中西輝政教授の「日本人としてこれだけは知っておきたいこと」は、独特な史観と使命感に貫かれた素晴らしい新書で、賛否は別として、憲法改正が騒がれ国際情勢が風雲急を告げている現在、やはり、日本人としては是非読んでおくべき書物だと思う。
少し前に、大学受験に負担となるので必須教科の「世界史」を履修していない高校が続出して問題となったことがあるが、中西教授の本を読むと、この歴史軽視教育は、マッカーサーの日本占領に伴う基本政策に沿ったもので、日本人の精神を根底から突き崩す為の基本施策であったと言うことらしい。
アメリカの対日占領政策文書「日本降伏後における米国の初期の対日方針」には、日本が再び「米国の脅威」にならないよう、徹底的に日本と言う国の弱体化をはかる旨書かれている。
何よりも日本人を精神的に弱体化させること、すなわち、日本人から歴史とアイデンティティを奪うことだと言う。
戦争末期の神風特攻隊と沖縄決戦、硫黄島決戦は、アメリカ人に甚大なショックを与え心胆寒からしめた。
それらの戦場での日本兵や日本人が示した驚異的な自己犠牲精神を、アメリカは恐れた。
この精神を崩さない限り、日本は再びアメリカの脅威になると考えて、占領政策は、日本人の精神を根底から崩すことに主眼が置かれ、そのために目を付けたのが学校教育、中でも歴史教育であった、と言うのである。
GHQから「神道指令」が発令され、ここで、アメリカは、神道、皇室の伝統、歴史教育に対して徹底的にタガを嵌めた。
この中でも、戦後の日本人に重大な影響があったのは、「歴史教育の全面否定」で「学校で歴史は教えるな」と言うことであった。
世界の学校教育と同じ様に、戦前にはあった小中学校での「歴史」と言う独立した教科が抹殺されて、歴史は「社会科」の中で教えろと言うことになったのである。
私自身、アメリカで大学院教育を受け、娘二人もアメリカン・スクールや英国の大学・大学院で教育を受けているので、欧米では、歴史教育、特に、自国の歴史については非常に重視して徹底的に教育を施しているのを知っているので、マッカーサーの占領政策の偏向ぶりには驚かざるを得ない。
ドイツは、独立後、憲法も含めて戦後の体制を根本的に改めたと言うことだが、本当は、サンフランシスコ講和条約を締結し独立した時点で、日本も同じ様に、憲法は勿論、教育制度など占領後に変更した戦後体制を、最低限度見直すことはすべきであったのである。
高校の学習指導要領では、世界史が必修となっていて、これは非常に良いことだが、やはり、日本人のアイデンティティを育むためにも日本史も必修にして、本格的に教えるべきだと思う。
日本の過去が分からなければ、現在の日本も当然分からない。これが厳粛なる事実でもある。
ヨーロッパでは、何処の国も単独の歴史などはないので、EUの成立に呼応して、欧州統一教科書「ヨーロッパの歴史」が編まれた。
これと比べて、日本のように有史以来現在に至るまで、殆ど同じ領土で単一の国家として歴史を維持している国は稀有に近い。
中西教授も強調しているが、偉大な歴史学者トインビーもハンチントンも、日本文明を、二次的文明ではなく独立した大文明の一つだと認めており、その意味からも、歴史教育の意義は大きい。
私自身は、勿論、戦後の教育を受けたのだが、高校生になってから、社会科は、「世界史」「日本史」「地理」「経済・社会」の4教科に分かれていて、前の3教科を履修し、大学受験は、「世界史」と「地理」で受けた。
小中学校での授業については、よく覚えていないが、当時の遠足や修学旅行には、奈良や京都などの古都等歴史的な場所が多かったので、その意味では、多少、日本の歴史や文化に触れる機会があった。今では、修学旅行は、ディズニーランドなどになっているようだが。
私の場合は、幸いにも、京都で大学生活を送ることが出来たので、古社寺など歴史散歩を続けながら、日本の歴史や文化などを意識的に勉強できたので、その意味では、日本の素晴らしさについては十分に認識しており、欧米に出て生活しても、むしろ、日本人であることに誇りを持って生きてきたと思っている。
