24 (もしすべての存在を消すことができたら)
これは、どういうことか。嵯峨は言いなおしている。
「ぼくのものになる」と「ぼくのところへやつてくる」。それは「通う/通る」という動詞によって実現する。
複雑なのは、「おまえが通る」と「ぼくの血が通う」が交錯するところだ。「ぼくの血が通う」から、そこを「おまえが通る」ことができる。
しかも、「血が通う」の前提には「遠近が生じ」ということが前提になっている。「遠近が生じる」ことで「血が通う」。その「血の通う遠近の場」を「おまえが通って」やってくる。
このときの「遠近が生じる」の「生じる」は「歌がなくなる」の「なくなる」とは反対のことである。
「歌」ではなく、「現実」が、そのとき「生まれる」。「現実」のなかで「血が通う」ということか。
錯綜する動詞のなかで迷うことが詩を読むことだ。嵯峨と同じ動詞を生きることで、詩が肉体の中に入ってくる。
*
評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』を発行しました。190ページ。
谷川俊太郎の『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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「詩はどこにあるか」4月の詩の批評を一冊にまとめました。186ページ
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注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
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(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料250円)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com
どこにも歌がなくなつたとき
始めておまえはぼくのものになるだろう
これは、どういうことか。嵯峨は言いなおしている。
どこからか陽が射してきて
すべてのものに影がまつわり
遠近が生じ
ぼくの歩みに血が通うだろう
遠い夢の地つづきを通つて
おまえはぼくのところにやつてくるのだ
「ぼくのものになる」と「ぼくのところへやつてくる」。それは「通う/通る」という動詞によって実現する。
複雑なのは、「おまえが通る」と「ぼくの血が通う」が交錯するところだ。「ぼくの血が通う」から、そこを「おまえが通る」ことができる。
しかも、「血が通う」の前提には「遠近が生じ」ということが前提になっている。「遠近が生じる」ことで「血が通う」。その「血の通う遠近の場」を「おまえが通って」やってくる。
このときの「遠近が生じる」の「生じる」は「歌がなくなる」の「なくなる」とは反対のことである。
「歌」ではなく、「現実」が、そのとき「生まれる」。「現実」のなかで「血が通う」ということか。
錯綜する動詞のなかで迷うことが詩を読むことだ。嵯峨と同じ動詞を生きることで、詩が肉体の中に入ってくる。
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谷川俊太郎の『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料250円)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料450円)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
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(3)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料250円)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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嵯峨信之詩集 (現代詩文庫) | |
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