“훈민정음과 한글에 대한 국수주의적인 연구들은
이 문자의 제정과 그 원리·동기에 대해 진상을
호도해 왔다고 해도 과언은 아닙니다.”
「訓民正音とハングルに関する国粋主義的な研究は、この文字の
制定やその原理、制定動機にまつわる史実を糊塗し続けて来たと
言っても過言ではない」
국어학자 정광(68) 고려대 명예교수는 훈민정음의
'독창성'에 대해 국내 학계의 주류와는 다른 견해를
펼친다. 훈민정음이 창제 과정에 있어서 몽골의 '파스파
문자'를 참조하고 그 영향을 많이 받았다는 것이다.
韓国語学者であるチョン・グァン高麗大学名誉教授(68)は、訓民
正音の「独創性」に関して韓国内の学会の主流とは異なる見解を
明らかにした。訓民正音は、制定過程でモンゴルのパスパ文字を
参考にし、その影響を強く受けたというものだ。
(11月18日付け中央日報より)
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「ヲタク」が見るに、韓国人学者としては、かなりの勇気が必要な
発言だと思う。
本来、事実を追求し、その成果を自由に発表することと「勇気」には
何の関係もないのだが、「ヲタク」が率直にそう感じざるを得ない
ほど、ハングルの「純粋な独創性」にまつわる韓国社会の民族至上
主義が強烈なのも事実だ。
「ヲタク」は、ハングルとパスパ文字の関係をめぐる問題について、
以前にも一度、このブログで扱った。
今回は、アメリカ韓国学の大家、米コロンビア大名誉教授の
ガリ・レッドヤード(Gari Ledyard、1932~)博士の論文を
紹介した記事を翻訳練習してみた。
韓国メディアがレッドヤード博士の学説や論文を記事化して
紹介するのは非常に珍しいことだ。
少なくとも「ヲタク」は初めて目にした。
現在、レッドヤード博士は、冒頭で紹介した韓国人学者も
参加した学術討論会出席のため韓国を訪問中だ。
△ガリ・レッドヤード博士
(コロンビア大HPより)
なお、一言書き添えるならば、「ヲタク」は、韓国の民族至上主義に
迎合することなく、愛情と信念を持って韓国(朝鮮)研究に取り組み
続けて来たレッドヤード博士の研究姿勢に深い尊敬の念を
抱いている。
長年、趣味レベルで韓国語を学び続けている「ヲタク」ではあるが、
レッドヤード博士の研究姿勢や生き方から学ばされるものは
大きい。
△「本当は内気で恥ずかしがり屋のボクが、
ここに顔を出すのはけっこうな勇気がいる」
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■ 훈민정음, 창제인가 모태있나
訓民正音、独創なのか模倣なのか
(韓国日報 11月18日)
「元のパスパ文字を参考 VS 母音(中声)体系に独創性」
ハングルは本当に独創的に作り出された文字なのか?学校では
世宗大王と集賢殿の学者たちが1446年に訓民正音を新しく
作り出し頒布したと教えている。しかし、実際はハングルとよく似た
歴史的文字が東アジアには広く存在している。
インドのグジャラート州で使用されている文字やチベット文字、
「神代文字」と呼ばれる日本の阿比留文字などがそれだ。世宗
実録と訓民正音解例にも、「昔の文字に倣って(倣古篆)、訓民
正音を作った」と明記されている。
学会は、様々な文字の中でも、ハングルの起源を解き明かして
くれる文字としてモンゴルのパスパ(八思巴)文字に注目している。
今回、韓国学中央研究院が訓民正音とパスパ文字を比較研究して
来た国内外の学者らを招待し、「訓民正音とパスパ文字」に関する
学術討論会を18、19日に開催する。この学術討論会は、パスパ
文字で漢字の標準音を記録した「蒙古字韻」(影印本)の韓国での
発刊を記念し準備されたもの。
□「訓民正音はパスパ文字を倣ってつくられた」
米コロンビア大学のガリ・レッドヤード名誉教授(朝鮮史)は、
15世紀の朝鮮と中国の関係を探りながら、訓民正音の起源を
歴史的に追跡する手法を取った。レッドヤード教授は、古代文字の
子音を比較し訓民正音とパスパ文字が、チベット文字、さらに歴史を
遡ればギリシャ文字とも関係があるとの説を説いてきた学者だ。
今回の発表論文「『倣古篆』の問題:パスパ文字と訓民正音」を
通じ、同氏は訓民正音が制定過程で「倣った」と明記した「古篆」が
パスパ文字である根拠を提示している。
同氏は、15世紀の朝鮮では尚古主義の影響から多くの学者らが
中国の篆書に対する崇拝の念を持っていたことを、多くの史料を
通じて明らかにする。この点については、訓民正音よりも175年前に
元で作られたパスパ文字も同様で、両文字とも篆書の特徴を
色濃く引き継いでいると同氏は説く。
同氏は両文字の表音文字としての構成や制定過程の類似性、
元と朝鮮の学者らが文字制定後、音韻論の研究に着手した点
<モンゴルの「蒙古字韻」や朝鮮の「東国正韻」の発刊>などを
挙げながら、両文字の間に存在する深い関係性を明らかにしている。
同氏は、今回の論文で特に訓民正音頒布当時の政治的、文化的な
背景に注目している。元の支配を受けていた高麗の文化的遺産と
中国の影響を強く受けていた世宗個人の家族史的な側面(李氏
王家の辺境生活の歴史)などがそれだ。
また、当時の通訳を教育する機関である「司訳院」では、1469年
までパスパ文字の教育が行われていたことが実録や「経国大典」
などの記録に残されており、朝鮮王朝の初期に至るまでパスパ
文字が大きな影響力を維持し続けていたことを明らかにした。
申叔舟(1417~75)や崔世珍(1468~1542)などが残した
言語学的文献にも、当時、パスパ文字が持っていた影響力の
大きさが如実に表れている。
□「訓民正音の字形には独創性がある」
-中略-
□パスパ文字
チベット出身の僧侶パスパ(1235~80)がフビライハンの命を
受け作ったモンゴル文字。モンゴル語のみならず中国語や
チベット語、サンスクリット語、チュルク語などを表記するのに
使われた。子音30字、母音8字、記号9個で表記される
表音文字だ。世界の文字学会では、このパスパ文字が訓民正音の
制定に決定的な影響を与えたというのが定説になっている。
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)