(追記)写真は、庭のぼたんの花芯。
少し前に、大学受験に負担となるので必須教科の「世界史」を履修していない高校が続出して問題となったことがあるが、中西教授の本を読むと、この歴史軽視教育は、マッカーサーの日本占領に伴う基本政策に沿ったもので、日本人の精神を根底から突き崩す為の基本施策であったと言うことらしい。
アメリカの対日占領政策文書「日本降伏後における米国の初期の対日方針」には、日本が再び「米国の脅威」にならないよう、徹底的に日本と言う国の弱体化をはかる旨書かれている。
何よりも日本人を精神的に弱体化させること、すなわち、日本人から歴史とアイデンティティを奪うことだと言う。
戦争末期の神風特攻隊と沖縄決戦、硫黄島決戦は、アメリカ人に甚大なショックを与え心胆寒からしめた。
それらの戦場での日本兵や日本人が示した驚異的な自己犠牲精神を、アメリカは恐れた。
この精神を崩さない限り、日本は再びアメリカの脅威になると考えて、占領政策は、日本人の精神を根底から崩すことに主眼が置かれ、そのために目を付けたのが学校教育、中でも歴史教育であった、と言うのである。
GHQから「神道指令」が発令され、ここで、アメリカは、神道、皇室の伝統、歴史教育に対して徹底的にタガを嵌めた。
この中でも、戦後の日本人に重大な影響があったのは、「歴史教育の全面否定」で「学校で歴史は教えるな」と言うことであった。
世界の学校教育と同じ様に、戦前にはあった小中学校での「歴史」と言う独立した教科が抹殺されて、歴史は「社会科」の中で教えろと言うことになったのである。
私自身、アメリカで大学院教育を受け、娘二人もアメリカン・スクールや英国の大学・大学院で教育を受けているので、欧米では、歴史教育、特に、自国の歴史については非常に重視して徹底的に教育を施しているのを知っているので、マッカーサーの占領政策の偏向ぶりには驚かざるを得ない。
ドイツは、独立後、憲法も含めて戦後の体制を根本的に改めたと言うことだが、本当は、サンフランシスコ講和条約を締結し独立した時点で、日本も同じ様に、憲法は勿論、教育制度など占領後に変更した戦後体制を、最低限度見直すことはすべきであったのである。
高校の学習指導要領では、世界史が必修となっていて、これは非常に良いことだが、やはり、日本人のアイデンティティを育むためにも日本史も必修にして、本格的に教えるべきだと思う。
日本の過去が分からなければ、現在の日本も当然分からない。これが厳粛なる事実でもある。
ヨーロッパでは、何処の国も単独の歴史などはないので、EUの成立に呼応して、欧州統一教科書「ヨーロッパの歴史」が編まれた。
これと比べて、日本のように有史以来現在に至るまで、殆ど同じ領土で単一の国家として歴史を維持している国は稀有に近い。
中西教授も強調しているが、偉大な歴史学者トインビーもハンチントンも、日本文明を、二次的文明ではなく独立した大文明の一つだと認めており、その意味からも、歴史教育の意義は大きい。
私自身は、勿論、戦後の教育を受けたのだが、高校生になってから、社会科は、「世界史」「日本史」「地理」「経済・社会」の4教科に分かれていて、前の3教科を履修し、大学受験は、「世界史」と「地理」で受けた。
小中学校での授業については、よく覚えていないが、当時の遠足や修学旅行には、奈良や京都などの古都等歴史的な場所が多かったので、その意味では、多少、日本の歴史や文化に触れる機会があった。今では、修学旅行は、ディズニーランドなどになっているようだが。
私の場合は、幸いにも、京都で大学生活を送ることが出来たので、古社寺など歴史散歩を続けながら、日本の歴史や文化などを意識的に勉強できたので、その意味では、日本の素晴らしさについては十分に認識しており、欧米に出て生活しても、むしろ、日本人であることに誇りを持って生きてきたと思っている。
(追記)写真は、庭のぼたんの花芯。