詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Estoy Loco por España(番外篇328)Obra, Jesus Coyto Pablo

2023-03-21 22:47:45 | estoy loco por espana

Obra, Jesus Coyto Pablo

 En los dos cuadros detrás de Jesús hay las fotos. Probablemente sean las de sus padres.
 Delante de estos cuadros, Jesús parece un niño que acaba de pintar por primera vez. Parece como si dijera: "Mira, mira,he pintado un cuadro". Al pintar, Jesús está volviendo a su infancia.
 Los padres en el cuadro dicen: "A este niño le encanta pintar. Ha nacido para ser pintor". Es como si contemplaran asombrados que sale de sus manos y se adentra en el mundo del arte.
 Cuando vi una obra parecida a estos cuadros en el taller de Jesus, no me di cuenta de la sorpresa de sus padres. Por esro me pregunto a si mismo. ¿Conoce Jesús, de espaldas al cuadro, esta sorpresa de los padres?
 Hay algo aquí, entre la mirada de Jesus y las de sus padres, una fuerte conexión y una violenta desconexión entre la vida humana y la recepción de la vida. Me parece que es el propio destino humano.

 Jesus の背後の2枚の作品には、写真がコラージュされている。両親の写真だろう。
 この絵の前では、Jesus の姿が、まるで絵をはじめて描いた少年のように見える。「ほら、絵が描けたよ、見て、見て」と言っているように見える。絵を描くことで、Jesus が童心に戻っている。
 絵のなかの両親は、「この子は絵を描くのが好きなんだ。画家に生まれてきたんだ」と思って、見守っている。それま、まるで、自分の手を離れて、芸術の世界へ行ってしまうことを、驚いて見ているような感じである。
 その両親の驚きは、この絵を単独で見たときは気がつかない何かである。だから、思うのだ。絵を背にして立っているJesus は、この驚きを知っているだろうか。
 ここには、なにか、人間がいのちを受けること、生きることの、強い接続と、激しい断絶がある。

 

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ツチヤタカユキ「プラネタリウム・テイクアウト・デイズ」

2023-03-21 18:17:55 | 詩(雑誌・同人誌)

ツチヤタカユキ「プラネタリウム・テイクアウト・デイズ」(「ココア共和国」2023年2月号)

 ツチヤタカユキ「プラネタリウム・テイクアウト・デイズ」は、こうはじまる。

地球上の人類全員に、つけられるようになった順位。
政府から届いた封筒には、『あなたが最下位になりました』。

その夜、神様がなくしてしまった、地球を作るレシピを拾う。
そこには『ビックバン大さじ1+アダムとイブ』と書いてあって、
私は自分の脳内で、大さじ1のビックバンを起こして、そこに小さな
地球を作った。

 空想の世界である。空想の世界だから何が起きてもいい。だいたい空想にストーリーは必要がない。そういう点では、詩、そのものである。だれも過去に何が起きたか気にしない。これから起きることだけを期待して読む。ストーリーに整合性はなくてもいい。整合性がない方がおもしろい。整合性のかわりにあるのは、何か。人によって、違う。ことばのエネルギーの場合もあれば、「文体の統一」(リズム感の統一)というのも、ある。
 ツチヤタカユキは「文体の統一」で動いている。

その帰り道、神様がなくしてしまった、天使の採用試験問題を拾う。
そこに書いてあった質問に答えた瞬間、
私の順位は1位になった。

Q.『人間の平均寿命が3分間になった世界で、君は何をして、一生を
   終える?』

「カップラーメンにお湯を入れて、次に生まれた奴に食わせる」。

 最後の「奴」がとてもいい。
 3分間、カップラーメンだけでは、ちょっと気の利いた「落語」のようなものである。気取った詩人が見落としていたものを拾い上げて世界を作ってみた、という感じ。「論理」が目立ってしまう。
 この「奴」が「人」だったら、とても気持ちが悪い詩になる。
 「奴」には、軽蔑と親しみの、ふたつの響きがある。それは「人類」や「政府」「神様」「天使」にも通じる。
 私は、ツチヤタカユキがつかっていることばで何か語ろうとは思わないが、「奴」はつかってみたいかな、と思った。「奴」には、何か、「人類」「神様」、それから「順位」というようなものを、ちゃらにする力がある。その力で、詩が統一されている。

