↑↑↑↑
↑↑↑↑
高柳誠『フランチェスカのスカート』(7)(書肆山田、2021年06月05日発行)
「記憶の轍」は
記憶にだけ通行可能の道がある。
と魅力的なことばで始まる。つづいて、記憶が説明される。
記憶はそれ自体で、現実とは異な
る独自の論理や体系をもっているので、町なかを勝手にうろつかれ
て人々とやたらに接触するようなことだけは、なんとしても避けな
ければならない。生硬なままの記憶の切っ先が、人々の日常に次々
と外傷を生じさせて、生活を瀕死状態にしてしまうからだ。
記憶と現実と日常。その共存(?)を可能にするために、町には記憶専用の回路がはりめぐらされている。その回路は、
常に改訂され拡張され続けることを宿命づけられた、記憶その
ものの秘すべき分類図、系統図だ。そこを伏流水のように純粋記憶
が行き来する。
いろいろなことばを通って、高柳は「純粋」ということばをひっぱりだしている。この「純粋」が高柳の求めているすべてである。
「純粋」は「記憶」と同様、誰もがつかうことばである。だが、どう定義すればいいのか。高柳の定義は、こうである。
長い年月をかけて個人の刻印を残らずふるい落と
し、すでにだれのものでもない普遍的な記憶の実体そのものとなっ
てこそ、この通路を往還できる。
「純粋」は「普遍的」、つまり「個人の刻印(個別性)」を排除したもの。つまり、抽象である。あるいは、記号である。
高柳のことばは、ことばの運動というよりも、どこか「記号の運動」という要素があるが、それは運動の「純粋さ」を明確にするための手段である。
最初に「道」ということばがでてきた。しかし、それは「存在」ではなく、むしろ「運動」をうかびあがらせる装置としての「場」である。「道」が純粋なのではなく、「道」を行き来する記憶の「運動」が純粋なのである。
この「記憶」を「ことば」と置き直せば、高橋の詩の夢が浮かびあがる。「純粋ことば」が行き来する(純粋に運動する)世界。ことばが自立して、ことば自体のエネルギーで動くとき、そこに出現するのが、詩の世界だ。
**********************************************************************
★「詩はどこにあるか」オンライン講座★
メール、skypeを使っての「現代詩オンライン講座」です。
メール(宛て先=yachisyuso@gmail.com)で作品を送ってください。
詩への感想、推敲のヒントをメール、skypeでお伝えします。
★メール講座★
随時受け付け。
週1篇、月4篇以内。
料金は1篇(40字×20行以内、1000円)
(20行を超える場合は、40行まで2000円、60行まで3000円、20行ごとに1000円追加)
1週間以内に、講評を返信します。
講評後の、質問などのやりとりは、1回につき500円。
(郵便でも受け付けます。郵便の場合は、返信用の封筒を同封してください。)
★skype講座★
随時受け付け。ただし、予約制(午後10時-11時が基本)。
週1篇40行以内、月4篇以内。
1回30分、1000円。
メール送信の際、対話希望日、希望時間をお書きください。折り返し、対話可能日をお知らせします。
費用は月末に 1か月分を指定口座(返信の際、お知らせします)に振り込んでください。
作品は、A判サイズのワード文書でお送りください。
少なくとも月1篇は送信してください。
お申し込み・問い合わせは、
yachisyuso@gmail.com
また朝日カルチャーセンター福岡でも、講座を開いています。
毎月第1、第3月曜日13時-14時30分。
〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1
電話 092-431-7751 / FAX 092-412-8571
**********************************************************************
「詩はどこにあるか」2021年5月号を発売中です。
137ページ、1750円(税、送料別)
オンデマンド出版です。発注から1週間-10日ほどでお手許に届きます。
リンク先をクリックして、「製本のご注文はこちら」のボタンを押すと、購入フォームが開きます。
https://www.seichoku.com/item/DS2001411
*
オンデマンドで以下の本を発売中です。
(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512
(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009
(3)評論『高橋睦郎「深きより」を読む』76ページ。1100円(送料別)
詩集の全編について批評しています。
https://www.seichoku.com/item/DS2000349
(4)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804
(5)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455
(6)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com