数年前の韓国社会では、中国の詩人、李太白(李白)の韓国語音に
かけた「이태백」(イテベク)という言葉が流行っていた。意味は
「이십대의 태반이 백수(20代の大半が無職)」というものだった。
そして、最近、社会的に定着した感のある新造語が「88만원세대/
88세대(88万ウォン世代/88世代)」なる言葉だ。
2、30代の世代がかろうじて職を得たとしても、金融危機後の
リストラ策が拡大・定着した韓国社会では、せいぜい月給が88万
ウォン(11万円)程度の契約社員の職(非正規職)がほとんど
だという意味だ。
韓国の「88万ウォン世代(現在の2、30代)」を取り巻く環境は
厳しい。
これまで10年続いた民主化勢力(民族主義的な中道政権)による
政権も、経済のIMF管理からの脱却や経済危機の克服のために、
徹底した新自由主義路線を取るしかなかったのだ。
保守派の次期政権は、早くも「親企業政府」を標榜するなど、
これまで以上に新自由主義が加速されることはあっても、勤労者や
低所得者層に対する前政権以上の配慮は期待できそうもない。
10年ぶりの保守政権誕生に大きく貢献したとも言われている
不満多き「88万ウォン世代」だが、次期政権にかける彼らの
バラ色の期待が幻想に終わった時、はたして彼らの不満は
どこに向かうのか。
ここでは、昨年夏、ネイバーの書評コーナーで取り上げられた
1冊の本の紹介記事を翻訳練習してみる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
■하루에 한 권, 네이버 오늘의 책!
1日1冊、ネイバー今日の本!
・88만원 세대 (절망의 시대에 쓰는 희망의 경제학)
・88万ウォン世代(絶望の時代に語る希望の経済学)
우석훈.박권일| 레디앙| 2007.08.01
ウ・ソクホン、パク・クォンイル共著/レディアン図書/
2007年8月1日
-以下、書評記事から一部抜粋-
・88만원 세대란?
・88万ウォン世代とは?
지금의 20대는 상위 5% 정도만이 한전과 삼성전자 그리고 5급
사무관과 같은 '단단한 직장'을 가질 수 있고, 나머지는 이미
인구의 8백만을 넘어선 비정규직의 삶을 살게 될 것이다.
現在の20代は、上位5%程度のみが韓国電力やサムスン電子の
社員、公務員のような「安定した職」にありつくことができ、残りの
約95%は、すでに800万を超えたと言われる非正規職勤労者の
一員として暮らしていくことが予想される。
비정규직 평균 임금 119만원에 20대 급여의 평균비율 74%를
곱하면 88만원 정도가 된다. 세전 소득이다. 88만원에서
119만원 사이를 평생 받게 될 것이다.
非正規職の平均賃金は119万ウォンで、これに20代の給与の
平均比率74%をかけるとおおよそ88万ウォンになる。これは税が
控除される前の所得だ。20代の多くは生涯にわたって88万ウォン
(約11万円)から119万ウォン(約15万円)程度の月給を手にし
生きていくことになるのだ。
그런데 이 '88만원 세대'는 우리나라 여러 세대 중 처음으로
승자독식 게임을 받아들인 세대들이다. 탈출구는 없다.
ところで、この「88万ウォン世代」は、韓国の様々な世代の中で、
初めて勝ち組が富を独占する経済ゲームにさらされる若者世代だ。
逃げ道はどこにもない。
이 20대가 조승희처럼 권총을 들 것인가, 아니면 전 세대인
386이 그랬던 것처럼 바리케이드와 짱돌을 들 것인가, 역사의
갈림길에 서 있다.
彼らがチョ・スンヒ(※)のように拳銃を手にすることになるのか。
あるいは以前の「386(民主化世代)世代」のように、バリケードを
築き石を手にすることになるのか。彼らはまさに歴史の岐路に
立たされている。
(※)07年、アメリカ史上最悪の銃器乱射事件を起こした韓国系
アメリカ人。
(終わり)
← 応援のクリックをお願いします。