39 できるかぎり
池澤は、
と書いている。
そうなのかなあ。道徳の定義がむずかしいが、「道徳的」というとき、誰にむけての道徳なのか。他人に対して忠告しているのか。私には、そうは思えない。カヴァフィス自身に向けて語っている。世間など気にせず、もっと自分の欲望に忠実になるよう力を尽くすべきだと言っているように思える。自分の「恋」に忠実になれ、と。
池澤は、こう書く。
「他者」の定義がまたまたむずかしいが、私にはこの「訳語」がどうもわからない。
自分の欲望に忠実に生きるよう力を尽くさないかぎり、その人生はただの「客人」のようになってしまう、という感じではないのだろうか。池澤が「客人」という訳語もあると書いているが、そのことばの方に「実際」を感じる。
「客人」の反対のことばは、「主人」だ。自分の人生の「主人」になるためには、世間や社交なんか気にするな。でも、それは言うのは簡単だが、実行はむずかしい。だからこそ、ことばのなかで夢見る。これも、ことばによる「先取り」の一種だろうなあ。
「他者」だと、内面的な自他の対話、哲学的になる。私はやはり恋の詩と読みたい。
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のぞむことのすべてをなすのが不可能だとすれば、
少なくともできるかぎりを求めて、
力を尽くすべきだ。世間との
つきあいに淫したり、動いたり喋ったりで
人生をおとしめてはいけない。
池澤は、
カヴァフィスには珍しく道徳的な作品。
と書いている。
そうなのかなあ。道徳の定義がむずかしいが、「道徳的」というとき、誰にむけての道徳なのか。他人に対して忠告しているのか。私には、そうは思えない。カヴァフィス自身に向けて語っている。世間など気にせず、もっと自分の欲望に忠実になるよう力を尽くすべきだと言っているように思える。自分の「恋」に忠実になれ、と。
ぐずぐずと人生を引きまわして、
日々の愚行や
人々との社交の場などに
さらしていれば、
人生はただしつこくつきまとう他者と化してしまう。
池澤は、こう書く。
最終行は見事な表現。「他者」と訳した語はクセノス、客人であり、外国人であり、他者である。
「他者」の定義がまたまたむずかしいが、私にはこの「訳語」がどうもわからない。
自分の欲望に忠実に生きるよう力を尽くさないかぎり、その人生はただの「客人」のようになってしまう、という感じではないのだろうか。池澤が「客人」という訳語もあると書いているが、そのことばの方に「実際」を感じる。
「客人」の反対のことばは、「主人」だ。自分の人生の「主人」になるためには、世間や社交なんか気にするな。でも、それは言うのは簡単だが、実行はむずかしい。だからこそ、ことばのなかで夢見る。これも、ことばによる「先取り」の一種だろうなあ。
「他者」だと、内面的な自他の対話、哲学的になる。私はやはり恋の詩と読みたい。
カヴァフィス全詩 | |
クリエーター情報なし | |
書肆山田 |
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