百貨店や病院、あらゆる所の公共エレベーターが、長い間待っても中々来なくてイライラした経験は誰でも持っている。
この科学万能、IT革命の時代に、この程度のことが解決出来ないのか。ニコニコ微笑んむ愛想の良いエレベーター嬢がいるのは良いが、沢山あるエレベーターが同じ方向に向かっていて止まったままで中々来ない、この客のイライラを解決することがカスタマー・サティスファクションの極意だと言うことさえ知らない経営者だから、百貨店の凋落は当然と言えば当然である。
もう30年以上にもなるが、このエレベーター待ちのイライラ解消法で思い出すのは、誰にどのような機会に聞いたのか忘れてしまったが、アメリカのビジネス・スクールでの講義である。
ある大会社からのエレベーターが中々来ないので客や従業員から不満が出て困っているが、付け替えなどと言った予算はないので、安上がりの解決法はないかと言う設問である。
解決法は、至って簡単・安上がりで、エレベーター・ホールの壁に大きな鏡を取り付けたのである。
根本的な解決ではないが、エレベーター待ちの客に自分の身だしなみなどを観察させる機会を与えて気を散らして心理的に待ちのイライラを軽減させた。
苦情はピッタリと止まったことは言うまでもない。
アメリカに非常に革新的でユニークなIDEOと言うデザイン・ファームがある。
この会社の経営者の一人トム・ピーターが、「発想する会社!」と言う素晴らしい本を書いて一世を風靡したが、今回、さらに「イノベーションの達人!」と言う新しい本を出した。
この中で、ケリーは、病院のエレベーターが昼時に渋滞を来たして困っていたのを如何に解決したかを紹介している。
一般の会社や公共建物の場合なら、不便だとか効率が悪いで済ませるが、病院の場合は、緊急時に医者が患者の所に移動出来ないとかとなると深刻な問題である。
日本の場合は、普通、業務用と一般用が分離されているようだが、現実には厳密に利用されているふうではなく錯綜すればダンゴになって中々動かないし、もっと深刻なのは、病院の場合には、エレベーターの速度が極端に遅いことである。
ところで、この病院の場合の解決法だが、一つは業務用エレベーターの仕様変更で、もう一つは階段の活用であった。
業務用のエレベーターについては、普段は殆ど遊んでいるので、新たに警備員を配置して、患者や器具を迅速に運ぶという本来の目的を妨げない程度に一般用にも活用した。
一方、階段の活用については、「貴方は階段を使いましたか?」と言うカラフルで派手なボードを貼って、そこに医師、看護師、技術士の名前を一覧書きして、階段を使った人にはその都度ステッカーを貼るというコンテストを行ったのである。
実に多くの看護師と数名の医師が参加して、昼時時の危機的なエレベーター混雑は解消されたと言うことである。
IDEOでは、このようにエレベーター利用に関する注意を喚起し、メンバーに力を合わせて自分たちの務めを果たす機会を与え、かつ、トラブル解決の為に一寸した実験を行うと言った問題解決法を「リスクのぶつ切り」と呼んでいるようであるが、このような視点を変えての一寸した発想の転換が、ビジネスにとって非常に重要であり、イノベーションを生み出すパワーにもなるということを銘記すべきかも知れない。
この科学万能、IT革命の時代に、この程度のことが解決出来ないのか。ニコニコ微笑んむ愛想の良いエレベーター嬢がいるのは良いが、沢山あるエレベーターが同じ方向に向かっていて止まったままで中々来ない、この客のイライラを解決することがカスタマー・サティスファクションの極意だと言うことさえ知らない経営者だから、百貨店の凋落は当然と言えば当然である。
もう30年以上にもなるが、このエレベーター待ちのイライラ解消法で思い出すのは、誰にどのような機会に聞いたのか忘れてしまったが、アメリカのビジネス・スクールでの講義である。
ある大会社からのエレベーターが中々来ないので客や従業員から不満が出て困っているが、付け替えなどと言った予算はないので、安上がりの解決法はないかと言う設問である。
解決法は、至って簡単・安上がりで、エレベーター・ホールの壁に大きな鏡を取り付けたのである。
根本的な解決ではないが、エレベーター待ちの客に自分の身だしなみなどを観察させる機会を与えて気を散らして心理的に待ちのイライラを軽減させた。
苦情はピッタリと止まったことは言うまでもない。
アメリカに非常に革新的でユニークなIDEOと言うデザイン・ファームがある。
この会社の経営者の一人トム・ピーターが、「発想する会社!」と言う素晴らしい本を書いて一世を風靡したが、今回、さらに「イノベーションの達人!」と言う新しい本を出した。
この中で、ケリーは、病院のエレベーターが昼時に渋滞を来たして困っていたのを如何に解決したかを紹介している。
一般の会社や公共建物の場合なら、不便だとか効率が悪いで済ませるが、病院の場合は、緊急時に医者が患者の所に移動出来ないとかとなると深刻な問題である。
日本の場合は、普通、業務用と一般用が分離されているようだが、現実には厳密に利用されているふうではなく錯綜すればダンゴになって中々動かないし、もっと深刻なのは、病院の場合には、エレベーターの速度が極端に遅いことである。
ところで、この病院の場合の解決法だが、一つは業務用エレベーターの仕様変更で、もう一つは階段の活用であった。
業務用のエレベーターについては、普段は殆ど遊んでいるので、新たに警備員を配置して、患者や器具を迅速に運ぶという本来の目的を妨げない程度に一般用にも活用した。
一方、階段の活用については、「貴方は階段を使いましたか?」と言うカラフルで派手なボードを貼って、そこに医師、看護師、技術士の名前を一覧書きして、階段を使った人にはその都度ステッカーを貼るというコンテストを行ったのである。
実に多くの看護師と数名の医師が参加して、昼時時の危機的なエレベーター混雑は解消されたと言うことである。
IDEOでは、このようにエレベーター利用に関する注意を喚起し、メンバーに力を合わせて自分たちの務めを果たす機会を与え、かつ、トラブル解決の為に一寸した実験を行うと言った問題解決法を「リスクのぶつ切り」と呼んでいるようであるが、このような視点を変えての一寸した発想の転換が、ビジネスにとって非常に重要であり、イノベーションを生み出すパワーにもなるということを銘記すべきかも知れない。