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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Estoy loco por espana(番外篇95)Adrián Carrillo Valero

2020-12-30 21:52:47 | estoy loco por espana


この不思議な立体感をどうことばにすればいいのだろうか。
書きたいことばがあるのに、そのことばが見つからない。
とても単純なことば、だれもが知っていることばがあるはずなのに、それが見つからない。
*
円は永遠、あるいは完璧の象徴。
いくつのも円が見える。
しかし、それは完結していない。完結することを拒みながら、円が理想の形だと知っている。

ぶつかりあい、円になり損ねる瞬間に、いままで知らなかった永遠を超える円が見えたからだ。

まだ存在したことのない円を夢見ている円が、ひしめいている。
誰もが知っている形の向うに、もう一つの円を見てしまった円たち。
もう円にはなれないと知りながら、なお円になろうとする無数の円。

¿Cómo puedo expresar con palabras este misterioso efecto tridimensional?
No encuentro una palabra que quiero escribir.
Debe haber una palabra muy simple que todos conozcan, pero no puedo encontrarla.
*
El círculo es un símbolo de eternidad o perfección.
Puedo ver muchos círculos.
Pero no están completos todos los círculos.
Aunque se niegan a completar, saben que el círculo es la forma ideal.

Un círculo se debe a que en el momento en que chocaron y no pudieron formar un círculo,
vio un círculo que excedía la eternidad, que nunca había conocido antes.

Hay muchos círculos que sueñan con círculos que nunca han existido.
Círculos que han visto otro círculo más allá de la forma que todos conocen.
Innumerables círculos que todavía intentan convertirse en círculos, sabiendo que ya no pueden ser círculos.

↑↑↑↑
Adrián Carrillo Valero が翻訳してくれたものを、少し手直しした。
正しいスペイン語からはほど遠いと思うが。

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高橋睦郎『深きより』(25)

2020-12-30 10:16:14 | 高橋睦郎『深きより』


高橋睦郎『深きより』(25)(思潮社、2020年10月31日発行)

 「二十五 作者名乗りとて」は「近松門左衛門」。

二人の血の婚礼をことほぐ道行唄も わが発明ならず
外ならぬ 二人の最期がもたらしたもの わたくしは
それをしかと聞き取り 忠実に記し取つたに過ぎぬ

 この「謙虚さ」は近松にかぎらないかもしれない。シェークスピアも、自分の声ではなく、市井で聞いた人々の声を舞台に載せた、と言えるかもしれない。舞台を離れれば、たとえば谷川俊太郎は自分の声よりも、やはり市井で聞いた他人の声を「忠実に記し取つた」と言えるだろう。多くの「ことば」は「他人のことば」である。
 日本国憲法さえ、幣原喜重郎は「9条の原点」を「いったい、君はこうまで日本が追い詰められていたのを知っていたのか。なぜ戦争をしなければならなかったのか。おれは政府の発表したものを熱心に読んだが、なぜこんな大きな戦争をしなければならなかったのか、ちっともわからない。戦争は勝った勝ったで敵をひどくたたきつけたとばかり思っていると、何だ、無条件降伏じゃないか。足も腰も立たぬほど負けたんじゃないか。おれたちは知らぬ間に戦争に引き込まれて、知らぬ間に降参する。自分は目隠しをされて場に追い込まれる牛のような目にあわされたのである。けしからぬのは、われわれをだまし討ちにした当局の連中だ」と言っている。(鶴見俊輔『敗北力』から)
 ことばに携わる人間は、常に「他人の声」を「自分の声」として聞く。
 高橋は、これをさらに拡大している。

詞のみならず 詞を立ちあがらせる 三絃の曲節も
詞節に合わせてうごく人形の振りもまた 二人の手柄

 「人形の振り」というとき、そこには人形を動かす人が、ことばを聞く人と同じように存在する。「二人の手柄」は、そこまで広がっている。
 しかし、そこにとどまらずに、高橋はさらにことばを動かす。

開闢以来 人びとが流しつづけて 水に様ふ捨て人形の
まぼろしの 慰みたはぶれごとと ご承知あれ

 「二人の手柄」を「人形の手柄」にまで還元する。「人形」がなかったら、二人の悲劇は『曽根崎心中』に結晶はしなかった。
 この「結論」までの道筋をたどるには、もっと多くのことばが必要だと思うが、それについては高橋は書いていない。高橋にとって、「人形」こそが「詩」なのだという思想が、肉体になってしまっているためだろう。「生身」が「現実」ではなく、「人形」が現実。それは肉体が現実ではなく、「ことば」が現実なのだ、と言い直せば高橋を語ることになるのかもしれない。
 高橋は「ことば」という現実を生きている。肉体にしている。





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