日韓国際旅客船が発着する「プサン港国際旅客ターミナル」が、
かつてない活況を呈している。
本格的な旅行シーズンを迎える2007年の夏も、過去最高の
賑わいを見せることは確実だ。
特にプサン-大阪航路の利用客数の伸びには目を見張るものが
ある。今年2007年の上半期、同航路の利用客数は前年同期比で
実に45%の伸びを示した。
大阪航路の利用客がターミナル利用客全体に占める割合も、
2005年の9.0%から07年上半期には12.5%まで上昇した。
同航路が熱を帯びている背景には、2002年に就航した
「パンスタードリーム号」(旧さんふらわぁくろしお)に加え、今年4月、
新たに2隻目となる「パンスターサニー号」(旧さんふらわぁみと)が
同航路に投入されたことがある。
2隻目が就航したことによりプサン港からの毎日運航が可能となる
など利便性が大きく向上したことが、利用客の大幅増につながった
ものと考えられる。
△2007年4月、プサン-大阪航路に追加投入された
パンスターサニー号(連合ニュース)。写真は
「さんふらわぁみと」時代のものと思われる。
07年上半期の段階では、まだまだ利用者の中心を占めている
のは、福岡(59.4%)や下関(17.9%)を中心とした九州・山口
航路の利用者(85.1%)であることに変わりはない。
しかし、奈良や京都、神戸など背後に多くの観光地を抱える
大阪航路の利用者は、毎日運航態勢の定着とともに今後とも
大幅に増加することが予想される。
△プサン税関(ソウル経済新聞)
ソウル経済新聞の関連記事を翻訳練習してみた。
なお、末尾には参考資料として西日本新聞の関連記事も引用して
いる。同記事によれば、2006年、日韓航路(プサン-九州・山口)を
利用した乗船客の約7割が韓国人だった。
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■ プサン港、フェリー利用客で大賑わい
(ソウル経済新聞 7月20日)
・「安い費用でのんびり」 - 利用客20%以上増加の勢い
・多彩な船内イベントショー、免税ショップの充実も好評
プサン市中区中央洞に位置するプサン港国際旅客ターミナル。
20日金曜日午後2時30分、プサン港国際旅客ターミナルの2階
出国ホールは日本に向かう旅行客で足の踏み場もないほど
混みあっていた。
ホールの椅子の周りには数十人ずつの人だかりが出来ており
座る場所がなく立ったまま出国カードを記入する人もいた。中年
夫婦や若者のカップル、リュックサック旅行を楽しむ人など個人
旅行者の姿も目立った。
彼らはこの日午後4時にプサン港を出航し大阪に向かうパンスター
ドリーム号(パンスターラインドットコム)に乗船する旅行客だった。
この日の乗船客は350人あまり。翌21日土曜日に出航する
パンスターサニー号(定員680人)には、すでに500人あまりの
予約が入っており今年最多の乗船客数を記録するのは確実な
状況だ。
本格的な夏休みシーズンを迎えたプサン港は、比較的安い費用で
ゆったりとした日本観光を楽しもうとする旅行客が全国から押し
寄せ、毎日が大賑わいだ。こうした賑わいの背景には、昨今の
円安などに加え、日韓航路を走るフェリーが、船内の免税ショップを
充実させたり多彩な船内イベントショーを開催するなど、積極的な
顧客獲得活動を繰り広げていることがある。
パンスターラインドットコムの関係者は、「国際旅客船を利用する
旅行者の場合、少人数のグループや家族単位の個人旅行者が
増加している。今日の乗船客も3分の1を超える130人余りが
個人旅行者だ」と語った。
京機道ヨンイン市から来た男性(52)は「妻と二人でのんびり船旅を
楽しみながら日本を観光するつもりだ。今朝はソウル駅から午前
10時のKTX(高速鉄道)に乗ってプサンまで来た。費用的にも
インチョンから飛行機に乗って大阪に行くよりずっと安い」と語った。
夏休みを利用して日本をリュックサック旅行するという大学生
(20)は、「二等席なら往復で25万ウォン(約3万3000円)くらい
だが、乗船券だけ団体客といっしょに購入すれば15%以上
船賃を節約できる」と耳打ちしてくれた。
20日、プサン税関のまとめによれば、プサン港の出入国者数は
2004年に初めて100万人の大台を突破して以来、昨年の06年
には116万1183人を記録し前年(105万5893人)に比べ11%
増加した。今年上半期の出入国者数は64万2924人で前年
同期比で11.2%増加した。
例年、日本への旅行者が最も多いのが夏休みシーズンの7、8月
であることを考えれば、年間では20%以上増加することが予想
される。特に大阪航路は今年上半期に8万572人が利用し、前年
同期比で45%も増加した。
プサン港で日韓国際旅客船を運航する会社はパンスターライン
ドットコムや高麗フェリーをはじめ5社を数え、8隻のフェリーや
高速船が福岡、大阪航路などに投入されている(※)。
※「ヲタク」の確認によれば、現在、計6社の運航会社がフェリー
5隻、小型旅客船1隻、ジェットホイール7隻を就航させている。
パンスターラインドットコム・プサン支社長のチェ・ジェヒョンさんは、
「最近、日韓航路を走る旅客船の利用客が増えているのは、まず
日本の観光ビザ免除や円安の影響が考えられる。しかし、それ
以外にも多様な料理や多彩なイベントショー、それにサウナや
カラオケ、免税店などを船内で利用しながら、クルーズを楽しもうと
する旅行者が増えていることも大きい」と語った。
一方、プサン税関は本格的な夏休みシーズンを前に、旅行客に
対し特定の物品の持ち込み制限や免税規定などの遵守を呼び
かけている。
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<参考>
■ 日韓航路100万人初突破 九州・山口06年度
円安で韓国人25%増
( 西日本新聞朝刊 2007年6月30日)
九州運輸局は29日、九州・山口と韓国を結ぶ定期航路の
2006年度の旅客輸送実績で、釜山‐博多、下関、対馬間の
高速船やフェリーの利用者が前年度比13.4%増の107万
1406人となり、初めて100万人を突破したと発表した。
円安ウォン高などを背景に、韓国人客が大幅に増え、全体を
押し上げた。
輸送実績は、高速船ビートルを運航するJR九州高速船のほか、
カメリアラインや関釜フェリーなど6社の乗船客数を集計した。
韓国人客は、同25.3%増の74万4828人で過去最高で、
全体の7割を占めた。円安ウォン高で日本旅行の割安感が
強まったことや、週休2日制の定着、短期滞在者への
ノービザ化が浸透したことが要因とみられる。
日本人客は、30万8314人で同7.6%減と2年連続で
減少。韓流ブームが起きた04年度比では29.1%減。
同運輸局は「ウォン高による割高感が影響しているようだ」と
みている。
(終わり)