地球環境問題では世界的権威であるレスター・ブラウンの『経済発展と食料・エネルギー・環境問題~地球環境の視点から~』と言う貴重な講演を聴いた。
第一回三井物産環境基金セミナー~環境と経済~の一環で、その前に、同じ演題で寺島実郎氏が、世界経済の現状を分析し、
21世紀に入ってから、世界全体が異様なまでに経済の高度成長の同時化局面に突入して、三つのE,即ち、エコノミー、エンヴァイロンメント、エネルギーのバランスを崩して、持続可能な成長を危うくする危険な状態にあることを説いた。
レスター・ブラウン氏の主要論点を私なりに纏めると次のとおりである。
現在、世界経済は、地球の自然の限界を超えつつあり、人類の文明は衰退し崩壊しかねない状態にある。
人類全体の需要が初めて地球の再生能力を超えたのは1980年頃だが、一度再生可能な範囲、即ち、自然の限界を超えて崩壊すると取り返すことが不可能となり、シュメールやマヤやイースター文明のように滅び去ってしまう。
これを回避する為には、化石燃料依存型で車中心の使い捨てのオールド経済から、『リサイクルやリユースのニュー経済(エコ・エコノミー)』に切換わらなければならない。
風力、太陽光、地熱、水力、バイオ燃料など豊富な再生可能エネルギー源が主流となろう。
風力発電、自転車専用道路、屋根上ソーラーパネル、古紙再生施設、森林再生などのエコ・エコノミーが一つづつ増えるごとに維持可能な経済環境に近づく。
ピークオイルが何時来るのか分からないが、既に需要が供給をオーバーして石油の高騰が続いていて諸物価に影響を与えているが、更に高騰すると食料物価に大きく影響する。
何故ならば、「口にするものは殆ど何でも自動車の燃料になる」ので、スーパーとガソリンスタンドが、小麦、トウモロコシ、大豆、サトウキビ等の農産物をめぐって競争するからである。例えば、小麦ならスーパーではパンに、ガソリンスタンドではエタノールに形を変えて。
食料の供給力の圧迫と高騰は、食料としての穀物を輸入出来なくなる世界の最貧国を直撃することになる。
石油は中東の一部の国に依存しグローバリゼーションを促進してきたが、エネルギー源が風力、太陽電池、地熱等再生可能なものに移行してくるとローカリゼーションが進むことになる。
石油や資源、農産物等供給過剰基調の余剰の時代から、不足の時代の地政学が出現し、中国やインドの加入により熾烈な争奪戦の時代に入っている。
未来は中国を見れば分かる。中国が成長を維持しアメリカ並みになるのが2031年だとし、その時アメリカ並みの生活を維持するなら世界の資源は悉く危機に瀕するのは自明の理であろう。
グローバル化し相互に依存する経済では、「一国の混乱」は「世界の混乱」を引き起こす。
国家の利益と言う概念が意味を成さない時代に突入してしまったことを忘れてはならない。
新しい経済の鍵となるのは、市場にエコロジーの真実を正しく伝える機能を持たせることである。
共産主義は市場の真実を伝えることが出来なくて滅びたが、このグローバル化した世界も、生態系エコロジーの維持保全に如何にコストが掛かっているかを市場に伝えて、資源を野放図に浪費するいびつになった経済を立て直さなければならない。
長江流域の大洪水で中国が、『地に生えている木が伐採された木の3倍の価値がある』ことを悟って森林伐採を禁止した。
環境維持保全コストを加味した環境税の導入も有効であろう。
レスター・ブラウンは、気が遠くなるほどの現実を前にしても希望を持っている。
汚染と破壊と紛争の世界から、現状維持のプランAではない「プランB」を提案して希望の世界を目指そうと提案している。
1.総ての環境破壊は事実上自分達がもたらした
2.超工面している問題は、いずれも既存の技術で対処できる
3.世界経済を環境的に維持可能な道に導く為に、しなければならないことはすべて、一つ以上の国で既に実現している
と言っている。
アメリカや中国の入っていない京都議定書の不備を言うのではなく、もう待ったなし、気付いて立ち上がった国、人々からプランBを実践してこの地球を守っていこうと提言しているのである。
私もレスターブラウンにエールを送りながら「プランB」にサインを貰って握手し会場を後にしたが、書物を求める若い人々の長い行列が、マンダリンオリエンタルの3階ロビーを埋めていた。
余談だが、私の学生の頃に、アウリオ・ペッティ氏が中心となって出版されたローマクラブの「成長の限界」と言う本が世界中で話題になった。
やはり、経済成長の問題を真摯に捉えて世の中に人類の将来に対して警鐘を鳴らした本だが、丁度、その後アメリカに行ったので関心を持って勉強した。
メキシコのモンテレィに行った時、フィラデルフィアでの友人であったリカルド宅にお世話になったが、工業都市でその一部だが公害が酷くて、持っていた日本版「成長の限界」を置いてきた。
マルサスの人口論もそうだが、地球危機説は繰り返す歴史的事象だが、さて、今回のレスター・ブラウンの警告は無視できるのであろうか。
