東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

うすらさむい5

2007-09-02 09:39:16 | 社会・経済

ブッシュ大統領があまりみっともないことを言うのが心配になったのか、最近ホワイトハウスのゴーストライターやお雇いシンクタンクが演説原稿を書いているようだ。産経新聞8月29日に最近のブッシュ演説が詳しく出ている。

大して代わり映えもしないが、日本だけじゃ議論が弱いと思ったのか、朝鮮戦争やベトナム戦争のことを加えている。日本、朝鮮、ベトナムにほぼ同じ比重を置いている。

日本については占領政策で民主化に成功したというこれまでの主張を繰り返している。朝鮮戦争は、米国の参戦がアジアを共産主義から守りアジアの秩序を作ったという主張を補強するつもりのようだ。だからイラクもアメリカが仕切らなければという主張だ。朝鮮戦争については、アメリカの役割を認めてもいいかもしれない。(後述も参照)

ベトナム戦争はアメリカの撤退後にベトナムやカンボジアで悲惨な大虐殺が起こった、つまりアメリカの撤退に責任があるというわけだ。だからイラクから撤退できないという主張になる。

日本に言及するのは占領政策の正当性を主張するつもりだ。朝鮮戦争を引き合いに出すのはアルカイダ(テロリスト、共産主義)の防波堤になるというつもりだ。ベトナムを例に取るのは、アメリカが撤退すればイラクで親アメリカ分子が報復されるというわけだ。

最近は議会で民主党からイラクを撤退しろと迫られているので、それに対してはベトナム戦争の例を一番強調したいのだろう。撤退問題は尻に火がついているからね。今後はこの点を強調することが多くなるのではないか。

大体、発端は911に対するテロリストへの報復だろう。アフガニスタンのタリバンに対する攻撃がそれだ。それがタリバン政権の崩壊という点については、思いのほか簡単にいったので、色気を出してアルカイダとの関係の確証もないのにイラクに手を出した。

大体、テロリストを封じ込めるというなら、民主化などおせっかいなことをするべきではない。テロリスト対策がうまくいけば他国の政治体制はその国の国民の総意に任せなければならない。アメリカがサウジアラビアに王政を認めているように。

イラクをベトナム難民やカンボジア大虐殺の悲劇から守らなければならないのなら、その責任は単独でイラクに攻め込んだアメリカだけにある。どんどん泥沼にはまり込んで勝手に疲弊していけばよかろう。日本が巻き込まれてはならない。

アフガニスタンの洋上給油はもう止めたらよかろう。アフガニスタンみたいな小国に何年てこずっているのだ、アメリカは。7年にもなるだろう。長すぎる。こんな手際の悪い無能な国に引っ張られて日本が巻き添えになることはない。2,3年は義理チョコで付き合ってもいいがね。

だいいち、アフガニスタン情勢がどうなっているのか、どういう見通しなのか国民に一度も説明してないではないか。こんな日中戦争みたいに泥沼のダラダラした戦争に日本がこれ以上手を貸すことはない。

日本は日中戦争の教訓を忘れたのか。いかなる戦争にも軍事的、合理的な期間上限がある。アフガニスタン、イラクの国力からすればせいぜい二年で片付けなければならない。甘くみても三年までだ。