詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

破棄された詩のための注釈11

2020-08-11 21:58:35 | 破棄された詩のための注釈
破棄された詩のための注釈11
             谷内修三2020年08月11日

 「不敬罪美術展」から排除された陳列物。
 一、薔薇の模型。銅製。背中の丸い虫が止まっている。理由。膣に似ている。
 一、下唇を半分剥き出しにした赤ん坊の泣き顔。理由。だれの子どもかわからない。
 一、勃起した陰茎。理由。睾丸がついていない。
 一、肛門の菊。理由。性別不明。

 許された展示物。
 一、右記の、ことば。ただし、手書きであることが条件。ゆえに、存在しない。
 一、「死は遺体を焼き、骨を拾い、壺に入らないものは砕いて捨てるまでつづいた。」という行を含む百行の詩。作者不詳。
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嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(89)

2020-08-11 09:04:23 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (この狭い部屋は何だろう)

ぼくはここであまりに大きな希望をもつて時をすごした

 「時をすごした」とわざわざ「時」ということばをつかったのはなぜだろう。この「時」は瞬間ではなく、一定の期間(大きさ)をもった「時」である。
 しかし、その「一定の期間」は、こう描写されるのだ。

虹が出ていて
蝶が舞つたりする

 これは「瞬間」に通じる。そしてこの「限定」は「狭い」と呼応している。「狭い」「大きい」「瞬間」が交錯する。それを「青春(希望)」と呼ぶ。




*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
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