熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

イノベーションは子供の発想で

2007年05月16日 | イノベーションと経営
   「明日の市場に主流を見たいのなら、今日の若者達を見ることだ」とトム・ケリーは言っている。
   ブログ、ゲーム、インスタント・メッセージ、MP3、ファイル交換等に勢いをつけたのは、総て10代のヤングである。

   市場における新しいものやサービスに対するトレンド・セッターは、私自身も若者達だと思っているので、ソニーがアップルのiPodに出し抜かれたのも、やはり、若者達の動向を読み切れなかったことにある。
   ブランドにおいても製品の質においても、ソニーのウォークマンの方が遥かに他を凌駕していた筈だったが、音楽ソフトをパソコンで自由自在に操作して楽しむと言う大きなビジネス・モデルのトレンド:音楽の管理・再生ソフトiTunes に思い至らなかったのと、なまじっか子会社のソニー・ミュージックの利害を慮る姑息な手段しか取れなかったことによる。

   ソニー・ミュージックの件は、アマゾンがネット書店を開設した時に、全米一の書店バーンズ&ノーブルが、自社のネット書店との競合でビジネス・モデルの転換に逡巡して商機を逸したのと類似しているが、イノベーションでビジネス・モデルやテクノロジーが変革すると既存の事業との利害の対立は当然起こってくるのである。
   このことを考えて見れば、ソフトとハードを抱え込むソニーのワンセット戦略が良いのか悪いのか、疑問なしとしない。
 
   10代の若者達は、新しいものをドンドン試し検分して、好きになって入れ込むものもあれば、すぐに捨て去るものもある。
   始めてみる最新のテクノロジーやファッションには、次々と乗って行き、ひとたび彼らが気に入れば、その熱狂的な支持がブームを呼び、商品の大ヒットとなる。
   
   「トゥイーンズ」と言う造語をニューヨーク・タイムズが造った。
   「お金を持っている8歳から12歳までの洗練された子供たち」で、自立したい気持ちがありながら、親にくっ付いていたい年齢である。
   このような子供たちを招いて自由気ままにお菓子やおもちゃを作らせたり、語らせたりして、彼らから多くのことを学んで、そのアイデアを生かして製品化すると言ったイノベーション戦略を取って成功を収めているアメリカ企業があると言う。
   とにかく、このような子供たちに自由に語らせることは、決してお遊びではない。
   最も若い顧客の意見に耳を傾けることには、必ずメリットがある。
   イノベーション的な発想やアイデアは、何の先入観にも侵させずに、純粋無垢な思考の中から生まれることが結構多いと言うことでもある。

   この口絵写真は、我が家の玄関先の一部分だが、ある日、6歳の孫が、ネズミや少女のフィギュアーを動かせて、自分勝手にアレンジしてしまった。
   不安定だが、この方がはるかに面白いので、そのままにしているが、我々大人の発想では絶対に出来ないことだと思っている。
   

   
コメント
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