詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

まだ残っていた

2023-03-17 22:25:58 | 

 街角にまだ残っていた。そこにあらわれる、きっとあらわれる。そう思っていた。そして、それは詩になった。忘れないように、ライラックの花の匂いのことを書いた。手の匂いに似ていた。そのとき書いたことば、手の匂いに似ていた以外は、もう忘れてしまったが、書いた記憶、なによりも、そこにあらわれる、きっとあらわれると思っていた記憶が、まだ街角に残っていた。小さな本屋は消え、熱いコーヒーを飲んだ店もなくなっていたが、あのときの、ライラックの匂いが残っていた。もう何年も前のことなのに。あの日と同じように、風に揺すられて、広がったり集まったりする匂いが残っていた。そんな詩を、きっといつか書くに違いないと予感した、そんな悲しみ、悲しみのままでが残っていた。それが、いま、あらわれた。

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Estoy Loco por España(番外篇325)Obra, Fidel Vidal Pérez

2023-03-17 09:07:57 | estoy loco por espana

Obra, Fidel Vidal Pérez

 La obra de Fidel siempre está llena de luz. Es una luz transparente. Y es una luz tranquila. Cuando Fidel dibuja una sombra, puede ver claramente su quietud.
 Una iglesia en la luz. ¿La luz es de mañana, de mediodía o del atardecer?
 Pinso que luz de mediodía. Una fuerte luz que cae directamente desde arriba borra todas las formas y colores. Sólo, momentáneamente, una sombra sobrevivió.

 En ese momento, oí el silencio.

 Pero aún no estoy acostumbrado a ese silencio y oigo algo distinto al silencio. Susurros de color. Susurros de colores que desaparecen bajo la luz intensa, que se apiñan, que intentan convertirse en sombras. Susurros de colores que se susurran para sobrevivir en la sombra. 

 Fidel の作品にはいつも光が満ちている。透明な光だ。そして、それは静かな光だ。影を描いたときに、その静かさがよくわかる。
 逆光の教会。光は朝の光か、昼の光か、夕暮れの光か。
 私は真昼の光を思った。真上から降ってくる。太陽は少しだけ後ろにある。真上から降ってくる強い光は、すべての形と色を消してしまう。ただ、瞬間的に、影が生き残った。

 このとき、私には、沈黙が聞こえた。

 しかし、私はまだその沈黙に慣れていなくて、沈黙以外のものを聞いてしまう。色のささやき。強い光のなかで消えていく色の、身を寄せあって、影になろうとするささやき。影になって生き残るために、ささやきあう色の声。

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