詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

デニス・ホッパー監督「イージー★ライダー」

2021-06-14 16:25:09 | 午前十時の映画祭

デニス・ホッパー監督「イージー★ライダー」(★★★★)(2021年06月12日、中洲大洋、スクリーン1)

監督 デニス・ホッパー 出演 デニス・ホッパー、ピーター・フォンダ、ジャック・ニコルソン

 若者がバイクに乗ってアメリカを走る。それだけなんだけれど、走り抜けられる(?)人々(動けない人々)との対比がおもしろい。動けない人々のなかには、土地に住みついている人もいれば、「新天地(?)」を求めて、移動してきたヒッピーもいる。土地に住みついている人が「保守的」なのは想像できるが、新天地で共同生活するヒッピーもまた「保守的」である。「自由」について、固定概念をもっている。
 その「自由」の定義だが。
 これが、いささかむずかしい。ピーター・フォンダがいうセリフのなかに「おれは、このままがいい」ということばがある。このことばが、当時、どう響いたかわからないが、私は妙に納得した。自分であり続ける。ピーター・フォンダが夢見ているのは、ただそれだけだろう。何がしたいわけではない。あえて言えば、何もしたくない。何もしない自由。何ものにもならない自由。つまり、既成の「型」にはまらない自由。
 不思議なことに、1969年、1970年には、そういう自由があったのだ。
 そういう意味でいえば、ジャック・ニコルソンの演じた若手弁護士がとても象徴的だ。なにやら「名家」の息子らしい。それが落ち着かなくて、アルコールに逃げている。一方で、マリフアナを勧められると、自分はとんでもないことになりそうだというような自制心を見せたりする。結局、吸ってしまうけれど。そして、ある保守的な土地で(名前は忘れた)、三人は「型にはまらない自由」が嫌いな土地の人に襲われる。三人のうち、「名家出身の弁護士」であるジャック・ニコルソンが死んでしまう。
 これもなにやら象徴的。実際に死ななくても、結局、名家の世界から「追放」されることになるだろうなあ。
 私はジャック・ニコルソンの大ファンだが、このころから「矛盾」を内に秘めた役どころを得意としていたのか、とてもおもしろかった。ジャック・ニコルソンの肉体が具現化した世界が、その当時のアメリカを如実にあらわしているのだと思った。酒を飲む自由はある、酔っぱらいはまだ許容されている。しかし、マリフアナのような新しい自由はだめ。バイクに同乗するとき、「ヘルメットを持っているか」といわれて、アメリカン・フットボールのヘルメットを持ちだしてくるところなんか、いかにもアメリカの「規律的自由」を引きずっている。
 私は、デニス・ホッパーをそんなに見ていないが、「主役」をピーター・フォンダにゆずって、ちゃらちゃらしている感じがおもしろくて、とても好きになった。ジャック・ニコルソンの使い方もおもしろいし、映像的に、ただほうりだしたような広大なアメリカ大陸と、ときどきパパッと時間が交錯するような風景(夕暮れと夜の風景が瞬間的に交錯するような世界)のとらえ方もいいなあ、と思う。
 再映(リバイバル)は何回かあったかもしれないが、私は、スクリーンで見るのは初めて。私は音楽には疎いのでよくわからないが、当時は時代を切り開く音楽だったのだと思う。きっと若者には刺戟的だったろうと思う。 (午前10時の映画祭11の一作)


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台湾海峡と東京オリンピック

2021-06-14 07:55:28 | 自民党憲法改正草案を読む

G7閉幕 首脳宣言 “台湾海峡”に初の言及 五輪開催への支持も

 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210613/k10013083281000.html?fbclid=IwAR2IOY1pl3NDFF1FQEg1xoTaTcpvQt3ydnKS2bs5H3cou4CXEpzUUjCxSXE

↑↑↑↑

NHKがこんなニュースをネットにアップしている。

最後に、新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の象徴として、安全・安心な形で東京オリンピック・パラリンピックを開催することを改めて支持すると表明しています。
↑↑↑↑↑
「改めて支持すると表明しています」とあるけれど、これ以前に、いつG7は東京オリンピック開催の支持を「表明した」のか。
「改めて」の根拠がわからない。
バイデンは4月の会談で、菅の五輪開催へ向けての姿勢を支持したが、これは米大統領個人であってG7ではない。
さらに、このNHKニュースでは「拉致問題」については触れられていない。
先日の読売新聞の報道では、「拉致問題」に関する日本の姿勢、要求に全員が賛同を示した、五輪開催については一人が(バイデンが)支持を示したと書いてあった。
G7なので、7か国(地域)の報道を付き合わせてみないと、実際に何が「合意」されたのかよくわからないかもしれない。
「外交」は、それぞれの国の主張の調整だから。
それにしても。
「“台湾海峡”に初の言及」というのは不気味だ。
台湾との関係は各国によって違うだろうけれど、どの国も中国はひとつ(台湾は地域)というのが基本的な立場ではないのか。
国連には中国が加盟している。台湾は、中国が加盟した段階で、中国代表であることをやめている。
新疆ウイグル自治区や香港とも状況が違う。
台湾問題と言わずに「台湾海峡」という言い方自体が「アメリカの戦略のうさんくささ」をあらわしている。
つい先日、台湾に弁軍が一時駐留したことが暴露されたが、アメリカは台湾を「沖縄化」したいのだろう。
その前段階として「台湾海峡」をテーマにしている。
「台湾海峡」というよりも、太平洋(公海)への進出をどうするか(どうとらえるか)ということだろう。
そのとき、ふたたび台湾の「沖縄化」がクローズアップされるだろう。
ああ、
なんだか「外電」ニュースはまだるっこしい。
菅側近が、「リーク」できないからなのか、「本音」が見えてこない。
 
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