処理が収束し、民間企業の高度な技術が勢いを盛り返してファンダメンタルは良好で成長持続力はついており、安定成長を維持する。
外的要因については、アメリカの経済は長期的に安定しており、原油の値上がりについてはエネルギー効率のアップで対処でき、為替レートについては大きな異常な変動はないと思われる。
金利は、政策金利がゼロだが実質金利は2%くらいで、今後、金利のアップ、株や為替への影響など注意する必要がある。
火の車の財政政策については、歳出の抜本的削減、次に、増収、次に、税制改革と言う優先順位で早急にプライマリーバランスをゼロにしなければならない。
また、政策のもう一つの柱は、日本経済の成長力強化、競争力強化政策で、成長なければ財政再建もない。
吉川教授の最後のコメントは、「数年前から、日本の労働人口は減少基調にあるが、2%前後の経済成長を維持している。人口減少下での経済成長と言う異常な状態を維持している日本経済の力を認識しなければならない。」と言うことであった。
経済学的には、経済成長=人口増×生産性の上昇、であるから、日本の技術力のアップによる経済成長力が高く、日本経済には十分な経済競争潜在力があると言うことであろうか。
ところで、今ベストセラーの経済学書ハリー・S・デント・ジュニアの「バブル再来」に面白い人口に対する議論が展開されている。
デント自身、人口特性トレンドを重視した未来予測で、日本の長期不況やアメリカの株式ブームを的中させ、今、2009年までのブーム再来を予測しているのだが、単純明快で、アメリカの人口統計を50年ずらせて予測しているのである。
しかし、デントの凄い所は、経済循環への造詣が深く、特に80年サイクルでのイノベーションの役割を的確に分析していることで、今度の経済の好況局面と株式バブルの予言もこれ等を人口トレンドと縦横に錯綜させながら予測をしていることである。
今回のIT革命もITバブルではなく、その後のインターネットやブロードバンドの全産業に対する浸透と影響、そして経済への革命的インパクトを分析しているのである。
余談だが、TVでも、新聞でも、所謂経済評論家とか経済学者とかが景気を論じているが、殆ど当らないし参考にもならないケースが多いが、経済学に対する最低限の知識さえあるのかどうか疑わしい人が居る。
誰でも経済生活を営んでおり経済学は身近なもので分かっているような気になるが、本来、経済学は、複雑で極めて高度な難しい学問なのである。
日経が、コマーシャルで、『私の経済力』等と言っている次元で経済が分かれば苦労はしないし、日経を理解するにも結構経済学や経営学の基礎知識が要求されている。
自動車の運転には免許書が必要だが、経済学も同じで、我々が学生の頃は最低限度サミュエルソンのECONOMICSは読まなければならなかった。今では、マンキューやスティグリッツのマクロ・ミクロの経済学であろうか。
慣れと経験と勘だけで雑誌や新聞等メディアの情報を上手く繋ぎ合わせて経済や景気を論じているエセ××家が多すぎる、だから、これだけ日本経済の不況が長引いて、あたら貴重な時間と国富を失ってしまったのである。