ソクラテスコ:ところで相撲評論家という職業がえらく北の湖を刺激したらしいが、たしかに何となくコナレのわるい言葉ではあるね。なじみの無い言葉とか概念に本能的に警戒感をしめして排除するのは田舎の人の習性だがね。
南の果て:たしかに「相撲評論家」というのはあまり使われない言葉のようですね。「相撲解説者」という言葉はよく聞くが。
ドンブリコ:それはNHKの相撲中継でアナウンサーのお相手をする人たちでしょう。もっとも、解説者とはいうものの、全部相撲協会の人間のようだから、あまり中立性は感じないね。
頼朝:そうね、とても中立的とはいえない。相撲協会に苦言を呈するなんていうことは口が裂けても言えない人たちだ。
(ここで南の果て親方と猿の山もと親方が椅子をガタガタと後ろに引いて立ち上がる)
頼朝:おっと、失礼あなた方も時々アナウンサーの横に座りますね。人によってははっきりとものを言う人もいるようだが、(と付言したが、時遅し、二人の協会の人間は立ち上がって部屋を出て行った)
ソクラテスコ:ヤレヤレ、相撲社会の人間は気の小さいのが多いね。もっとも今の理事長が独裁的だから皆ビクビクしているんだろうな。
頼朝:力士は体が大きいわりには気の小さくてコスカライのが多いようですね。時々向こう正面に座らせてもらっている舞の海なんていうのは今でも協会にいるんですかね。元力士だけど、今はNHKお抱えじゃなかったかな。
ドンブリコ:彼なんかは絶対に協会を批判しないからね。それでも正面のアナウンサーの横には座らせてもらえないようだ。むかしカミカゼさんという解説者がいたが、歯切れのいい、なんとも聞いていて気持ちのいい解説だった。
ソクラテスコ:彼も力士あがりだったね。解説者当時には彼は相撲協会の人ではなかったんだね。かれは中学校卒業の学歴があった。戦前だけどね。そのころは力士なんてみんな小学校卒業だから、中学校卒業でもほかの力士に比べると大変な知性を感じたものだ(ただし昔の中学は5年、授業内容からしても今の高校卒以上の学力があった)。もっともそのころの力士はインタビューでもアーとかウーくらいしか言わなかったからね。
それに比べると現在の力士はよくしゃべる。大学卒業もかなりいるがしゃべることに全然知性が感じられない。
ドンブリコ:しかし、神風はずいぶんとはっきりものをいう人でしたよ。ラジオ時代の人だから知らない人が多いだろう。
頼朝:そうですか、私も知りませんでした。考えてみるとおかしいですね。プロ野球の解説を球団の現役のオーナー、フロントや監督、コーチがしているようなものでしょう。そんなことは考えられませんよ。まして相撲協会は公益法人でしょう。解説というからには外部の第三者がやらなければ公正な放送、解説は期待できませんよ。
ドンブリコ:あるいはJリーグの試合をJリーグの現役のコーチがするようなものだな。親方が解説するなんて、相撲の社会でしか考えられない。
頼朝:文部科学省はなにをしているのでしょうね。
ソクラテスコ:横綱審議委員会のヨイヨイ・ジジ・ババもなにか改善策を提言してもよさそうなものだがね。