詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

22 アムール(嵯峨信之を読む)

2018-06-28 09:19:49 | 嵯峨信之/動詞
22 アムール

よく見ると
下絵のように
擦れた線が幾重にもみだれもつれて描いてある

 直接的な動詞は「描いてある(描く)」だが、重要なのは「描く」を修飾する「みだれる」「もだえる」だ。
 「みだれる」「もだえる」のが愛の本質である。
 「幾重」ということばは「いくつも/重なる」と動詞がわかるようにして読み直すと、愛の本質がさらにわかる。「みだれる」だけではない。「もだえる」だけてはない。
 「よく見ると」は「擦れた線」(擦れる)に視線を動かしていくが、「重なる」をこそ見逃してはならない。
 「重なる」から、次の連の「読めない」にもつながる。
 「よく見ると」「見える」ではなく、「よく見ると」「読めない」。
 ぱっと「見る」と愛だとわかるが、「よく見ると」愛はわからなくなる。
                        2018年6月28日(木曜日)

22 アムール

よく見ると
下絵のように
擦れた線が幾重にもみだれもつれて描いてある

 直接的な動詞は「描いてある(描く)」だが、重要なのは「描く」を修飾する「みだれる」「もだえる」だ。
 「みだれる」「もだえる」のが愛の本質である。
 「幾重」ということばは「いくつも/重なる」と動詞がわかるようにして読み直すと、愛の本質がさらにわかる。「みだれる」だけではない。「もだえる」だけてはない。
 「よく見ると」は「擦れた線」(擦れる)に視線を動かしていくが、「重なる」をこそ見逃してはならない。
 「重なる」から、次の連の「読めない」にもつながる。
 「よく見ると」「見える」ではなく、「よく見ると」「読めない」。
 ぱっと「見る」と愛だとわかるが、「よく見ると」愛はわからなくなる。



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