 

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ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督「コンペティション」(★★★★)

2023-03-21 13:31:45 | 映画

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督「コンペティション」(★★★★)(キノシネマ天神、スクリーン1)

監督 ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン 出演 ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネス

 この映画が成功しているいちばんの理由は、リハーサルを超豪華な建物のなかでやっていることだ。映画の撮影ならともかく、リハーサルに、そんな場所をつかう必要がない。でも、これは映画をつくる、リハーサルをするという「映画」なのだから、豪華な舞台の方が見栄えがするし、いかにも「映画」という気持ち(現実ではないという気持ち)になる。
 というようなことを書いていると、これが映画なのか映画ではないのか、よくわからなくなる。
 これが、ミソだね。
 何もかもが嘘なのに、そこに「ほんとう」がある。人間の、かぎりないエゴイズム。登場人物が、みんなエゴイズムのかたまり。
 でも、それ、「ほんとう」? 演技として演じられているだけでは?
 ほら、また、わからなくなる。
 映画のなかでは「ほんとう」を演じながら、その「ほんとう」は嘘だったという部分があるし、こんな安直な「嘘」で結末をつけてどうするんだと思っていたら、ちゃんと別の「ほんとう」(安直な「ほんとう」)が用意されている。
 これでは、終わりがない。映画のなかでは、この「終わりがない」さえ、ちゃかされている。
 どこまで書いても繰り返しになるので、繰り返しにならない「もの」について書いておこう。
 ペネロペ・クルスの「腋毛」である。ペネロペ・クルスが処理していない腋毛を見せる。もちろん、それは映画のための「嘘」ではあるのだが、その腋毛はペネロペ・クルスの腋毛であることは事実なのだ。
 いいなおすと。
 この映画に出てくる役者の、その「肉体」そのものは「ほんもの」である。(もちろん、この役者の肉体は「ほんもの」ということも、アントニオ・バンデラスの二役という形で「ほんもの」を否定されるが、その否定はことばだけなので、まあ、役者の「肉体」の「ほんもの性」は揺るがないと考えていいだろう。
 これを言い直すと。
 観客は、映画(芝居でもいいが)を見るとき、何を見に行くのか。自分の日常とは違う「ストーリー」か。そんなものではない。ひたすら「役者の肉体」を見るだけなのである。ペネロペ・クルスの腋毛が欲望をそそる、とか、あ、そんなもの見たくない、とか。つまり、腋毛がない方が好き、とか。
 この「肉体」を見ているだけ、というのは、笑ってしまうことに、これも映画のなかでひとつのテーマとして描かれている。脇役の女優とキスするリハーサルがある。アントニオ・バンデラスとオスカル・マルティネスのキスがへたくそ、というのでペネロペ・クルスが演じて見せるのだが、それは演技? それとも本気? つまり、脇役の女優にその少女を選んだのは、役者としての才能にほれこんだから? それともキスしたかったから? それは、わからない。わからなくていいのである。アントニオ・バンデラスとオスカル・マルティネスは、わからないまま、それを見つづける。わからなくなって、つまり、困惑した出資者だけが、そのキスを見ることに耐えられず、その部屋を離れる。
 役者の「肉体」を見ることが嫌いなら、映画を見なくてもいい、でも「肉体」を見ることが好きなら、「スケベごころ[があるなら、見に来て、ということだ。
 で、その「肉体」にも、いろいろ種類(?)がある。ペネロペ・クルスもアントニオ・バンデラスも、簡単にいうと「色」を売っているが、オスカル・マルティネスはさすがに「色」を売る年齢でもない殻かもしれないが、「声」を売っている。「声」がとても聞きやすい。それが「舞台俳優」という役柄にぴったりでおもしろかった。さらに、その「声」がスペイン人とはちょっと違うかも、と思ったら、アルゼンチン人だった。知らず知らずに、そんな「肉体」の違いを見ていたことになる。


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