詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

13 道標(嵯峨信之を読む)

2018-06-13 10:58:29 | 嵯峨信之/動詞
13 道標

ぼくは逃げ出そうとしたが
廊下の戸という戸は固く閉ざされている

 「逃げ出す」という動詞と「閉ざされている(閉ざす)」という動詞が、向き合っている。「逃げ出す」ことを考えたとき「閉ざされている(閉ざす)」という動詞が浮かび上がった。
 その「関係」こそが「道標」なのかもしれない

硬直したぼくの肉体がつつ立つている

 「つつ立つている」は「行く場所(逃げる道)」がないからであるが、「つつ立つている」の「つつ」に目を剥けると、少し違ったものもみえる。「突き立てる」その「つく」には「ここを激しく刻印」する力が働いている。
 自分自身を道標に「する」のだ。
 これは「目的地」ではなく「出発点」としての道標だ。










コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする