イラクの首都バクダッドで、連続爆破事件があった。僅か数分の間に、6件の爆破があったと報道されている。死者が85名、負傷者が500名を超える大事件である。アメリカは都市部から撤 退して2カ月近くになる。治安をイラクに任せた後の、最大のテロ事件である。
爆破が起きたのは、各国の大使館がある地域である。グリーン地帯として最も安全とされていたところである。人命を軽んずるテロ行為は許せるものではない。アメリカの撤退に挑戦的なくいであるが、かといってイラクに任せられないことを証明しようとするのであろうか。テロも目的はオバマのアフガンへの動きと、マリキ政権へのけん制であろう。
選挙を控えたアフガニスタンでは、ヨーロッパ各国の軍隊が駐留しているが、イギリス兵の死者が300名を超えたと、イギリス国内では問題となっている。このところのタリバンの攻勢もかなり大規模なもの もある。オバマがイラクからアフガン重視へと動く中、情勢は決して楽観はできない。
アフガニスタンは山岳国であり、多民族国家である。これまでイギリス、ソ連を退けてきた歴史がある。タリバンの思想的な抵抗であるというよりも、歴史的な抵抗なのであろう。
暴力による連鎖は何処かで断ち切らなければならない。これまでのように、武力制圧だけでは問題が解決しないことを確認するべきである。暴力は強者が譲ることでしか止まることがない。タリバンに中止を訴える前に、ヨーロッパ連合軍やアメリカが和平への行動を行うべきなのである。
ところで、イラク侵攻は間違いだったと多くの国が認めている。アメリカ自身が、大量破壊兵器がなかった結論付けている。先頃の党首討論会でも、日本政府はそれをいまだに認めていないとのことである。それでいて、インド洋上でアメリカ艦船に給油する、何の意味もないテロ対策をいまだ主張している。今回のバクダッド連続爆破に、日本の報道も小さい。