9条2項維持
自民党憲法改正草案を読む/番外175(情報の読み方)
2018年02月08日の読売新聞朝刊(西部版・14版)の一面の見出し。
改憲では、改憲の条文(文言)がどうなるかが重要である。それが、まだできていない。これは国民に何も知らせない安倍の「沈黙作戦」の一環だろうが、あまりにもひどい。9条2項を残すか、削除するかで自民党がまとまっていない。
現行憲法の9条は、こうなっている。
残すというのは、安倍の案である。
2017年6月の自民党改憲本部のたたき台では、こうなっていた。(西日本新聞、6月22日朝刊)それによると、こうなっている。
この案の問題点は、
(1)「自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない。」と国民の解釈を禁止していることである。「自衛隊を設ける」ということは国民にはできない。だから、「設ける」主体は「国」であって、そのことに対して「反対」というとすれば、「国民」である。その「国民」に対して、「解釈してはならない」、つまり「軍隊を設けることに反対」と言ってはならないと主張している。だれが禁止するのか。「憲法」か。「国」か。憲法は国の権力を拘束するものであって、国民を拘束するものではない。その基本を逸脱している。
(2)それにつづいて「内閣総理大臣」が主語として突然登場していることである。国民が「主役」(主語)の憲法に、国民をおしのける形で内閣総理大臣が登場している。これは「独裁」の宣言である。この項目から考えると、「内閣総理大臣が自衛隊を設ける」ということに対して、国民が「反対」と言ってはならない(憲法が自衛隊を持つことを禁止していると解釈してはならない)と主張していることになる。
これはすでに「9条改正、これでいいのか」(ポエムピース)で書いたことなので繰り返さない。
2面に、見出しにはとっていないが、重要な指摘が書いてある。
やっと、新聞でも言及されるようになった。
自衛隊は防衛省の下部組織である。それが憲法に書かれるのならば、防衛省も書かなければおかしい。それが、どうして問題にならないのか。
これはさらに言えば、憲法は「天皇」「戦争放棄」のあと、「国民」「国会」「内閣」「司法」という具合に構成されているのに、安倍の案では、国民よりも、国会よりも「下」に位置する「内閣総理大臣」が「防衛省の下部組織である自衛隊を指揮する」と、憲法の先に登場することを意味する。
これは安倍の、自衛隊をつかったクーデターなのである。安倍は日本の安全を守るということを口実に、軍事独裁を狙っているだけなのである。
こういうことを、憲法にもとづいて(憲法の条文、構成にもとづいて)、もっと指摘すべきである。
アメリカ合衆国の憲法を参考にしてみよう。
前文は、こう書いてある。
それから、構成は、第1章[立法部]、第2章[執行部]、第3章[司法部]という具合である。
軍備については「前文」に「共同の防衛に備え」と書いているだけである。実際には、「戦争(軍事行動)」については、どこにどうかかれているか。
第1章[立法部]にある。
まず、軍隊を「創設する権限」は「議会」にある、と明確に書かれている。自民党の案では、これが不明確である。「防衛省の下部組織」ならば国会で決めることだが、国会がどうこうする前に「自衛隊」が出てきてしまっては、憲法の構成としておかしいだろう。「戦争の宣言」も議会の権限であると、アメリカ合衆国憲法は明記している。
軍隊の指揮権は、どうか。
第2章[執行部]第2条[大統領の権限]にこう書いてある。
大統領は「最高司令官」ではあるが、そのことが明記されるのは、「立法部」のあとである。「憲法構成」は守られている。
こういう「構成基準」は、絶対に厳守すべきものである。
憲法学者は、こういうこともしっかり指摘してほしい。野党も、こういうところから、自民党の案に対する批判をしてほしい。
もし「9条」に自衛隊を書き加えるなら、それは単に「9条」の問題ではなく、「憲法全体」にかかわる問題である。「理念」にかかわる問題である。
いま、安倍がやろうとしていること、こまれでやってきてたこと(秘密保護法、戦争法、共謀罪の強行成立)は、すべて安倍が「軍事独裁」をすすめるためのものなのである。「軍事独裁」をすすめるために、北朝鮮の脅威を口実として利用している。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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自民党憲法改正草案を読む/番外175(情報の読み方)
2018年02月08日の読売新聞朝刊(西部版・14版)の一面の見出し。
9条2項維持 支持多数/自民改憲本部 条文案募り検討
改憲では、改憲の条文(文言)がどうなるかが重要である。それが、まだできていない。これは国民に何も知らせない安倍の「沈黙作戦」の一環だろうが、あまりにもひどい。9条2項を残すか、削除するかで自民党がまとまっていない。
現行憲法の9条は、こうなっている。
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
残すというのは、安倍の案である。
2017年6月の自民党改憲本部のたたき台では、こうなっていた。(西日本新聞、6月22日朝刊)それによると、こうなっている。
9条の2 前条の規定は、我が国を防衛するための最小限度の実力組織としての自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない。
2 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有し、自衛隊は、その行動について国会の承認その他の民主的統制に服する。