ブッシュ政権の環境政策のお粗末さは言語道断だが、日本も京都議定書の排出基準を守れないと言う。
第一回三井物産環境基金セミナー~環境と経済~の一環で、その前に、同じ演題で寺島実郎氏が、世界経済の現状を分析し、
21世紀に入ってから、世界全体が異様なまでに経済の高度成長の同時化局面に突入して、三つのE,即ち、エコノミー、エンヴァイロンメント、エネルギーのバランスを崩して、持続可能な成長を危うくする危険な状態にあることを説いた。
レスター・ブラウン氏の主要論点を私なりに纏めると次のとおりである。
現在、世界経済は、地球の自然の限界を超えつつあり、人類の文明は衰退し崩壊しかねない状態にある。
人類全体の需要が初めて地球の再生能力を超えたのは1980年頃だが、一度再生可能な範囲、即ち、自然の限界を超えて崩壊すると取り返すことが不可能となり、シュメールやマヤやイースター文明のように滅び去ってしまう。
これを回避する為には、化石燃料依存型で車中心の使い捨てのオールド経済から、『リサイクルやリユースのニュー経済(エコ・エコノミー)』に切換わらなければならない。
風力、太陽光、地熱、水力、バイオ燃料など豊富な再生可能エネルギー源が主流となろう。
風力発電、自転車専用道路、屋根上ソーラーパネル、古紙再生施設、森林再生などのエコ・エコノミーが一つづつ増えるごとに維持可能な経済環境に近づく。
ピークオイルが何時来るのか分からないが、既に需要が供給をオーバーして石油の高騰が続いていて諸物価に影響を与えているが、更に高騰すると食料物価に大きく影響する。
何故ならば、「口にするものは殆ど何でも自動車の燃料になる」ので、スーパーとガソリンスタンドが、小麦、トウモロコシ、大豆、サトウキビ等の農産物をめぐって競争するからである。例えば、小麦ならスーパーではパンに、ガソリンスタンドではエタノールに形を変えて。
食料の供給力の圧迫と高騰は、食料としての穀物を輸入出来なくなる世界の最貧国を直撃することになる。
石油は中東の一部の国に依存しグローバリゼーションを促進してきたが、エネルギー源が風力、太陽電池、地熱等再生可能なものに移行してくるとローカリゼーションが進むことになる。
石油や資源、農産物等供給過剰基調の余剰の時代から、不足の時代の地政学が出現し、中国やインドの加入により熾烈な争奪戦の時代に入っている。
未来は中国を見れば分かる。中国が成長を維持しアメリカ並みになるのが2031年だとし、その時アメリカ並みの生活を維持するなら世界の資源は悉く危機に瀕するのは自明の理であろう。
グローバル化し相互に依存する経済では、「一国の混乱」は「世界の混乱」を引き起こす。
国家の利益と言う概念が意味を成さない時代に突入してしまったことを忘れてはならない。
新しい経済の鍵となるのは、市場にエコロジーの真実を正しく伝える機能を持たせることである。
共産主義は市場の真実を伝えることが出来なくて滅びたが、このグローバル化した世界も、生態系エコロジーの維持保全に如何にコストが掛かっているかを市場に伝えて、資源を野放図に浪費するいびつになった経済を立て直さなければならない。
長江流域の大洪水で中国が、『地に生えている木が伐採された木の3倍の価値がある』ことを悟って森林伐採を禁止した。
環境維持保全コストを加味した環境税の導入も有効であろう。
レスター・ブラウンは、気が遠くなるほどの現実を前にしても希望を持っている。
汚染と破壊と紛争の世界から、現状維持のプランAではない「プランB」を提案して希望の世界を目指そうと提案している。
1.総ての環境破壊は事実上自分達がもたらした
2.超工面している問題は、いずれも既存の技術で対処できる
3.世界経済を環境的に維持可能な道に導く為に、しなければならないことはすべて、一つ以上の国で既に実現している
と言っている。
アメリカや中国の入っていない京都議定書の不備を言うのではなく、もう待ったなし、気付いて立ち上がった国、人々からプランBを実践してこの地球を守っていこうと提言しているのである。
私もレスターブラウンにエールを送りながら「プランB」にサインを貰って握手し会場を後にしたが、書物を求める若い人々の長い行列が、マンダリンオリエンタルの3階ロビーを埋めていた。
余談だが、私の学生の頃に、アウリオ・ペッティ氏が中心となって出版されたローマクラブの「成長の限界」と言う本が世界中で話題になった。
やはり、経済成長の問題を真摯に捉えて世の中に人類の将来に対して警鐘を鳴らした本だが、丁度、その後アメリカに行ったので関心を持って勉強した。
メキシコのモンテレィに行った時、フィラデルフィアでの友人であったリカルド宅にお世話になったが、工業都市でその一部だが公害が酷くて、持っていた日本版「成長の限界」を置いてきた。
マルサスの人口論もそうだが、地球危機説は繰り返す歴史的事象だが、さて、今回のレスター・ブラウンの警告は無視できるのであろうか。
ブッシュ政権の環境政策のお粗末さは言語道断だが、日本も京都議定書の排出基準を守れないと言う。