この案の問題点は、
(1)「自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない。」と国民の解釈を禁止していることである。「自衛隊を設ける」ということは国民にはできない。だから、「設ける」主体は「国」であって、そのことに対して「反対」というとすれば、「国民」である。その「国民」に対して、「解釈してはならない」、つまり「軍隊を設けることに反対」と言ってはならないと主張している。だれが禁止するのか。「憲法」か。「国」か。憲法は国の権力を拘束するものであって、国民を拘束するものではない。その基本を逸脱している。
(2)それにつづいて「内閣総理大臣」が主語として突然登場していることである。国民が「主役」(主語)の憲法に、国民をおしのける形で内閣総理大臣が登場している。これは「独裁」の宣言である。この項目から考えると、「内閣総理大臣が自衛隊を設ける」ということに対して、国民が「反対」と言ってはならない(憲法が自衛隊を持つことを禁止していると解釈してはならない)と主張していることになる。
これはすでに「9条改正、これでいいのか」(ポエムピース)で書いたことなので繰り返さない。
2面に、見出しにはとっていないが、重要な指摘が書いてある。
自衛隊の根拠規定については、「自衛隊を保有する」などと簡潔に表記する案があるが、自衛隊を所管する防衛省は法律で設置された組織であることから「防衛省と上下関係が逆転する」との懸念が出ている。
やっと、新聞でも言及されるようになった。
自衛隊は防衛省の下部組織である。それが憲法に書かれるのならば、防衛省も書かなければおかしい。それが、どうして問題にならないのか。
これはさらに言えば、憲法は「天皇」「戦争放棄」のあと、「国民」「国会」「内閣」「司法」という具合に構成されているのに、安倍の案では、国民よりも、国会よりも「下」に位置する「内閣総理大臣」が「防衛省の下部組織である自衛隊を指揮する」と、憲法の先に登場することを意味する。
これは安倍の、自衛隊をつかったクーデターなのである。安倍は日本の安全を守るということを口実に、軍事独裁を狙っているだけなのである。
こういうことを、憲法にもとづいて(憲法の条文、構成にもとづいて)、もっと指摘すべきである。
アメリカ合衆国の憲法を参考にしてみよう。
前文は、こう書いてある。
われら合衆国の国民は、より完全な連邦を形成し、正義を樹立し、国内の平穏を保障し、共同の防衛に備え、一般の福祉を増進し、われらとわれらの子孫のために自由の恵沢を確保する目的をもって、ここにアメリカ合衆国のためにこの憲法を制定し、確定する。
それから、構成は、第1章[立法部]、第2章[執行部]、第3章[司法部]という具合である。
軍備については「前文」に「共同の防衛に備え」と書いているだけである。実際には、「戦争(軍事行動)」については、どこにどうかかれているか。
第1章[立法部]にある。
[第10項]公海上で犯された海賊行為および重罪行為ならびに国際法に違反する犯罪を定義し、これを処罰する権限。
[第11項]戦争を宣言し、船舶捕獲免許状を授与し、陸上および海上における捕獲に関する規則を設ける権限。
[第12項]陸軍を編成し、これを維持する権限。但し、この目的のためにする歳出の承認は、2年を超える期間にわたってはならない。
[第13項]海軍を創設し、これを維持する権限。
[第14項]陸海軍の統帥および規律に関する規則を定める権限。
まず、軍隊を「創設する権限」は「議会」にある、と明確に書かれている。自民党の案では、これが不明確である。「防衛省の下部組織」ならば国会で決めることだが、国会がどうこうする前に「自衛隊」が出てきてしまっては、憲法の構成としておかしいだろう。「戦争の宣言」も議会の権限であると、アメリカ合衆国憲法は明記している。
軍隊の指揮権は、どうか。
第2章[執行部]第2条[大統領の権限]にこう書いてある。
[第1項]大統領は、合衆国の陸軍および海軍ならびに現に合衆国の軍務に就くため召集された各州の民兵団の最高司令官である。大統領は、行政各部門の長官に対し、それぞれの職務に関するいかなる事項についても、文書によって意見を述べることを要求することができる。大統領は、弾劾の場合を除き、合衆国に対する犯罪について、刑の執行停止または恩赦をする権限を有する。
大統領は「最高司令官」ではあるが、そのことが明記されるのは、「立法部」のあとである。「憲法構成」は守られている。
こういう「構成基準」は、絶対に厳守すべきものである。
憲法学者は、こういうこともしっかり指摘してほしい。野党も、こういうところから、自民党の案に対する批判をしてほしい。
もし「9条」に自衛隊を書き加えるなら、それは単に「9条」の問題ではなく、「憲法全体」にかかわる問題である。「理念」にかかわる問題である。
いま、安倍がやろうとしていること、こまれでやってきてたこと(秘密保護法、戦争法、共謀罪の強行成立)は、すべて安倍が「軍事独裁」をすすめるためのものなのである。「軍事独裁」をすすめるために、北朝鮮の脅威を口実として利用している。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
「天皇の悲鳴」(1500円、送料込み)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。
「不思議なクニの憲法」の公式サイトは、
http://fushigina.jp/
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